激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#73 基礎訓練 応用編⑤

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 迫りくる刃に怯え、杏里は固まった。
 と、空いたほうの手を先に伸ばして、小百合が右の乳首をつまんできた。
 薄いレオタード生地を押し上げて、完全に勃起し、恥ずかしげもなく先をふくらませている硬い乳首。
 それをいきなり小百合のごつい指がつまんだのだ。
 ツンと鼻の奥に抜けるような快感に、びくっと身を震わす杏里。
 が、小百合の目的は乳首への愛撫ではなかった。
 レオタードの生地を指で引っ張って伸ばすと、その先端を鋏で切って穴を開けたのだ。
 小百合の指を離れ、ぱちんとレオタードが杏里の乳房に戻る。
「あ」
 杏里は小さく叫んでいた。
 鋏で開けられた穴から、乳首が飛び出ている。
 蕾の根元をレオタードの布に締めつけられる感触と、その卑猥な眺めに、杏里は耳のつけ根まで赤くなった。
「こっちもだ」
 小百合が杏里の左胸の生地を引っ張り、同じように鋏で穴を開け、もう一方の乳首を飛び出させた。
 はあ、はあ、はあ。
 杏里の息が荒くなる。
 はちきれんばかりに布を押し上げたふたつの丸い乳房。
 その先端に開いた穴から突き出た、ピンク色の美肉のつぼみ。
 それはあまりにも生々しい眺めだった。
 我ながら、なんていやらしい。
 そう思わずにはいられない。
 だが、小百合はそこでやめる気はないようだった。
「今度は、片足を上げて、壁に踵をつけるんだ。そう、バレエのレッスンの要領で」
「え…?」
 意図が理解できず、杏里は小百合のフランケン顔を思わず見つめ返した。
「いいから、やるんだ。ぐずぐずしてないで、言われた通りにしろ」
「は、はい」
 小百合の声に、かすかな苛立ちが混じったのを敏感に聞き取って、杏里はそろそろと右足を上げ始めた。
 体育は苦手だが、身体が柔らかいのが、杏里の唯一の取り柄である。
 ふくらはぎを手で支えてまっすぐ足を伸ばすと、壁の頭より高い位置に踵を固定した。
 当然、限界まで開いた足と足の間で、切れ込みの深いレオタードに包まれた陰部が丸見えになる。
「仕上げだ」
 ぷっくりと盛り上がった恥丘のあわいを人差し指でひと撫ですると、やおら小百合がその部位の布をつまみ上げた。
 鋏が鳴り、当たるはずのない所に外気がふれるのがわかった。
「どうだ」
 一歩下がって、杏里の全身を舐めるように見つめる小百合。
「そんな…」
 片足を頭より高く上げたまま、股の間に目をやって、杏里は絶句した。
 木の葉の形に切り取られたレオタード。
 その縦長の裂け目から、肉厚の”唇”がせり出している。
 真珠のような陰核を上座に光らせたそこは、わずかに開いてサーモンピンクの中身をチラ見せしていた。
「ど、どうして、こんなことを…?」
 杏里はうらめしげに、小百合をにらんだ。
 これじゃ、恥ずかしくて、レスリングどころじゃない。
 こんなの、裸よりひどい…。
 そんな杏里に、満足そうな口調で、小百合が言った。
「わからないか? ふたつの乳首と膣。おまえの武器はその3つだろう? フォールのためにそれを使うんだよ」
 



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