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番外編 クリスマス③
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『こんにちは花ノ宮桜花です。おばさんブスなのにママに勝とうとしてるの?身の程知らずね』
娘ぇぇぇ!!日本語より酷い事言ってるんだけど⁉5歳だよね?何でそんな言葉知ってるんだよ!
「そういえばこの前遠野家に来た時、麗羅と昼ドラ観てたっけ。それかなぁ?」
と、神楽がボソッ。
吸収早っ。じゃなくて、神楽んとこ昼ドラchでも入れてんの?お子様が観るドラマではないぞ。
「くらえー」
ボコッ!
『痛っ!』
今度は何した⁉ああっ、ドアがあって見えないのがまどろっこしい。もう限界だっ!
「桜花、何してんだ!」
我慢できなくてドアを開いて中に入ると、強くはないが一気に甘ったるい発情香が鼻につく。部屋を見渡すと食事のテーブルを挟んで3人ずつ座っており、伊月さん側の後ろには護衛が2人、ドア近くに1人立っている。
伊月さんは桜花を抱き上げドアの近くに立っており、もう1人商談相手と思われる美女が立って手で頭を払っている。
「え?タワシ?」
驚いたことに女性の盛った髪にタワシがくっついており、それを取ろうと手を払っていたようだ。
「タワシ?何で?」
「あのね、桜花が投げたの!」
場違いなタワシの登場に桜花がドヤ顔でガッツポーズをしている。可愛いけど人にタワシを投げたらアカン。
「どこからタワシが?うちにタワシ無いよな?」
「うふふ、よっちゃんがコントロールの良さを見せろってくれたのぉ」
「上手だったよ」
「えへへ~」
よっちゃん!!うちの子に何やらせてんだよ!いいトコに当たってんじゃん!マジコントロール良いな!伊月さんも誉めてないで注意するトコ!
『ちょっと何なのよ!取りなさい!痛っ、優しく取りなさいよ!』
女性が切れ気味に言うと、近くにいた男性が慌ててタワシを髪から取るが、絡まった髪がタワシにくっついて引っ張られている。 もうあれはチマチマ取るしかない。その間女性はスラングを連発して罵っているが、商談相手がいるトコで言っちゃいけないぞ。
やっとタワシが取れさっさっと髪を整えた女性はキッと桜花を睨むが、我に返り引き攣りながらもにこやかに笑う。
『と……取り乱してごめんなさい。可愛らしいお子さんね』
『はい、パパとママの子なので可愛いです!』
『……!』
満面の笑顔で言い、チラッと女性を見てフッと鼻に抜けるように笑う桜花。うわー、頬がピクピクしてるよ。親の欲目を差し引いても桜花は将来を約束されし美幼女に鼻で笑われた心境はいかに。女性はかなりの美人だから子供とはいえ屈辱だろうなぁ。
『え……ええと、そちらの方々は……あら?』
桜花が部屋に乱入し、続いて入って来たら親だって分かるもんじゃないか?というか俺には目もくれず隣にいた椿を見て目力が強くなる。早速伊月コピーに目を付けましたか。
『初めましてレディ、花ノ宮椿です』
優雅に礼をし微笑む椿に商談相手3人が頬を染める。椿のキラースマイルにやられてやがる。
『まあまあ、花ノ宮社長とそっくり!いかがですがうちの子たち』
「!!」
女性がそう言うと座っていた2人がこちらを向いて立ち上がると一気に発情香が強くなり伊月さんが顔を顰める。どうやら部屋中に籠もっている匂いはこの2人からしていたみたいだ。個室という事もあって何台かバース性用の空気清浄機と換気がされているようだが、それでもこの匂いの濃さはαには辛いんじゃないか?
『お断りします。僕には番になる相手がいますから』
『あらぁ、それとは別ですよ。ほら良い香りでしょう?きっと満足できますよ』
そう言って男女どちらにしますか?と聞いてくるが、アンタ勘違いしてるよ。
『無理てすよ。そんなΩの匂いで興奮しません。だって僕もΩですから』
椿がワイシャツを指で下げ隠れていたネックガードを見せる。真新しいそれはこの前誕生日プレゼントにと有理から贈られたものだ。
『嘘……Ω……?』
驚いてる驚いてる。これ伊月さんとそっくりな椿を見て勝手にαだと思ったんだろうな。Ωには同じバース性であるΩのフェロモンは効かないから意味なかったな!
