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繋がり
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お互いに絡み求め合い、マルスは途中で気を失ってしまった。瞼が閉じる瞬間、ノルファが髪に口づけをしてくれたのがわかった。
「マルス…ずっとそばに……」
今までの想いが溢れるかのように、何度も何度もノルファは愛を囁いてきた。俺の心を愛で満たすかのように―――
これからも、こんな俺と一緒にいてくれるのだろうか?
この満たされた気持ちを、信じていいのだろうか?
「……ノルファ?」
目が覚め、起きあがるとノルファの姿がどこにもなかった。しかし、先ほどまで居たであろう温もりが隣にまだある。
「軍議にいったのか…」
服は着ていなかったが以前同様、綺麗にされていた。ただ、腰の怠さと身体の所々に残された赤い痕が、交わった証として残っている。
ノルファのモノだとわかるように残された痕を見て、マルスは初めて愛される幸福を感じた。
その後、花街から帰って日課のために森へ鍛錬をしに行った。
「うぅ…顔を合わせずらい」
昨晩の事を思い出し、マルスは鍛錬に身が入らなかった。いつノルファが、この場所へ来るかわからない。
「どんな顔で会えばいいんだ」
魔導師団の仕事が始まるまで、森の中にいたがノルファが現れることはなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「報告は受けましたよ。よくやりました」
「ありがとうございます」
マルスは再び、宰相の元へと来ていた。詳しい報告とこれからの指示を仰ぐためだ。
「まさか、キュリラ様が次期当主のリオーラ様の命を狙うなど……王にはご報告しました。証拠が出れば、すぐにキュリラ様は処刑されるでしょう」
タシュリ公爵家の現当主は、我らが王の弟だ。甥であるリオーラ様は王の信頼が深く、将来を期待されている。
その方に手を出したら、命はないとわかっているはずなのに―――
(よほど当主の地位が魅力的なのだろう)
「証拠は今、調べさせています。でも話を聞くかぎり、残していないと思ったほうがよいでしょう」
「連絡はすぐ取れるのですか?」
「渡した花に、魔法を施しましたので連絡は取れます」
「何かあったら、魔導師団で仕事をしていようと駆けつけなさい。頼みましたよ」
「はい、お任せください」
お互いの緑色の瞳が交差する。苦手な色だったが兄上を見ても、いまは何も思わない。
これもノルファのおかげなのだろう…
フッとノルファの顔を思い出し、朝会えなかったのが淋しいと思ってしまった。
(花街に立つ必要が、なくなったとノルファに言ったが…まだ花持ちの相手を断ってはいない。きっと、花街に行けば会えるはず)
しかし、その日花街へ行ってもノルファに会うことはなかった。
一緒に泊まっていた宿屋にも行ったが、今日は来ていないと言われてしまい、仕方なく借りている宿屋へ戻った。
ベッドに座りながら、情報屋から受け取ったタシュリ公爵家をまとめた報告書に目を通す。
(やはり…証拠は残していないか。でもきっとまたリオーラ様を狙ってくるだろうな。それこそ、殺すまで…)
ベッドに横になり、マルスは目を瞑った。考えるのはノルファのことだ。
(…今日は結局、一度も会えなかった。何かあったんだろうか?)
