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学園祭編
学園祭2日目④
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AM11:00
Side ヨハン
『Bon courage!(頑張れ!)』
先ほど愛加から届いたメールを思い出し、ため息をこぼす。
万が一スガワラに見られてもいいようにフランス語で送ったそれはからかいの感情が透けて見える。
(はあ……あげはに会いたい)
よそ行きの笑顔を張り付けながら学園祭を案内されているが、スガワラがやたら近く、さらに微量にフェロモンを出してくるので気持ち悪さのゲージが着実に溜まっていっている。
広場の屋台を流し見して各クラスの出し物をゆっくりと見ていく。展示物は高校生にしてはクオリティが高いようだ。
「これから体育館の方で演劇部の公演が始まるので行きましょう」
そう言われて連れて行かれた体育館で使われているセットは、明らかに高校で使用されない物が紛れていたが、それは指摘せず「セットのクオリティが高いですね」の一言だけに留めておく。多分あれはあげは達がその後使うのだろう。
「うちの演劇部は評判がいいんですよ」
「それは楽しみです」
用意されていた席に座りにっこり微笑めばスガワラは頬を染めを俯く。あげはの言ってた通り僕を落とすつもりなのだろう。Ωらしくさり気ないボディタッチに庇護欲をそそる仕草、気持ち悪くて仕方ない。つい昔僕に群がってきたΩ達を思い出し余計気分が下がってしまった。
(ああ……圧倒的な自信とフェロモンを放つ僕の女神に会いたい)
始まった舞台に目線を送りながら僕の女神を思い描く。
(僕頑張るよ。だから終わったら甘やかしてよ)
◇◇◇◇◇
Side あげは
バキョッ!!
物凄い音にその場にいた生徒がぎょっとして音源の元であるあげはを見ると、手に持っていた飲みかけの缶ジュースがひしゃげて中身が溢れ床にボタボタと溢れ落ちている。
「あげは姉様ジュースが溢れています!お手を離してください!」
「……ああ、悪いわね」
声をかけた生徒が慌てて手から缶ジュースを取り、ウエットティッシュであげはのほっそりとした手を拭く。その間も1点を睨み続けている。
「あげは姉様、威圧を抑えて下さい。皆んなが怯えています」
ハッとしたあげはから威圧が無くなり周りの生徒はホッと胸を撫で下ろす。それでも目線は一向に外さない。
今あげはがいる場所は、客席となっている所から見える位置にあるがスモークになっている為、外から中が見えなくなっている。だからこそ堂々とその場にいるのだが、自分の婚約者が因縁の相手から狙われているのが見えてしまい、つい昂ってしまった。
これではいけないと目を閉じ2、3度深呼吸をし、その場にいる生徒に向き直る。
「公演が終わったら演劇部のセットだけ素早く撤去してちょうだい。同時進行でうちのスタッフが舞台の設置をしていくから」
「「「お任せ下さい!!」」」
その場にいる生徒が一糸乱れぬ動きであげはに返事をする。この統率力は在学時にあげはが演劇部に所属していたからだけではなく、卒業後も支援し、指導してきた賜物である。今回一部あげはを崇拝している生徒もおり、動かしやすいと巻き込んだのだ。
(待ってなさい。佳加の恨み、美紗の恨み、私の婚約者に手を出す身の程、思い知らせてあけるわ)
◇◇◇◇◇
そんな事になっているとは知らない愛加達はヒマを持て余し、延々としりとりをし続け「飽きた!」「早いけどお昼食べよ!」と呑気にお弁当をもしゃもしゃと食べていたのを後日知ったあげはによってベリーソースと見せかけた紅生姜ソースが乗っている杏仁豆腐を食べさせられるという地味な嫌がらせを受けるのだった。(何かイラッとした(あげは談))
~おまけの美紗と佳加~
佳加「あげはちゃんとまなちゃん大丈夫かなぁ?」
美紗「大丈夫、明日には全て終わってるよ」
佳加「美紗ちゃんが言うならそうだね!」
美紗「ふふっ、佳加可愛い♡」
佳加「えー美紗ちゃんの方が格好いいよ~」
美紗「あーかわい♡もう食べちゃう♡」
佳加「ひゃあん♡」
美紗速攻佳加を性的に可愛がる。
