王道学園にさせてなるものかっ!

ネコフク

文字の大きさ
34 / 79
生徒会編

立花対菅原 そして漏れる心の声

しおりを挟む
 今回も少し短めです。



 あの後転入生の菅原を食堂と体育館を案内し、生徒会の仕事があるからと玄関口で別れ生徒会室へ戻る。


 ◇◇◇◇◇


「また転入生で理事長の甥でかいちょーご指名ってロックオンされてる?」

 へらへらと会計の相沢が不吉な事を言う。

「現実になりそうだから言うな」

 言霊って本当にあるんだぞ貴様。

「それを言ったらお前達もターゲットかもな」

「「やだー!!」」

 抱き合いながらユニゾンする双子に遠い目をする相沢にそっぽを向く一ノ蔵。おいおい現実逃避するな。

 第二の転入生が来たって事は立花がブラフで菅原が本命だろう。酷く掻き回す奴の次に来たのが平凡かつ謙虚なら良さが爆上がりだろうからな。

「多分これから接触を図って来るだろうから気をつけろよ」

「「「「はーい」」」」


 ◇◇◇◇◇


 と言っていた自分が昨日いたんだがな。

 まさか俺に接触してくるとは………というか生徒会役員で会った事があるの俺しかいなかった。

「あの……これ昨日校内を案内してもらったお礼です」

 しかもわざわざ2年の階まで来て皆んなの前で顔を赤らめ菓子を差し出されるとは思ってもいなかった。
 後ろに控えている南條が睨んでいてバリバリ悪役っぽい。お前また周りの好感度が下がるぞ。

「悪いな、品物は誰からも受け取らないと決めているんだ」

「そう……ですか」

 菓子をぎゅっと抱きしめ悲しそうな顔をして俯く菅原に同情の目を向ける生徒がちらほら……
 俺はいつもなので何も思われないだろうが、新しい転入生菅原は前の奴と違うぞという印象はバッチリ周知されるだろうな。

「ふぅ……稲瀬、彼を送れ。南條はここにいろ」

「はい」

 稲瀬に連れられていく菅原の視線が背中に感じるが無視し、教室に戻る。
 これはまた突撃してくるかもしれない。当分1人で歩かないようにしないといけないな。
 早速南條が鬼の形相でLINEしている。

「南條、変な事考えるなよ」

「大丈夫です、各親衛隊持ち回りでやっている東棟3階入口の警備の強化を通達しただけですから」

 そういえば今αの生徒を除いた風紀で活動してるから人が足りなくて親衛隊が持ち回りで当たってたな。マナのところの八重樫も風紀の手伝いをしていたな。

 これからまた問題が出て来るんだろうと思っていたら昼にそれは起こった。
 いや、起こるべくして起こったというべきか。

「かいちょーあそこ」

「はぁ……稲瀬、風紀に連絡を」

 昼食の為に食堂へ行くと既に騒がしく、入口に人だかりができていた。生徒会役員が来ると道が開けて通るといつも臭い匂いをまき散らしながら寄ってくる立花と菅原が向かい合って言い合いをしているようだった。
 いや、言い合いというより立花が一方的に菅原を責めているようだ。

「あのさ、惟親は俺の運命なんだよ!勝手にプレゼントとかやめろよな!」

「す……すみません……でも昨日案内してもらったお礼にと思って…」

「はあ⁉何案内してもらってるんだよ!これ以上惟親に近づくな!」

「でも……」

 まだ運命言うかあいつ!本当どこかの腕利きスナイパーが狙撃してくれないかな。面倒くせぇ。

「「会長心の声が漏れてるー」」

 おっと、ヤバいヤバい。ついポロリしてしまった。結構頭の中で凄い事考えてるから口に出さないように気をつけないと。

「お前ら場所を考えろ。邪魔しないように他所でやれ」

「惟親!」

「会長さん」

 嬉しそうに寄ってくる立花と違いすがるように見てくる菅原。対照的だな。

「立花、俺はお前の『運命』ではないし、名前を呼ぶ許可をしていないと何度言えば分かるんだ?」

「照れるなって!一流の俺に惚れられて嬉しいくせに!」

 どこに惚れる要素があるんだ?マジうぜぇ。

「「ブフォ!!会長小声だけど心の声がだだ漏れだよー」」

「はぁ……満也、このに首輪着けて手綱たづなをきちんと引いとけ不愉快だ」

 満也を見ながら言うと悔しそうに唇を噛んでいるがお前生徒会にも顔を出さないで立花こいつを放置とか罷免ひめんすんぞゴラァ。

「あっ、あのっ!俺菅原のクラスの委員長をやってる久喜です。助けてくださってありがとうございます!こいつ気弱で言い返せなくて……でも良い奴なんです!」

『可愛そう』

『今度の転入生は良い奴なんだ?』

『あんな気弱そうなのに難癖つけてあいつ何様?』

「なっ⁉」

 1-Aの委員長がやたら肩をもっているが、そいつの全てを知ってますみたいな感じで大丈夫かこいつ。ものの数時間で分かるわけないだろ。それに立花も馬鹿だな、大勢の前でこんな事したら自分の立場が悪くなるの分かるだろうに。あ、馬鹿だから分からなかったか。
 おいおい、委員長の後ろで俯きながら微妙に口角上がってる奴いるぞ。

「いや、助けたわけじゃない。俺は「ここでは迷惑だから」と言っただけだ」

「えっ?」

 2人でキョトンとしているが分かってないのか。まあ立花のインパクトが強くて助けてるように見えたんだろうな。

 説明するのも面倒なのでそのまま中2階にあるフロアに行き昼食を取る。

 多分これで放課後までには話が広まって立花の株が下がり菅原の株が上がるんだろう。
 立花の性格だ、屈辱ととっていちいち菅原に突っかかっるんだろうな。

 おっと、これは簡単にかませ犬の出来上がりか?




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


☆とある撮影現場にて☆

 愛加「やあ、この前スタッフの差し入れに杏仁豆腐100個ケータリングのデザートの脇に置いていたら皆んな青い顔して食べてたよ。解せぬ」

 宏太「毎日その量を差し入れするからだよ」

 愛加「えー、食べたくないなら食べなきゃいいのに・・・」

 宏太「いや、「食べないの?」って潤んだ目で見るからだと思うけど」

 愛加「てへ☆やりすぎだってあげは姉ぇに怒られちった♡だから今度は高野豆腐にしてみた☆」

 宏太「豆腐繋がり!えっ?デザートなの⁉」

 愛加「(ニヤリ)」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

お世話したいαしか勝たん!

沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。 悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…? 優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?! ※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました

こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。

隣の番は、俺だけを見ている

雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。 ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。 執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。 【キャラクター設定】 ■主人公(受け) 名前:湊(みなと) 属性:Ω(オメガ) 年齢:17歳 性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。 特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。 ■相手(攻め) 名前:律(りつ) 属性:α(アルファ) 年齢:18歳 性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。 特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。

番に囲われ逃げられない

ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。 結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

処理中です...