一緒に過ごした時間に知ってしまった、ノルファの温もりを探してしまう―――
(初めてトルマトン家で眠った時よりも、一人で眠る今が一番淋しい…)
きっと明日は会えるはず…と小さく呟き、マルスは眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝になるとマルスは、急いで森へと向かった。鍛錬をしつつ、ノルファが来るのを待ったがやはり姿を現すことはなかった。
(出逢う前に戻っただけ…なのに……)
マルスは魔導師団へ行く途中も、ノルファの姿がないか確認しながら歩いた。
いつも通りの生活、いつも通りの仕事場、それなのに足りない―――
「うわ~、行きたくな~い~」
部屋中に響き渡った声の主が、マルスの元へと駆け寄って来た。手には一枚の紙を握っている。
「大袈裟になんだ?」
「これだよ、これ!」
差し出してきた紙を見ると[魔導師団実験承認書]と書かれていた。これは、危険が及ぶ実験の時に書かれる書類だ。
魔導師団と騎士団の団長それぞれの承認がなければ、王宮内外でその実験が出来ないと決められている。
「カラリス副団長に押しつけられた…騎士団に行きたくな~い~」
魔導師に嫌味ばかり言う騎士団にトゥルーカは行きたくないらしく、心底嫌そうな顔をしていた。
「…だったら、俺が行ってもいいか?」
「え?いいの?」
「騎士団の団長に承認の印をもらってくればいいんだろ」
「あ、ありがとう!マルス!俺のために~!!」
トゥルーカが抱きついてこようとするのをササッと回避し、マルスは早々と騎士団の本部へと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「誰だ?」
団長室の扉を叩くと部屋の中から声がした。すかさず、マルスは目的を告げる。
「魔導師団所属、マルス=トルマトンです。実験承認書の印をもらいに参りました」
「入れ」
失礼します、と声をかけて部屋の中へと足を踏み入れる。団長と思わしき人が、机の上の書類をせっせと処理しており忙しそうだ。
「ベルベサリット様は、元気か?」
書類に目を通しつつ、手を差し出してきたので、マルスは持ってきた書類を渡した。
「はい。毎日元気に魔導師の実験に付き合って、いらっしゃいます」
「最近は、カラリスしか会議に顔を出さないからな。たまに顔を出してほしいものだ」
「伝えておきます」
団長が突然、手を止めてこちらを見てきた。承認の印を書き終わったらしい。
「これで、いいか?」
「はい、ありがとうございます」
承認書に書かれた印を確認し、紙を受け取った。すでに団長は次の書類に目を通し始めている。
(用事が終わってしまった…)
「なんなら、帰り際に訓練場を見て帰るといい」
「え?」
思いもよらない声がけに、思っていたことが口に出ていたのかとマルスは慌てた。
「短剣の使い手なんだろう?お前の手のひらには、短剣を使う者にあるタコが見えた。違うか?」
思わず手のひらを見るが、どこにそのタコがあるのか全くわからない…
「俺は相手がどんな武器を使うか、手を見れば大体わかる」
ニヤリと団長は不敵に笑ったが、マルスはその笑顔にゾッとした。魔導師団には短剣が使えるのを隠しているし、ノルファ以外誰も知らない。
それを手を見ただけで見抜いたのだ。きっとこの男にかかれば、暗殺者もすぐわかってしまうだろう―――
(騎士団は、本当に俺の天敵だらけだな)
「確か、第二騎士団が訓練をしているはずだ。見るだけでもいい経験になるぞ」
「…はい」
深々とお辞儀をし、部屋を出たマルスは訓練場へと歩き出した。
「騎士団の幹部は、癖者揃いか」
歩いていると前方から、剣の当たる音と人の騒めきが聞こえてきた。
(さっき第二騎士団が訓練していると言ってたから、ノルファもいるはず)
こっそりと見つからないように移動し、訓練場を覗き見た。五十人近くの騎士が素振りをしたり、体力作りをしたり各自で動いているのが見えた。
「ノルファ、今日の予定だけど」
(ノルファ!?)
声がした方を見ると、壁際で親しそうに話している二人組がいた。
「任せる。大丈夫だろう?」
「まぁ、問題はないかな。でもそろそろ、ノルファも夜勤やってくれ」
「ああ」
(ノルファだ…すぐそこにいる)
マルスは今すぐ飛び出していきたい気持ちを抑えた。そして、今の自分の立場を改めて理解した。
魔導師団員と騎士団副団長、普段なら接点もなければ、会うことも話しかけることもない。
(これが本来の立ち位置なんだ…)
花街から離れれば…
俺とノルファの距離は、こんなにも遠い―――
「マルス…ずっとそばに……」
今までの想いが溢れるかのように、何度も何度もノルファは愛を囁いてきた。俺の心を愛で満たすかのように―――
これからも、こんな俺と一緒にいてくれるのだろうか?