後日それを知ったあげはから2人の嫌いな食べ物のオンパレードが届いたという。
Side ヨハン
『Bon courage!(頑張れ!)』
先ほど愛加から届いたメールを思い出し、ため息をこぼす。
万が一スガワラに見られてもいいようにフランス語で送ったそれはからかいの感情が透けて見える。
(はあ……あげはに会いたい)
よそ行きの笑顔を張り付けながら学園祭を案内されているが、スガワラがやたら近く、さらに微量にフェロモンを出してくるので気持ち悪さのゲージが着実に溜まっていっている。
広場の屋台を流し見して各クラスの出し物をゆっくりと見ていく。展示物は高校生にしてはクオリティが高いようだ。
「これから体育館の方で演劇部の公演が始まるので行きましょう」
そう言われて連れて行かれた体育館で使われているセットは、明らかに高校で使用されない物が紛れていたが、それは指摘せず「セットのクオリティが高いですね」の一言だけに留めておく。多分あれはあげは達がその後使うのだろう。
「うちの演劇部は評判がいいんですよ」
「それは楽しみです」
用意されていた席に座りにっこり微笑めばスガワラは頬を染めを俯く。あげはの言ってた通り僕を落とすつもりなのだろう。Ωらしくさり気ないボディタッチに庇護欲をそそる仕草、気持ち悪くて仕方ない。つい昔僕に群がってきたΩ達を思い出し余計気分が下がってしまった。
(ああ……圧倒的な自信とフェロモンを放つ僕の女神に会いたい)
始まった舞台に目線を送りながら僕の女神を思い描く。
(僕頑張るよ。だから終わったら甘やかしてよ)
◇◇◇◇◇
Side あげは
バキョッ!!
物凄い音にその場にいた生徒がぎょっとして音源の元であるあげはを見ると、手に持っていた飲みかけの缶ジュースがひしゃげて中身が溢れ床にボタボタと溢れ落ちている。
「あげは姉様ジュースが溢れています!お手を離してください!」
「……ああ、悪いわね」
声をかけた生徒が慌てて手から缶ジュースを取り、ウエットティッシュであげはのほっそりとした手を拭く。その間も1点を睨み続けている。
「あげは姉様、威圧を抑えて下さい。皆んなが怯えています」
ハッとしたあげはから威圧が無くなり周りの生徒はホッと胸を撫で下ろす。それでも目線は一向に外さない。
今あげはがいる場所は、客席となっている所から見える位置にあるがスモークになっている為、外から中が見えなくなっている。だからこそ堂々とその場にいるのだが、自分の婚約者が因縁の相手から狙われているのが見えてしまい、つい昂ってしまった。
これではいけないと目を閉じ2、3度深呼吸をし、その場にいる生徒に向き直る。
「公演が終わったら演劇部のセットだけ素早く撤去してちょうだい。同時進行でうちのスタッフが舞台の設置をしていくから」
「「「お任せ下さい!!」」」
その場にいる生徒が一糸乱れぬ動きであげはに返事をする。この統率力は在学時にあげはが演劇部に所属していたからだけではなく、卒業後も支援し、指導してきた賜物である。今回一部あげはを崇拝している生徒もおり、動かしやすいと巻き込んだのだ。
(待ってなさい。佳加の恨み、美紗の恨み、私の婚約者に手を出す身の程、思い知らせてあけるわ)
◇◇◇◇◇
そんな事になっているとは知らない愛加達はヒマを持て余し、延々としりとりをし続け「飽きた!」「早いけどお昼食べよ!」と呑気にお弁当をもしゃもしゃと食べていたのを後日知ったあげはによってベリーソースと見せかけた紅生姜ソースが乗っている杏仁豆腐を食べさせられるという地味な嫌がらせを受けるのだった。(何かイラッとした(あげは談))
~おまけの美紗と佳加~
佳加「あげはちゃんとまなちゃん大丈夫かなぁ?」
美紗「大丈夫、明日には全て終わってるよ」
佳加「美紗ちゃんが言うならそうだね!」
美紗「ふふっ、佳加可愛い♡」
佳加「えー美紗ちゃんの方が格好いいよ~」
美紗「あーかわい♡もう食べちゃう♡」
佳加「ひゃあん♡」
美紗速攻佳加を性的に可愛がる。
後日それを知ったあげはから2人の嫌いな食べ物のオンパレードが届いたという。
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