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女神に頼まれて村作りをしてみた
決意と紅葉
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「おう、帰ったか」
女神は俺を村の入り口まで転送してくれたようだ。丁度外の椅子に座って休んでいたバンが出迎えてくれた。
「あぁ、ただいま。悪いけど少し一人にしてくれ」
「…わかった。何かあれば言えよ」
何かを察してくれたのかこれ以上バンは聞いて来なかった。今は動かない時計台の個室、何度も出入りをしているはずなのだが今日はやけに遠く、そして扉は重く感じた。俺はベッドに倒れかかり、そのまま深く息をした。
「俺は…最低だ」
リカに今、何て言えば良いのだろうか。申し訳ない気持ちでいっぱいのはずなのにどこかで期待している自分がいる。そんな自分が許せなかった。リカの気持ちは本物だと思う。そんな真っ直ぐな少女の気持ちを心の余裕を作るために結果利用した形になるんだ。それなのに……それなのに…俺は……。
「失礼します…今大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…そのごめん今は…」
どんな顔をして話せば良いのかわからず顔をそらしながら話してしまう。リカは一息つくと扉を閉め、壁にもたれ掛かりながら口を開いた。
「知ってましたよ。女神様との事」
思いもよらない言葉が飛び出してきて思わず聞き返す。誰にも知られていないはずの女神との事を何故リカが知っているのだろうか?
「実は前こっこり後をつけてたんです。あの時はまさか女神様だとは思ってませんでしたけど」
「そ、そうだったのか」
「後をつけたことは謝ります。でも、いつも長く村を空けると異様な魔力を感じるので心配になって…」
リカは頭を下げながら言うと少し間を開けて再び話始めた。
「私は、その上で一翔さんにアタックしたんです。他に気のある女性がいる事を知って、それでも玉砕覚悟で当たって行ったんです。だからその、あまり気にしないでください」
「なんでその事を…?」
「気付いてないと想いますけど最近異常なまでに暗いし考え事増えたし私に向ける目が何か言いたげでしたよ。気付かない方が鈍感です」
「そう…だったのか。ごめん、気を付けるよ…」
気にしないでと言われて次の瞬間から気にしないで生きて行けたらどれ程良かったか。当の本人であるリカがこう言うのならできるだけ思考の外にこれを追い出すべきなんだろうけど、一度芽生えた罪悪感はそう簡単には消えてくれない。
「本当にごめん……少し」
「あーもうっ!わかりました。他に好きな女がいるのにその女と上手く行かなくなったからってすぐに私に乗り換えるとかさいってー!ほんと信じられない。その上気にしないでって言ってもまだうじうじと……それでも男か!……コホン、こ、これで良いですか?ちょっと胸の中で留めてた事とかも吐き出したんで……はい」
俺が話し終わるのをまつ子となくリカはそう言った。少し頬を赤らめながらこっちを見ている。今リカが言ったことが俺の心の中で渦を巻いている全てだ。逆に言われた事で少しwckなった気がした。
「その……ほんとごめん。ありがとう、少しだけ軽くなった気がする」
「まったく世話の掛かる人ですよ…。身長的に逆ですからね一翔さんは本当はすごく格好いい人なんですからもう少し胸を張って!」
「あぁ、本当にありがとう」
「きゃっ、ちょ…もう…。えへへ改めてよろしくお願いします。一翔さん」
「こちらこそ。リカ」
今日の晩御飯はアールが作ったらしい。アールは見たこともない料理を作るのだが見た目の割にとても美味しい。
「腕によりを掛けましたとも。どうぞどうぞお食べくださいな」
「アール…相変わらずこの見た目はなんとかならんのか」
「せっかく旨いのに勿体無いぞ…」
「ですね。ここまで来ると芸術作品です」
「そこまで言いますか普通…」
今日はバンが焼きいもを用意してるらしい。いつの間にかサツマイモも栽培していたらしい。
「焼きいもなんて久しぶりだなぁ…」
「そうだろうそうだろう。焼きいもなんてこの時期にしかやらんからなぁ」
「秋ですもんねぇ……あ、秋と言えばですよ!一翔さん、川の近くの木が紅葉で綺麗なんですよ。明日行きましょ!」
「紅葉か。いいな行こ行こ」
「やった!何着てこうかなぁ~」
良く晴れた昼過ぎ。言っていた通り、二人で紅葉を眺めに来た。こんな間近で紅葉を眺めるのははじめてかもしれない。そんな事を考えながら隣に目をやる。そこにはこっちに笑いかけてくるリカがいた。
「晴れて良かったですね~」
「ほんとだな。凄く良い天気だ」
”歩きましょ?”と手を引っ張りながらリカは川沿いを歩きはじめた。
「一翔さんの世界でもこんな感じでした?」
「あぁ。とても似てるよ。相変わらず綺麗だ」
「そうなんですねぇ……あ、鳥だ」
緑と青の鳥が二羽並んでいる。よく見るとあちらこちらに鳥が止まっているみたいだ。
「思ったより色々な生き物がいて好きなんですよねぇ、ここ」
「アールがいつも通う理由もわかるな」
「ですよね。私もたまにここでお昼寝したりするんですよ」
何気ない話をして二人でブラブラと川沿いを歩く。こんな時間を一秒でも長く保ちたい。ふとリカの方に目をやるとき、何かが見えた気がした。でも、そこには何もない。
「どうしました?」
「いや、なんでもないよ。一瞬変なのが見えただけ」
「なんでもなくないじゃないですか……」
「悪い、悪い。さ、行こうぜ」
多分気のせいだろう。多分見違えだろう。今はそれよりこの時間を楽しもう。
女神は俺を村の入り口まで転送してくれたようだ。丁度外の椅子に座って休んでいたバンが出迎えてくれた。
「あぁ、ただいま。悪いけど少し一人にしてくれ」
「…わかった。何かあれば言えよ」
何かを察してくれたのかこれ以上バンは聞いて来なかった。今は動かない時計台の個室、何度も出入りをしているはずなのだが今日はやけに遠く、そして扉は重く感じた。俺はベッドに倒れかかり、そのまま深く息をした。
「俺は…最低だ」
リカに今、何て言えば良いのだろうか。申し訳ない気持ちでいっぱいのはずなのにどこかで期待している自分がいる。そんな自分が許せなかった。リカの気持ちは本物だと思う。そんな真っ直ぐな少女の気持ちを心の余裕を作るために結果利用した形になるんだ。それなのに……それなのに…俺は……。
「失礼します…今大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…そのごめん今は…」
どんな顔をして話せば良いのかわからず顔をそらしながら話してしまう。リカは一息つくと扉を閉め、壁にもたれ掛かりながら口を開いた。
「知ってましたよ。女神様との事」
思いもよらない言葉が飛び出してきて思わず聞き返す。誰にも知られていないはずの女神との事を何故リカが知っているのだろうか?