この満たされた気持ちを、信じていいのだろうか?
「……ノルファ?」
目が覚め、起きあがるとノルファの姿がどこにもなかった。しかし、先ほどまで居たであろう温もりが隣にまだある。
「軍議にいったのか…」
服は着ていなかったが以前同様、綺麗にされていた。ただ、腰の怠さと身体の所々に残された赤い痕が、交わった証として残っている。
ノルファのモノだとわかるように残された痕を見て、マルスは初めて愛される幸福を感じた。
その後、花街から帰って日課のために森へ鍛錬をしに行った。
「うぅ…顔を合わせずらい」
昨晩の事を思い出し、マルスは鍛錬に身が入らなかった。いつノルファが、この場所へ来るかわからない。
「どんな顔で会えばいいんだ」
魔導師団の仕事が始まるまで、森の中にいたがノルファが現れることはなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「報告は受けましたよ。よくやりました」
「ありがとうございます」
マルスは再び、宰相の元へと来ていた。詳しい報告とこれからの指示を仰ぐためだ。
「まさか、キュリラ様が次期当主のリオーラ様の命を狙うなど……王にはご報告しました。証拠が出れば、すぐにキュリラ様は処刑されるでしょう」
タシュリ公爵家の現当主は、我らが王の弟だ。甥であるリオーラ様は王の信頼が深く、将来を期待されている。
その方に手を出したら、命はないとわかっているはずなのに―――
(よほど当主の地位が魅力的なのだろう)
「証拠は今、調べさせています。でも話を聞くかぎり、残していないと思ったほうがよいでしょう」
「連絡はすぐ取れるのですか?」
「渡した花に、魔法を施しましたので連絡は取れます」
「何かあったら、魔導師団で仕事をしていようと駆けつけなさい。頼みましたよ」
「はい、お任せください」
お互いの緑色の瞳が交差する。苦手な色だったが兄上を見ても、いまは何も思わない。
これもノルファのおかげなのだろう…
フッとノルファの顔を思い出し、朝会えなかったのが淋しいと思ってしまった。
(花街に立つ必要が、なくなったとノルファに言ったが…まだ花持ちの相手を断ってはいない。きっと、花街に行けば会えるはず)
しかし、その日花街へ行ってもノルファに会うことはなかった。
一緒に泊まっていた宿屋にも行ったが、今日は来ていないと言われてしまい、仕方なく借りている宿屋へ戻った。
ベッドに座りながら、情報屋から受け取ったタシュリ公爵家をまとめた報告書に目を通す。
(やはり…証拠は残していないか。でもきっとまたリオーラ様を狙ってくるだろうな。それこそ、殺すまで…)
ベッドに横になり、マルスは目を瞑った。考えるのはノルファのことだ。
(…今日は結局、一度も会えなかった。何かあったんだろうか?)
