8 / 93
最悪の出会い
しおりを挟む
人混みに戻ってすぐの所で人の輪ができていた。
あっという間に追いつくと輪の中へ入った。
六歳くらいの女の子がうずくまって泣いている。
この子‥‥
肌は美しい褐色の肌だ。
この国ではなく、この肌はおそらくラヌー国。
周りの人達はおろおろと何も出来ないでいる。
「大丈夫かい?」
ヨハンさんが声を掛けるが、女の子は首を振ってまた泣き出した。
私が駆け寄ると、ヨハンさんは驚いている。
「ルリアちゃん!どうして⁈付いて来たの?」
「ええ、それより‥‥」
私はラヌー国の教育も受けている。
通じるかしら?
『大丈夫?困っていることがあるなら私に話してくれない?』
ラヌー語で話しかけると女の子がピタリと泣くのを止め顔を上げた。
『お姉さん、ラヌー国知ってるの?』
『ええ、もちろん。素敵な国だもの。一体あなたはどうして泣いているの?何があったの?』
『お父様とここへ来たのだけど、はぐれてしまって、誰に聞いても言葉が分からなくて‥』
そう言って涙をポロッと流した。
ラヌー国特有のカラフルな糸で織り上げた衣装はとても綺麗だ。
『そうだったの。わかったわ。一緒にお父様を捜してあげるから、もう大丈夫よ』
『本当?』
『ええ、本当よ。私と一緒なら泣かないでいられる?』
『うん!』
女の子は立ち上がると私に抱きついた。
よほど心細かったのだろう。
今の私にはこの女の子の気持ちが痛いほどよく分かる。
まるで私自身を見ているようだった。
女の子の手を握ると、人の輪をそっと抜け出した。
何故か周りの人達が拍手をしだして、私は恥ずかしくなってしまった。
「ルリアちゃん、この子の言葉が分かるの?」
また琥珀色の瞳が大きくなっている。
ラヌー国は小さい。
そのうえ閉鎖的な国の為、外交は今まであまりしてこなかった国だ。
その為、教育者も少なく学べるのは我が国でも高位貴族か王族のみ。
複雑な言語の為、習得にも時間がかかる。
私も出来るのは会話だけ。
読み書きは非常に難しい。
「ええ、会話だけなら」
「‥‥」
ヨハンさんは何も言わなかった。
その沈黙が気になったが、まずはこの子の父親を捜さなくては‥‥
人混みをゆっくり歩きながら通る人を見るが、なかなか見つからない。
「よいしょ!っと」
ヨハンさんが女の子を持ち上げると自分の肩に乗せた。
「これで見えるかな?」
女の子が落ちないように支えながら歩いてくれる。
ヨハンさんて‥‥本当に優しい方ね。
『上からお父様は見える?』
『あっ!いた!お父様ーー』
女の子が大声で叫ぶと、遠くから手を振りながらこちらへ向かって来る人がいる。
女の子は目の前に来た男性に飛びついた。
『何処へ行ってしまったのかと捜していたんだ!心配したんだぞ!勝手に動いては駄目だと言っただろう!』
父親は口調はきついが女の子をしっかりと抱きしめている。
『このお姉さん達が助けてくれたの。ラヌー語話せるんだよ』
『え⁈話せますか⁈』
『ええ、少しでしたら』
『ああ、本当にありがとうございました。この子はじっとしていられない子で、すぐに勝手な行動をしてしまうんです。この人混みですから、なかなか見つけられなくて困っていたんです。ありがとうございました』
そう言って胸に手を当てて頭を下げた。
『いいえ、見つかって良かったです。心細かったでしょうから、たくさん抱きしめてあげて下さい。それと、私よりも彼のお陰で早く見つけられたと思います』
とヨハンさんを見ると、父親はヨハンさんに握手を求めた。
『あなたのお陰です。ありがとうございました』
ヨハンさんはにっこりと笑った。
「何て言ってるの?」
ボソッと私に言うので笑ってしまった。
「あなたのお陰だとお礼を言ってますよ」
「ああ、どういたしまして」
にっこり笑い合っているが何だかおかしかった。
和やかな雰囲気になったところで、父親の後ろから一人の男性が前に出て来た。
「そなたは何者だ?ラヌー語を話せる者がここにいるとは驚いた。何処の家の者だ?」
急に心臓がドクンっと大きく音を立てる。
‥‥何?‥‥誰?
