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サボり仲間
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「またサボるのか?」
「あなたに言われたくないわ」
中庭から奥に入って行くと、木に囲まれた目立たないガゼボがあり、中には長いベンチが二つある。
ひとつは私が、もうひとつのベンチには男爵家の三男坊という彼が常連で使っていた。
元々は、私が先に見つけて一人の時間を楽しんでいたのだが、いつからか彼が向かいのベンチで寝ているようになった。
「侯爵令嬢がいつもサボっていて何か言われないのか?」
「私の場合、サボっているのではなくて自習ですわ。それに頭の悪い方達と授業を受けなくても常にテストは一位ですもの」
得意気に言ってみせる。
「一位?本当か?」
疑うように起き上がると私を見た。
「えっ‥‥と、実際は二位ですけど、二位以下にはなったことがないわ」
ははははっ
彼は何故か笑って、
「お前は正直なんだな!俺になんて一位だと言い張っても分からないことなのに」
確かに‥‥
「‥‥」
男爵家の彼とは受けるテストが違う。
正確に言えば、学ぶ建物が違う。
私がいる学園では、公爵家、侯爵家、伯爵家の者と、それより階級が低い者達とは棟が違っていた。
それはきっと、幼い頃から家庭教師の多い環境で育ってきた上流階級とは勉強の進み具合が違うからだ。
男爵家の三男坊という彼とは、普通なら顔を合わせる機会などないはずだ。
「そもそもあなた、男爵家ならあちら側の棟でしょう?あちらのベンチを探しなさいよ」
「随分と見下した言い方をするんだな。やっぱり妹をいじめているという噂は本当か?」
「見下しているのではなくて、事実を述べただけです。それと、そんな噂を鵜呑みにする人達がこんなに大勢いることに飽き飽きしているの。うんざりするわ」
「噂は事実ではないと?」
「見たこともない事を、何故人は信じるのかしら。あの男爵令嬢がよほど演技が上手いのね。感心するわ」
「男爵令嬢が嘘をついていると言うのか?」
「どちらを信じようとあなたの勝手よ。ただ私はあんな男爵令嬢をいじめるほど暇人ではないわ」
「名前も呼ばないのか?血の繋がりはないが妹になったのだろう?」
「私を嘘の噂で陥れる女と仲良くすれと?」
彼の不躾な言い方に腹が立った。
周りの皆と同じようにあの女の言い分を信じて、私を悪者にしようとしている。
私はあの女のようにペラペラと話すことができない。
愛想の良いあの女と違って私は無愛想だから‥‥
いつの間にか皆が男爵令嬢の味方についてしまった‥‥
だから授業に出るのも嫌なのよ。
だってあの女と同じクラスなんですもの。
何も知らずに、この目の前の男も私を責めるのね‥‥
思わず悔しくて涙が零れた。
「⁈おい!すっすまない!!ただ聞いただけだ。噂を信じているわけではない!」
彼は慌てて立ち上がるとハンカチを手渡してきた。
「いえ、結構ですわ。私今日はもう帰りますので」
私は彼の手を払うと急いでその場を去った。
半年前に母を病気で亡くした私の元に、三ヶ月前急に義理の母と妹ができた。
父が男爵家の未亡人と再婚したのだ。
しかもその娘は私と同じ歳。
私より二ヶ月誕生日が遅いせいで妹ということになった。
今まで隣の棟に通っていた彼女は、三ヶ月前から侯爵家の娘になったことで、同じクラスで学ぶことになった。
フワフワしたキャラメル色の髪に、グリーンの瞳の彼女は、明るく人懐っこい性格であっという間に皆を虜にしてしまった。
そして初めは男爵家の娘が突然クラスに現れたことを毛嫌いしていた者達も、
「イザベラ様が私を馬鹿にして、家ではいじめてくるんです」
「物を壊されました」
「大切な物を取り上げられました」
次から次へと嘘を並べ立て同情を誘ったことで、あっという間に私が悪者として仕立て上げられた。
私は皆から、
「もういじめるのはやめなさいよ!」
「侯爵令嬢が恥ずかしくないのか!」
「アリサが可哀想だ!」
と責められるようになった。
いくら違うと言っても、皆の前で涙を流してみせる彼女の言い分を全員が信じた。
誰にでも愛想を振り撒く男爵令嬢。
かたや無愛想で可愛げのない侯爵令嬢。
どちらがクラスに居づらくなったかは火を見るよりも明らかだ。
私は人目につかないガゼボのベンチでいつも一人で勉強するようになった。
彼女もその母親も人に取り入るのが上手い。
能がない父親なら簡単に騙されただろう。
家でも立場が無くなったのは私の方だ。
一日も早く学園からも家からも出て行きたいのは私の方なのだ‥‥