一緒に過ごした時間に知ってしまった、ノルファの温もりを探してしまう―――
(初めてトルマトン家で眠った時よりも、一人で眠る今が一番淋しい…)
きっと明日は会えるはず…と小さく呟き、マルスは眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝になるとマルスは、急いで森へと向かった。鍛錬をしつつ、ノルファが来るのを待ったがやはり姿を現すことはなかった。
(出逢う前に戻っただけ…なのに……)
マルスは魔導師団へ行く途中も、ノルファの姿がないか確認しながら歩いた。
いつも通りの生活、いつも通りの仕事場、それなのに足りない―――
「うわ~、行きたくな~い~」
部屋中に響き渡った声の主が、マルスの元へと駆け寄って来た。手には一枚の紙を握っている。
「大袈裟になんだ?」
「これだよ、これ!」
差し出してきた紙を見ると[魔導師団実験承認書]と書かれていた。これは、危険が及ぶ実験の時に書かれる書類だ。
魔導師団と騎士団の団長それぞれの承認がなければ、王宮内外でその実験が出来ないと決められている。
「カラリス副団長に押しつけられた…騎士団に行きたくな~い~」
魔導師に嫌味ばかり言う騎士団にトゥルーカは行きたくないらしく、心底嫌そうな顔をしていた。
「…だったら、俺が行ってもいいか?」
「え?いいの?」
「騎士団の団長に承認の印をもらってくればいいんだろ」
「あ、ありがとう!マルス!俺のために~!!」
トゥルーカが抱きついてこようとするのをササッと回避し、マルスは早々と騎士団の本部へと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「誰だ?」
団長室の扉を叩くと部屋の中から声がした。すかさず、マルスは目的を告げる。
「魔導師団所属、マルス=トルマトンです。実験承認書の印をもらいに参りました」
「入れ」
失礼します、と声をかけて部屋の中へと足を踏み入れる。団長と思わしき人が、机の上の書類をせっせと処理しており忙しそうだ。
「ベルベサリット様は、元気か?」
書類に目を通しつつ、手を差し出してきたので、マルスは持ってきた書類を渡した。
「はい。毎日元気に魔導師の実験に付き合って、いらっしゃいます」
「最近は、カラリスしか会議に顔を出さないからな。たまに顔を出してほしいものだ」
「伝えておきます」
団長が突然、手を止めてこちらを見てきた。承認の印を書き終わったらしい。
「これで、いいか?」
「はい、ありがとうございます」
承認書に書かれた印を確認し、紙を受け取った。すでに団長は次の書類に目を通し始めている。
(用事が終わってしまった…)
「なんなら、帰り際に訓練場を見て帰るといい」
「え?」
思いもよらない声がけに、思っていたことが口に出ていたのかとマルスは慌てた。
「短剣の使い手なんだろう?お前の手のひらには、短剣を使う者にあるタコが見えた。違うか?」
思わず手のひらを見るが、どこにそのタコがあるのか全くわからない…
「俺は相手がどんな武器を使うか、手を見れば大体わかる」
ニヤリと団長は不敵に笑ったが、マルスはその笑顔にゾッとした。魔導師団には短剣が使えるのを隠しているし、ノルファ以外誰も知らない。
それを手を見ただけで見抜いたのだ。きっとこの男にかかれば、暗殺者もすぐわかってしまうだろう―――
(騎士団は、本当に俺の天敵だらけだな)
「確か、第二騎士団が訓練をしているはずだ。見るだけでもいい経験になるぞ」
「…はい」
深々とお辞儀をし、部屋を出たマルスは訓練場へと歩き出した。
「騎士団の幹部は、癖者揃いか」
歩いていると前方から、剣の当たる音と人の騒めきが聞こえてきた。
(さっき第二騎士団が訓練していると言ってたから、ノルファもいるはず)
こっそりと見つからないように移動し、訓練場を覗き見た。五十人近くの騎士が素振りをしたり、体力作りをしたり各自で動いているのが見えた。
「ノルファ、今日の予定だけど」
(ノルファ!?)
声がした方を見ると、壁際で親しそうに話している二人組がいた。
「任せる。大丈夫だろう?」
「まぁ、問題はないかな。でもそろそろ、ノルファも夜勤やってくれ」
「ああ」
(ノルファだ…すぐそこにいる)
マルスは今すぐ飛び出していきたい気持ちを抑えた。そして、今の自分の立場を改めて理解した。
魔導師団員と騎士団副団長、普段なら接点もなければ、会うことも話しかけることもない。
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俺とノルファの距離は、こんなにも遠い―――
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