『はいΩです。父と同じ顔をしているからかよくαと間違われるんですよね。バースも見抜けなくて寄って来るとか存外に愚かですよねぇ。もしかしてあなたβとか?』
言葉が詰まっているからあの女性はβなんだろうな。
そういえば伊月さんが前に、上位αの恐ろしさを知らずにハニートラップを仕掛けてくるのはβや上位αを見たことが無いαやΩだって言ってたな。今回はこれですね!
うーん、手馴れているから同じ手口で商談をしてるっぽいな。Ωを使って関係を持たせて弱みを握り有利に契約とかしてるんだろう。ここまであからさまだと伊月さんも前もって商談相手の事を調べているだろうし、まともな商談にならない事は分かってるよな?なのに何でこの席を設けたんだ?
『ふふっ、こんな事をしなきゃ仕事が取れないなんて三下ですね』
「えーい」
ベシン!
『ぎゃっ!』
「桜花ナイス~」
『タワシで顔を擦って一昨日きやがれ厚化粧オバケ!』
ちょっと、タワシ何個渡されてるんだよ!今度は何だ?修羅場chか⁉椿も拍手して誉めない!
桜花が投げたタワシは顔面にクリティカルヒット、女性は顔を押さえてよろめいている。
「ふう、もういいかな。3人を拘束して」
「「「はい」」」
伊月さんの合図と共に護衛が3人を後ろ手に拘束する。Ωの2人は驚きで動けないまま捕まるが、タワシが直撃した女性はまたスラングを吐いて抵抗している。
『うるさいおばさん』
ガン!
『ぐっ!』
今度は口にタワシがヒットし、さすがに女性も大人しくなった。ちょっと桜花を怯えた目で見ているのは気のせいだろうか。
つーかマジコントロール良いな!!
ーーーーーーーーーー
クリスマス編になってから瀬名が突っ込みマシーンになっている気がする・・・
この作品は第11回BL小説大賞にエントリーしていますので良かったら投票宜しくお願いします。
娘ぇぇぇ!!日本語より酷い事言ってるんだけど⁉5歳だよね?何でそんな言葉知ってるんだよ!
「そういえばこの前遠野家に来た時、麗羅と昼ドラ観てたっけ。それかなぁ?」
と、神楽がボソッ。
吸収早っ。じゃなくて、神楽んとこ昼ドラchでも入れてんの?お子様が観るドラマではないぞ。
「くらえー」
ボコッ!
『痛っ!』
今度は何した⁉ああっ、ドアがあって見えないのがまどろっこしい。もう限界だっ!
「桜花、何してんだ!」
我慢できなくてドアを開いて中に入ると、強くはないが一気に甘ったるい発情香が鼻につく。部屋を見渡すと食事のテーブルを挟んで3人ずつ座っており、伊月さん側の後ろには護衛が2人、ドア近くに1人立っている。
伊月さんは桜花を抱き上げドアの近くに立っており、もう1人商談相手と思われる美女が立って手で頭を払っている。
「え?タワシ?」
驚いたことに女性の盛った髪にタワシがくっついており、それを取ろうと手を払っていたようだ。
「タワシ?何で?」
「あのね、桜花が投げたの!」
場違いなタワシの登場に桜花がドヤ顔でガッツポーズをしている。可愛いけど人にタワシを投げたらアカン。
「どこからタワシが?うちにタワシ無いよな?」
「うふふ、よっちゃんがコントロールの良さを見せろってくれたのぉ」
「上手だったよ」
「えへへ~」
よっちゃん!!うちの子に何やらせてんだよ!いいトコに当たってんじゃん!マジコントロール良いな!伊月さんも誉めてないで注意するトコ!