「あなたに言われたくないわ」
中庭から奥に入って行くと、木に囲まれた目立たないガゼボがあり、中には長いベンチが二つある。
ひとつは私が、もうひとつのベンチには男爵家の三男坊という彼が常連で使っていた。
元々は、私が先に見つけて一人の時間を楽しんでいたのだが、いつからか彼が向かいのベンチで寝ているようになった。
「侯爵令嬢がいつもサボっていて何か言われないのか?」
「私の場合、サボっているのではなくて自習ですわ。それに頭の悪い方達と授業を受けなくても常にテストは一位ですもの」
得意気に言ってみせる。
「一位?本当か?」
疑うように起き上がると私を見た。
「えっ‥‥と、実際は二位ですけど、二位以下にはなったことがないわ」
ははははっ
彼は何故か笑って、
「お前は正直なんだな!俺になんて一位だと言い張っても分からないことなのに」
確かに‥‥
「‥‥」
男爵家の彼とは受けるテストが違う。
正確に言えば、学ぶ建物が違う。
私がいる学園では、公爵家、侯爵家、伯爵家の者と、それより階級が低い者達とは棟が違っていた。
それはきっと、幼い頃から家庭教師の多い環境で育ってきた上流階級とは勉強の進み具合が違うからだ。
男爵家の三男坊という彼とは、普通なら顔を合わせる機会などないはずだ。
「そもそもあなた、男爵家ならあちら側の棟でしょう?あちらのベンチを探しなさいよ」
「随分と見下した言い方をするんだな。やっぱり妹をいじめているという噂は本当か?」
「見下しているのではなくて、事実を述べただけです。それと、そんな噂を鵜呑みにする人達がこんなに大勢いることに飽き飽きしているの。うんざりするわ」
「噂は事実ではないと?」
「見たこともない事を、何故人は信じるのかしら。あの男爵令嬢がよほど演技が上手いのね。感心するわ」
「男爵令嬢が嘘をついていると言うのか?」
「どちらを信じようとあなたの勝手よ。ただ私はあんな男爵令嬢をいじめるほど暇人ではないわ」
「名前も呼ばないのか?血の繋がりはないが妹になったのだろう?」
「私を嘘の噂で陥れる女と仲良くすれと?」
彼の不躾な言い方に腹が立った。
周りの皆と同じようにあの女の言い分を信じて、私を悪者にしようとしている。
私はあの女のようにペラペラと話すことができない。
愛想の良いあの女と違って私は無愛想だから‥‥
いつの間にか皆が男爵令嬢の味方についてしまった‥‥
だから授業に出るのも嫌なのよ。
だってあの女と同じクラスなんですもの。
何も知らずに、この目の前の男も私を責めるのね‥‥
思わず悔しくて涙が零れた。
「⁈おい!すっすまない!!ただ聞いただけだ。噂を信じているわけではない!」
彼は慌てて立ち上がるとハンカチを手渡してきた。
「いえ、結構ですわ。私今日はもう帰りますので」
私は彼の手を払うと急いでその場を去った。
半年前に母を病気で亡くした私の元に、三ヶ月前急に義理の母と妹ができた。
父が男爵家の未亡人と再婚したのだ。
しかもその娘は私と同じ歳。
私より二ヶ月誕生日が遅いせいで妹ということになった。
今まで隣の棟に通っていた彼女は、三ヶ月前から侯爵家の娘になったことで、同じクラスで学ぶことになった。
フワフワしたキャラメル色の髪に、グリーンの瞳の彼女は、明るく人懐っこい性格であっという間に皆を虜にしてしまった。
そして初めは男爵家の娘が突然クラスに現れたことを毛嫌いしていた者達も、
「イザベラ様が私を馬鹿にして、家ではいじめてくるんです」
「物を壊されました」
「大切な物を取り上げられました」
次から次へと嘘を並べ立て同情を誘ったことで、あっという間に私が悪者として仕立て上げられた。
私は皆から、
「もういじめるのはやめなさいよ!」
「侯爵令嬢が恥ずかしくないのか!」
「アリサが可哀想だ!」
と責められるようになった。
いくら違うと言っても、皆の前で涙を流してみせる彼女の言い分を全員が信じた。
誰にでも愛想を振り撒く男爵令嬢。
かたや無愛想で可愛げのない侯爵令嬢。
どちらがクラスに居づらくなったかは火を見るよりも明らかだ。
私は人目につかないガゼボのベンチでいつも一人で勉強するようになった。
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能がない父親なら簡単に騙されただろう。
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一日も早く学園からも家からも出て行きたいのは私の方なのだ‥‥
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