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番外編 クリスマス①
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「見て見て雪!」
「はいはい、外は寒いからコート着な」
ペントハウスの窓に張り付きながら小さな口を開けて見ている桜花に白いモコモコのコートを着せ、これまたモコモコの手袋を自分で着けなさいと渡す。
ここは某国最大の街にあるタワマンの最上階、下を見れば車が点に見える。初めて窓の外を見た時に「ゴミのようだ」と某大佐が言ったのを再現できるなと感心したものだ。
「えへへ、桜花可愛い?」
「うんうん、可愛いよ」
きゃーと無邪気に喜ぶ末っ子の桜花は、既にΩだと分かっていてネックガードをしている。
「母さん!有理とお揃いのネクタイどこ?椿にぃが探してるー」
「あー、こっちに出してる。藤のもあるよ」
「だってさー。ほら、ネクタイ締めてやるからいい加減目ぇ覚ませ」
「むー」
まだ寝ぼけている15になった長男の椿は見た目伊月さんのコピーなのに、ぽやんとしている性格で危なっかしい。いつも弟の藤や神楽と良規さんの息子である有理に世話をされている超マイペース人間だ。
逆に藤はしっかり者でテキパキ要領良く何でもこなすタイプ。俺に似てさらさらの黒髪に切れ長の瞳、12歳にして兄の身長を追い越している。体格もαらしい体格で、Ωである椿が細身なので藤の方が兄に見えるくらいだ。
きゃっきゃっとはしゃぐ桜花は茶髪でくりくりした目で、まだ5歳だからか何となく伊月さん似かな?というくらい。
で、3人共俺と同じ緑色の瞳。
あれー?こんなに綺麗に瞳の色って高確率で遺伝するん?と言うくらい同じ色。父さんは緑だったけど百夢は茶色。昔1/2の確率かーと思ったけど百パーとはね。遺伝の不思議だよな。伊月さんは「瀬名の色だ」と喜んでいる。しかし家族団欒の時に爛々とした8つの緑目で見つめられたら怖いと思うんだけどなぁ。
バタバタしているとエントランスのコンシェルジュから内線が入り、遠野一家が来たと連絡が入り上がってもらう。
「椿!」
玄関を入った途端、ダッシュで椿に駆け寄るのは良規さんと神楽の長男である有理。椿より一つ下で幼い頃から「椿、嫁、絶対!」を繰り返す伊月さんの執着真っ青のお子様だ。
どうやら前に「僕と伊月さんが従兄弟だから?血筋?怖っ!」と神楽が慄いていた。実は10年まえに結婚した新羅さんもトイレまでついて行こうとするくらい奥様にべったりらしい。
うちの子達はそうならないで欲しいが、次男が片鱗を見せているので不安である。
「あれ、伊月は?」
リビングに入って来た良規さんが部屋を見渡し聞いてくる。
「昼にどうしても外せない会食を伴う商談の最終打ち合わせがあるらしいよ」
「クリスマスイブに?」
「まー、それが狙いなんでしょ」
「うへぇ」
良規さんが顔を顰めるのも分かる。俺だって渋い顔するわ。
伊月さんは世界的に有名な花ノ宮ホールディングスの社長で、現当主。結婚してもなお番ってもらおうとするΩや体の関係を持とうとする輩がゴロゴロ出てくる。その度に排除するけど40過ぎてもなお若々しく、20代にはなかった色気まで纏った伊月さんは有象無象の狼に狙われっぱなしなのだ。
「瀬名も見た目若いからな。年相応になりやがれこのバケモン夫婦」
「エスパー?」
「瀬名は昔から顔に出るからね。顔芸覚えたら?」
酷い言われようである。
「てか、今回のヤツ瀬名の顔知らねーの?」
「さあ?伊月さんが俺の顔徹底的に出回らないようにしてるみたいだから知らないかも」
「へえ、これは会った時が楽しみだなぁ」
自宅のようにどっかりとソファーにふんぞり返ながら座っている良規さんがめっちゃ悪い顔してる。これ何か企んでるな。
「ねー、れいちゃん桜花可愛い?」
「わあ、可愛いね~妖精さんみたい」
「うふふ~」
うおおおぃ!!大人だけで話してる間に桜花がコートを脱ぎふわふわしたベビーピンクの服を遠野夫夫の下の子、麗羅にくるくると回って見せていた。コート着せたじゃん!何で脱ぐんだよ!
「はあ……今日も椿は綺麗だよ。ほらこっち向いてその緑色には俺だけ映せよ」
「ふふっ、ありがと。有理も僕だけ見ててね」
「うげぇ、口から砂糖吐きそう」
分かる、分かるぞ藤よ。あいつらの世界はあらゆる糖分を煮詰めてやがる。どうせ見てないトコでチューはディープってるんだろうがまだ15と14、人前ではほっぺまでだぞ!エッチもダメだ!……最後まで致してないよな?
「よーし、ちゅうもーく!!」
直前までスマホでどこかに電話していた良規さんが、パンパンと手を叩き全員の注目を集める。
「これから伊月が会食しているレストランに突撃をかますミッションを行う!」
天井を指差し宣言する良規さんに対し、子供達は「突撃~」と銃を取り出し確認したりシャドーボクシングするのはやめなさい。
おい、隣で困った人ねみたいな顔で見ている神楽よ、旦那を止めてくれ!