「実は前こっこり後をつけてたんです。あの時はまさか女神様だとは思ってませんでしたけど」
「そ、そうだったのか」
「後をつけたことは謝ります。でも、いつも長く村を空けると異様な魔力を感じるので心配になって…」
リカは頭を下げながら言うと少し間を開けて再び話始めた。
「私は、その上で一翔さんにアタックしたんです。他に気のある女性がいる事を知って、それでも玉砕覚悟で当たって行ったんです。だからその、あまり気にしないでください」
「なんでその事を…?」
「気付いてないと想いますけど最近異常なまでに暗いし考え事増えたし私に向ける目が何か言いたげでしたよ。気付かない方が鈍感です」
「そう…だったのか。ごめん、気を付けるよ…」
気にしないでと言われて次の瞬間から気にしないで生きて行けたらどれ程良かったか。当の本人であるリカがこう言うのならできるだけ思考の外にこれを追い出すべきなんだろうけど、一度芽生えた罪悪感はそう簡単には消えてくれない。
「本当にごめん……少し」
「あーもうっ!わかりました。他に好きな女がいるのにその女と上手く行かなくなったからってすぐに私に乗り換えるとかさいってー!ほんと信じられない。その上気にしないでって言ってもまだうじうじと……それでも男か!……コホン、こ、これで良いですか?ちょっと胸の中で留めてた事とかも吐き出したんで……はい」
俺が話し終わるのをまつ子となくリカはそう言った。少し頬を赤らめながらこっちを見ている。今リカが言ったことが俺の心の中で渦を巻いている全てだ。逆に言われた事で少しwckなった気がした。
「その……ほんとごめん。ありがとう、少しだけ軽くなった気がする」
「まったく世話の掛かる人ですよ…。身長的に逆ですからね一翔さんは本当はすごく格好いい人なんですからもう少し胸を張って!」
「あぁ、本当にありがとう」
「きゃっ、ちょ…もう…。えへへ改めてよろしくお願いします。一翔さん」
「こちらこそ。リカ」
今日の晩御飯はアールが作ったらしい。アールは見たこともない料理を作るのだが見た目の割にとても美味しい。
「腕によりを掛けましたとも。どうぞどうぞお食べくださいな」
「アール…相変わらずこの見た目はなんとかならんのか」
「せっかく旨いのに勿体無いぞ…」
「ですね。ここまで来ると芸術作品です」
「そこまで言いますか普通…」
今日はバンが焼きいもを用意してるらしい。いつの間にかサツマイモも栽培していたらしい。
「焼きいもなんて久しぶりだなぁ…」
「そうだろうそうだろう。焼きいもなんてこの時期にしかやらんからなぁ」
「秋ですもんねぇ……あ、秋と言えばですよ!一翔さん、川の近くの木が紅葉で綺麗なんですよ。明日行きましょ!」
「紅葉か。いいな行こ行こ」
「やった!何着てこうかなぁ~」
良く晴れた昼過ぎ。言っていた通り、二人で紅葉を眺めに来た。こんな間近で紅葉を眺めるのははじめてかもしれない。そんな事を考えながら隣に目をやる。そこにはこっちに笑いかけてくるリカがいた。
「晴れて良かったですね~」
「ほんとだな。凄く良い天気だ」
”歩きましょ?”と手を引っ張りながらリカは川沿いを歩きはじめた。
「一翔さんの世界でもこんな感じでした?」
「あぁ。とても似てるよ。相変わらず綺麗だ」
「そうなんですねぇ……あ、鳥だ」
緑と青の鳥が二羽並んでいる。よく見るとあちらこちらに鳥が止まっているみたいだ。
「思ったより色々な生き物がいて好きなんですよねぇ、ここ」
「アールがいつも通う理由もわかるな」
「ですよね。私もたまにここでお昼寝したりするんですよ」
何気ない話をして二人でブラブラと川沿いを歩く。こんな時間を一秒でも長く保ちたい。ふとリカの方に目をやるとき、何かが見えた気がした。でも、そこには何もない。
「どうしました?」
「いや、なんでもないよ。一瞬変なのが見えただけ」
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