『ちょっと何なのよ!取りなさい!痛っ、優しく取りなさいよ!』
女性が切れ気味に言うと、近くにいた男性が慌ててタワシを髪から取るが、絡まった髪がタワシにくっついて引っ張られている。 もうあれはチマチマ取るしかない。その間女性はスラングを連発して罵っているが、商談相手がいるトコで言っちゃいけないぞ。
やっとタワシが取れさっさっと髪を整えた女性はキッと桜花を睨むが、我に返り引き攣りながらもにこやかに笑う。
『と……取り乱してごめんなさい。可愛らしいお子さんね』
『はい、パパとママの子なので可愛いです!』
『……!』
満面の笑顔で言い、チラッと女性を見てフッと鼻に抜けるように笑う桜花。うわー、頬がピクピクしてるよ。親の欲目を差し引いても桜花は将来を約束されし美幼女に鼻で笑われた心境はいかに。女性はかなりの美人だから子供とはいえ屈辱だろうなぁ。
『え……ええと、そちらの方々は……あら?』
桜花が部屋に乱入し、続いて入って来たら親だって分かるもんじゃないか?というか俺には目もくれず隣にいた椿を見て目力が強くなる。早速伊月コピーに目を付けましたか。
『初めましてレディ、花ノ宮椿です』
優雅に礼をし微笑む椿に商談相手3人が頬を染める。椿のキラースマイルにやられてやがる。
『まあまあ、花ノ宮社長とそっくり!いかがですがうちの子たち』
「!!」
女性がそう言うと座っていた2人がこちらを向いて立ち上がると一気に発情香が強くなり伊月さんが顔を顰める。どうやら部屋中に籠もっている匂いはこの2人からしていたみたいだ。個室という事もあって何台かバース性用の空気清浄機と換気がされているようだが、それでもこの匂いの濃さはαには辛いんじゃないか?
『お断りします。僕には番になる相手がいますから』
『あらぁ、それとは別ですよ。ほら良い香りでしょう?きっと満足できますよ』
そう言って男女どちらにしますか?と聞いてくるが、アンタ勘違いしてるよ。
『無理てすよ。そんなΩの匂いで興奮しません。だって僕もΩですから』
椿がワイシャツを指で下げ隠れていたネックガードを見せる。真新しいそれはこの前誕生日プレゼントにと有理から贈られたものだ。
『嘘……Ω……?』
驚いてる驚いてる。これ伊月さんとそっくりな椿を見て勝手にαだと思ったんだろうな。Ωには同じバース性であるΩのフェロモンは効かないから意味なかったな!
『はいΩです。父と同じ顔をしているからかよくαと間違われるんですよね。バースも見抜けなくて寄って来るとか存外に愚かですよねぇ。もしかしてあなたβとか?』
言葉が詰まっているからあの女性はβなんだろうな。
そういえば伊月さんが前に、上位αの恐ろしさを知らずにハニートラップを仕掛けてくるのはβや上位αを見たことが無いαやΩだって言ってたな。今回はこれですね!
うーん、手馴れているから同じ手口で商談をしてるっぽいな。Ωを使って関係を持たせて弱みを握り有利に契約とかしてるんだろう。ここまであからさまだと伊月さんも前もって商談相手の事を調べているだろうし、まともな商談にならない事は分かってるよな?なのに何でこの席を設けたんだ?
『ふふっ、こんな事をしなきゃ仕事が取れないなんて三下ですね』
「えーい」
ベシン!
『ぎゃっ!』
「桜花ナイス~」
『タワシで顔を擦って一昨日きやがれ厚化粧オバケ!』
ちょっと、タワシ何個渡されてるんだよ!今度は何だ?修羅場chか⁉椿も拍手して誉めない!
桜花が投げたタワシは顔面にクリティカルヒット、女性は顔を押さえてよろめいている。
「ふう、もういいかな。3人を拘束して」
「「「はい」」」
伊月さんの合図と共に護衛が3人を後ろ手に拘束する。Ωの2人は驚きで動けないまま捕まるが、タワシが直撃した女性はまたスラングを吐いて抵抗している。
『うるさいおばさん』
ガン!
『ぐっ!』
今度は口にタワシがヒットし、さすがに女性も大人しくなった。ちょっと桜花を怯えた目で見ているのは気のせいだろうか。
つーかマジコントロール良いな!!
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クリスマス編になってから瀬名が突っ込みマシーンになっている気がする・・・
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