ーーーーーーーーーー
この作品はBL小説大賞にエントリーしていますので良かったら投票宜しくお願いします。
「はいはい、外は寒いからコート着な」
ペントハウスの窓に張り付きながら小さな口を開けて見ている桜花に白いモコモコのコートを着せ、これまたモコモコの手袋を自分で着けなさいと渡す。
ここは某国最大の街にあるタワマンの最上階、下を見れば車が点に見える。初めて窓の外を見た時に「ゴミのようだ」と某大佐が言ったのを再現できるなと感心したものだ。
「えへへ、桜花可愛い?」
「うんうん、可愛いよ」
きゃーと無邪気に喜ぶ末っ子の桜花は、既にΩだと分かっていてネックガードをしている。
「母さん!有理とお揃いのネクタイどこ?椿にぃが探してるー」
「あー、こっちに出してる。藤のもあるよ」
「だってさー。ほら、ネクタイ締めてやるからいい加減目ぇ覚ませ」
「むー」
まだ寝ぼけている15になった長男の椿は見た目伊月さんのコピーなのに、ぽやんとしている性格で危なっかしい。いつも弟の藤や神楽と良規さんの息子である有理に世話をされている超マイペース人間だ。
逆に藤はしっかり者でテキパキ要領良く何でもこなすタイプ。俺に似てさらさらの黒髪に切れ長の瞳、12歳にして兄の身長を追い越している。体格もαらしい体格で、Ωである椿が細身なので藤の方が兄に見えるくらいだ。
きゃっきゃっとはしゃぐ桜花は茶髪でくりくりした目で、まだ5歳だからか何となく伊月さん似かな?というくらい。
で、3人共俺と同じ緑色の瞳。
あれー?こんなに綺麗に瞳の色って高確率で遺伝するん?と言うくらい同じ色。父さんは緑だったけど百夢は茶色。昔1/2の確率かーと思ったけど百パーとはね。遺伝の不思議だよな。伊月さんは「瀬名の色だ」と喜んでいる。しかし家族団欒の時に爛々とした8つの緑目で見つめられたら怖いと思うんだけどなぁ。
バタバタしているとエントランスのコンシェルジュから内線が入り、遠野一家が来たと連絡が入り上がってもらう。
「椿!」
玄関を入った途端、ダッシュで椿に駆け寄るのは良規さんと神楽の長男である有理。椿より一つ下で幼い頃から「椿、嫁、絶対!」を繰り返す伊月さんの執着真っ青のお子様だ。
どうやら前に「僕と伊月さんが従兄弟だから?血筋?怖っ!」と神楽が慄いていた。実は10年まえに結婚した新羅さんもトイレまでついて行こうとするくらい奥様にべったりらしい。
うちの子達はそうならないで欲しいが、次男が片鱗を見せているので不安である。
「あれ、伊月は?」
リビングに入って来た良規さんが部屋を見渡し聞いてくる。
「昼にどうしても外せない会食を伴う商談の最終打ち合わせがあるらしいよ」
「クリスマスイブに?」
「まー、それが狙いなんでしょ」
「うへぇ」
良規さんが顔を顰めるのも分かる。俺だって渋い顔するわ。
伊月さんは世界的に有名な花ノ宮ホールディングスの社長で、現当主。結婚してもなお番ってもらおうとするΩや体の関係を持とうとする輩がゴロゴロ出てくる。その度に排除するけど40過ぎてもなお若々しく、20代にはなかった色気まで纏った伊月さんは有象無象の狼に狙われっぱなしなのだ。
「瀬名も見た目若いからな。年相応になりやがれこのバケモン夫婦」
「エスパー?」
「瀬名は昔から顔に出るからね。顔芸覚えたら?」
酷い言われようである。
「てか、今回のヤツ瀬名の顔知らねーの?」
「さあ?伊月さんが俺の顔徹底的に出回らないようにしてるみたいだから知らないかも」
「へえ、これは会った時が楽しみだなぁ」
自宅のようにどっかりとソファーにふんぞり返ながら座っている良規さんがめっちゃ悪い顔してる。これ何か企んでるな。
「ねー、れいちゃん桜花可愛い?」
「わあ、可愛いね~妖精さんみたい」
「うふふ~」
うおおおぃ!!大人だけで話してる間に桜花がコートを脱ぎふわふわしたベビーピンクの服を遠野夫夫の下の子、麗羅にくるくると回って見せていた。コート着せたじゃん!何で脱ぐんだよ!
「はあ……今日も椿は綺麗だよ。ほらこっち向いてその緑色には俺だけ映せよ」
「ふふっ、ありがと。有理も僕だけ見ててね」
「うげぇ、口から砂糖吐きそう」
分かる、分かるぞ藤よ。あいつらの世界はあらゆる糖分を煮詰めてやがる。どうせ見てないトコでチューはディープってるんだろうがまだ15と14、人前ではほっぺまでだぞ!エッチもダメだ!……最後まで致してないよな?
「よーし、ちゅうもーく!!」
直前までスマホでどこかに電話していた良規さんが、パンパンと手を叩き全員の注目を集める。
「これから伊月が会食しているレストランに突撃をかますミッションを行う!」
天井を指差し宣言する良規さんに対し、子供達は「突撃~」と銃を取り出し確認したりシャドーボクシングするのはやめなさい。
おい、隣で困った人ねみたいな顔で見ている神楽よ、旦那を止めてくれ!
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