王道学園にさせてなるものかっ!

ネコフク

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学園祭編

学園祭1日目①

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「ひぃぃぃマナたんの制服姿かわっ」

「竜司さんどうどう」

 学園祭の佳境に入ったというのにストレスで起こした行動で番がバレたオレはその後チカの甘やかしのおかげで復活、無事準備をやり切った。番がバレたのはあげは姉ぇにしこたま怒られたけど。

 そして学園祭当日を迎えたこの日、2時間だけ宏太とクラスの手伝いをしている。うちのクラスは「制服カフェ」。メイドや執事はありきたりすぎるとそうなったらいしけど、何故制服の方向へ行ったかは話し合いに参加してないなら謎のままだ。

 制服自体は本当にある学校の制服を集めたらしく、ホール担当は全員被る事無く色んな制服を着ているが、制服を集めたクラスメイトの執念に少し恐れを抱いたのは秘密だ。

 で、カフェオープンと同時に来た竜司さんがほにゃほにゃになったのを宥めるオレ。前に抑制剤の横流しをしてもらったお礼にとカフェにいる時間を教えたんだよね。まさかオープンと同時に来るとは思ってなかったけど。

「マナこっち来い」

「「マナっちーオススメはー?」」

「マナちん俺ケーキセットで」

「マナさん私もそれで」

 いや何で生徒会のメンバーまで来てるかなぁ⁉しかもオレの呼び方変わってるし⁉ホール担当のクラスメイトや来たお客さんが濃すぎてびびってんだけど⁉っていうか女子の制服着てるのはスルーされてる⁉

「ちょっと皆んなで来て大丈夫なのか⁉」

 ここに全員がいるって事は生徒会室に誰も居ない。学園祭まで色々と警戒してるのに大丈夫なん?

「大丈夫だ。椿がいる」

「何その最強防衛兵器⁉」

 風紀最強を留守番に使ってここに来る理由とは⁉

「ケーキ5個で話がついてる。持ち帰りで頼む」

 そう言えば椿さんってケーキ大好き人間だった!あの人普段表情筋動かないのにケーキ食べる時だけ至福の顔するんだよな。でも食べ過ぎじゃね?

 とりあえず竜司さんや生徒会メンバーの注文を聞きサーブしていく。
 学園祭が始まったばかりなのでまだお客さんの入りは少ないなーと思っていたら、入って来たと同時に濃い人達ばかり客としているのを見てギョッとしたり、入口で固まったり黄色い声を出す人が続出。それに気付いてどんどんとお客さんが来てついに廊下で待ちが出るようになってしまった。

「うーん客寄せパンダになってる」

 人気者がいる事によってまさかのオープンから怒涛の忙しさになってしまい、調理担当が慌ただしく動いている。持ち帰りも受け付けているので忙しさに拍車がかかっているようだ。

「マナたん混んで来たからもう行くよ」

 友人2人を伴って来た竜司さんに声をかけられ入口まで見送る。

「そうだ、竜司さん携帯出して」

「はいっ!」

「カメラにして友達に渡して」

「はいっ!」

「はいチーズ」

「えっ?」

 パシャリと写真を撮ってもらい「サービスだよ」ニコリと微笑むと何故か膝から崩れ落ちてしまった。

「ちょっ、竜司さん⁉」

 慌ててしゃがむと友人2人が腕を掴み立たせる。

「竜司さん?」

「あー大丈夫、予想外の出来事にちょっと頭がショートしてるだけだから」

「はあ……」

 オレの心配をよそに友人に引っ張られ行ってしまった。大丈夫かアレ。

 引きずられていく姿を見ていたら両肩にポンと手を置かれ、振り返るとメッチャ良い笑顔のチカと宏太がいました。

「ひぇ……」

 笑ってるけど目が笑ってない……オレ夜無事に済まないかも。

「おーい、マナちん俺達とも撮ってよー」

「「マナっち撮ろー」」

 不穏な気配を察したのか相沢さんや双子が携帯をフリフリしている。「バレますよ」という一ノ蔵さんのひと声でチカと宏太が手を離してくれたけど、小さな声で「夜……分かってるよな?」とボソリ。夜ハードなの確定ですやん。

 冷や汗をかきつつ存分に写メを撮られ満足した生徒会メンバーは椿さんのケーキを持って生徒会室に帰って行った。

「やっと帰った……」

「姫ー4番テーブル、王子3番テーブル注文取ってー」

「「はーい」」

 どっと疲れ既に休憩したくなったけど忙しさがそれを許してくれずぱたぱたと動きまわる。ちらりと会計係を見ると短時間で売り上げが良かったのか満面の笑みだ。

「お待たせしましたケーキセットです」

「君可愛いね~」

「あはは~ありがとうございますぅ」

 さらりとかわし次々とサーブをさばいていくが、見目が良い生徒をホール担当にしているせいかいたる所で客に捕まっている。宏太もいつものキラキラ王子様ではなく黒髪の学ラン姿はストイックな雰囲気を醸し出しているからか女生徒の目がギラついていてがっちり捕まえて離そうとしていない。あれは逃げるのに相当苦労しそうだ。とりあえず注文だけしてくれ。

 今のところはケーキセットが人気のようだがクレープも思ったより注文が入っている。多分寮生活していると口にしないからだと思われる。

 今回量を用意しないといけないのでケーキはチョコケーキとチーズケーキに絞っている。他にはパンケーキとクッキーとクレープを用意しており、パンケーキ以外は持ち帰りOKになっている。飲み物はコーヒーと紅茶、オレンジジュースにりんごジュースと良いラインナップだ。

 忙しく動き回っていたら2時間などあっという間に過ぎ、そろそろ切り上げようとしたら入口から「おはようございます!!」という大きな声が聞こえてきて皆んな一斉にそちらを見る。

 そこにいたのはまだ少し幼さが残る170cmほどの制服を来た男子生徒が敬礼をして立っていた。

「末姫様八重樫裕司、兄の恭司の代わりに護衛に参りました!」
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