背が高く漆黒の髪をした男性は、睨むように真っ直ぐ見つめる。
その瞳は髪と同じで黒かった。
容姿は美しく整った顔立ちをしている。
服装は白いシャツに黒いズボンのシンプルな身なりだが、高位貴族に違いない。
恐ろしくてショールをぐっと深く被った。
「彼女は私の友人です。今日は観光に来ただけですのでこれで失礼します」
ヨハンさんは私の肩を抱くと「さぁ伯父さんの所に戻ろう」
と声を掛け微笑んだ。
「ええ、戻りましょう」
私達の周りにも人の輪がいつの間にかできていて、皆が何事かとどんどん集まって来ている。
「おい、待て!話がある。共に来い」
何とも偉そうに呼び止めると、
「あの二人を王太子宮へ連れてこい!」
と何人かに命令している。
ちょっと何⁈‥‥どういうこと‥‥王太子宮⁈
「私達が何をしたと言うんですか?人を助けただけなのに、なぜ王太子宮へ行かねばならないのですか?」
「これはこれは、モーガン侯爵家のヨハン様でしたか」
「え⁈」
物腰の柔らかい眼鏡の男性は、ヨハンさんの前に来ると親しげに話しかける。
ヨハンさんが侯爵家?
商会って言っていたのに、商人ではなかったの?
一体何がどうなっているの‥‥
身を隠す為に来た隣国で、王太子宮に連れて行かれるなんて、もうこれは‥‥終わったわね‥‥
そう思った途端、体の力が抜け私は意識を失った。
「ルリアちゃん!ルリアちゃん!しっかりして」
「おい!何をやってる!早く運べ!」
「あなた達のせいでしょう!私の大切な客人を怖がらせて、人助けをしてくれたのに何て可哀想なことをするんですか!」
「何だと?俺のせいだと言うのか?」
「あんなに睨んだら誰だって気を失うでしょう!」
「睨んでない!」
「ヨハン様、殿下は元々このお顔です」
「それが睨んでるって言うんです!」
「ヨハン様、とにかくその女性を早く運びましょう!」
「ああ、私が抱いて行くよ。それと向こうに私の伯父がいるので知らせて下さい。彼女を連れて来たのは伯父なので」
「分かりました。では早く馬車へ」
伯父が連れて来たこのルリアという女性は、きっと訳ありだ。
これだけ美人で教養もある。
何かあるに違いない‥‥
クソッ
せっかく楽しんでいたというのに台無しだ。
目が覚めたら早く連れて帰ろう‥‥
ルリアちゃん‥‥
婚約者とかいないかな?‥
あっという間に追いつくと輪の中へ入った。
六歳くらいの女の子がうずくまって泣いている。
この子‥‥
肌は美しい褐色の肌だ。
この国ではなく、この肌はおそらくラヌー国。
周りの人達はおろおろと何も出来ないでいる。
「大丈夫かい?」
ヨハンさんが声を掛けるが、女の子は首を振ってまた泣き出した。
私が駆け寄ると、ヨハンさんは驚いている。
「ルリアちゃん!どうして⁈付いて来たの?」
「ええ、それより‥‥」
私はラヌー国の教育も受けている。
通じるかしら?
『大丈夫?困っていることがあるなら私に話してくれない?』
ラヌー語で話しかけると女の子がピタリと泣くのを止め顔を上げた。
『お姉さん、ラヌー国知ってるの?』
『ええ、もちろん。素敵な国だもの。一体あなたはどうして泣いているの?何があったの?』
『お父様とここへ来たのだけど、はぐれてしまって、誰に聞いても言葉が分からなくて‥』
そう言って涙をポロッと流した。
ラヌー国特有のカラフルな糸で織り上げた衣装はとても綺麗だ。
『そうだったの。わかったわ。一緒にお父様を捜してあげるから、もう大丈夫よ』
『本当?』
『ええ、本当よ。私と一緒なら泣かないでいられる?』
『うん!』
女の子は立ち上がると私に抱きついた。
よほど心細かったのだろう。
今の私にはこの女の子の気持ちが痛いほどよく分かる。
まるで私自身を見ているようだった。
女の子の手を握ると、人の輪をそっと抜け出した。
何故か周りの人達が拍手をしだして、私は恥ずかしくなってしまった。
「ルリアちゃん、この子の言葉が分かるの?」
また琥珀色の瞳が大きくなっている。
ラヌー国は小さい。
そのうえ閉鎖的な国の為、外交は今まであまりしてこなかった国だ。
その為、教育者も少なく学べるのは我が国でも高位貴族か王族のみ。
複雑な言語の為、習得にも時間がかかる。
私も出来るのは会話だけ。
読み書きは非常に難しい。
「ええ、会話だけなら」
「‥‥」
ヨハンさんは何も言わなかった。
その沈黙が気になったが、まずはこの子の父親を捜さなくては‥‥
人混みをゆっくり歩きながら通る人を見るが、なかなか見つからない。
「よいしょ!っと」
ヨハンさんが女の子を持ち上げると自分の肩に乗せた。
「これで見えるかな?」
女の子が落ちないように支えながら歩いてくれる。
ヨハンさんて‥‥本当に優しい方ね。
『上からお父様は見える?』
『あっ!いた!お父様ーー』
女の子が大声で叫ぶと、遠くから手を振りながらこちらへ向かって来る人がいる。
女の子は目の前に来た男性に飛びついた。
『何処へ行ってしまったのかと捜していたんだ!心配したんだぞ!勝手に動いては駄目だと言っただろう!』
父親は口調はきついが女の子をしっかりと抱きしめている。
『このお姉さん達が助けてくれたの。ラヌー語話せるんだよ』
『え⁈話せますか⁈』
『ええ、少しでしたら』
『ああ、本当にありがとうございました。この子はじっとしていられない子で、すぐに勝手な行動をしてしまうんです。この人混みですから、なかなか見つけられなくて困っていたんです。ありがとうございました』
そう言って胸に手を当てて頭を下げた。
『いいえ、見つかって良かったです。心細かったでしょうから、たくさん抱きしめてあげて下さい。それと、私よりも彼のお陰で早く見つけられたと思います』
とヨハンさんを見ると、父親はヨハンさんに握手を求めた。
『あなたのお陰です。ありがとうございました』
ヨハンさんはにっこりと笑った。
「何て言ってるの?」
ボソッと私に言うので笑ってしまった。
「あなたのお陰だとお礼を言ってますよ」
「ああ、どういたしまして」
にっこり笑い合っているが何だかおかしかった。
和やかな雰囲気になったところで、父親の後ろから一人の男性が前に出て来た。
「そなたは何者だ?ラヌー語を話せる者がここにいるとは驚いた。何処の家の者だ?」
急に心臓がドクンっと大きく音を立てる。
‥‥何?‥‥誰?
背が高く漆黒の髪をした男性は、睨むように真っ直ぐ見つめる。
その瞳は髪と同じで黒かった。
容姿は美しく整った顔立ちをしている。
服装は白いシャツに黒いズボンのシンプルな身なりだが、高位貴族に違いない。
恐ろしくてショールをぐっと深く被った。
「彼女は私の友人です。今日は観光に来ただけですのでこれで失礼します」
ヨハンさんは私の肩を抱くと「さぁ伯父さんの所に戻ろう」
と声を掛け微笑んだ。
「ええ、戻りましょう」
私達の周りにも人の輪がいつの間にかできていて、皆が何事かとどんどん集まって来ている。
「おい、待て!話がある。共に来い」
何とも偉そうに呼び止めると、
「あの二人を王太子宮へ連れてこい!」
と何人かに命令している。
ちょっと何⁈‥‥どういうこと‥‥王太子宮⁈
「私達が何をしたと言うんですか?人を助けただけなのに、なぜ王太子宮へ行かねばならないのですか?」
「これはこれは、モーガン侯爵家のヨハン様でしたか」
「え⁈」
物腰の柔らかい眼鏡の男性は、ヨハンさんの前に来ると親しげに話しかける。
ヨハンさんが侯爵家?
商会って言っていたのに、商人ではなかったの?
一体何がどうなっているの‥‥
身を隠す為に来た隣国で、王太子宮に連れて行かれるなんて、もうこれは‥‥終わったわね‥‥
そう思った途端、体の力が抜け私は意識を失った。
「ルリアちゃん!ルリアちゃん!しっかりして」
「おい!何をやってる!早く運べ!」
「あなた達のせいでしょう!私の大切な客人を怖がらせて、人助けをしてくれたのに何て可哀想なことをするんですか!」
「何だと?俺のせいだと言うのか?」
「あんなに睨んだら誰だって気を失うでしょう!」
「睨んでない!」
「ヨハン様、殿下は元々このお顔です」
「それが睨んでるって言うんです!」
「ヨハン様、とにかくその女性を早く運びましょう!」
「ああ、私が抱いて行くよ。それと向こうに私の伯父がいるので知らせて下さい。彼女を連れて来たのは伯父なので」
「分かりました。では早く馬車へ」
伯父が連れて来たこのルリアという女性は、きっと訳ありだ。
これだけ美人で教養もある。
何かあるに違いない‥‥
クソッ
せっかく楽しんでいたというのに台無しだ。
目が覚めたら早く連れて帰ろう‥‥
ルリアちゃん‥‥
婚約者とかいないかな?‥
13
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
伝える前に振られてしまった私の恋
喜楽直人
恋愛
第一部:アーリーンの恋
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
第二部:ジュディスの恋
王女がふたりいるフリーゼグリーン王国へ、十年ほど前に友好国となったコベット国から見合いの申し入れがあった。
周囲は皆、美しく愛らしい妹姫リリアーヌへのものだと思ったが、しかしそれは賢しらにも女性だてらに議会へ提案を申し入れるような姉姫ジュディスへのものであった。
「何故、私なのでしょうか。リリアーヌなら貴方の求婚に喜んで頷くでしょう」
誰よりもジュディスが一番、この求婚を訝しんでいた。
第三章:王太子の想い
友好国の王子からの求婚を受け入れ、そのまま攫われるようにしてコベット国へ移り住んで一年。
ジュディスはその手を取った選択は正しかったのか、揺れていた。
すれ違う婚約者同士の心が重なる日は来るのか。
コベット国のふたりの王子たちの恋模様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる