激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#136 女王雌豚化計画①

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 ずいぶんと変わった部屋だな、というのが、ドアを開けて中をのぞいた時の第一印象だった。
 零が監禁されていた独房の隣の部屋である。
 広さは前の部屋の倍以上あるだろうか。
 一応、落ち着いた雰囲気で人の住める様子ではあるが、どこか落ち着かない。
 厚い防音材を張り巡らせた壁のせいもある。
 窓はなく、正面はステージにでもなっているのか、赤いビロードの緞帳が下りていて、これも怪しい。
 調度といえるのは、部屋の中央のベッドひとつだけ。
 真っ黒なシーツが、なんともいえず、艶めかしい。
 百足丸の要望で、零は夜のうちにこちらの部屋に移されていた。
 これから施す施術には極度の精神集中が必要だからと、無理を言って、井沢に部屋を替えてもらったのだ。
 黒いシーツに覆われたキングサイズのベッドの上に、零が四つん這いになっていた。
 手首と足首に鎖のついた拘束具が嵌められているほかは、完全に全裸である。
 こ、これは…。
 百足丸が息を呑んだのは、その尻の形の美しさだった。
 零の、極限までくびれた腰から尻にかけてのラインは、綺麗な洋梨型をしている。
 その腰のあたりまで流れて広がった艶やかな黒髪も、なんともいえず妖艶だ。
 零の尻は予想以上に大きく、十分なほどに成熟しているようだった。
 長い太腿に支えられ、高々と持ち上げられたその双丘を見ているうちに、百足丸は体の中心に熱いマグマが込み上げてくるのを感じないではいられなかった。
 定職に就いたことがないにもかかわらず、百足丸はこれまで女に不自由したことがない。
 放っておいても誘蛾灯に引き寄せられる虫けらのように、勝手に向こうから寄ってくるので、正直、女には食傷気味である。
 その百足丸が、単に裸を目にしただけで、零に対して激しく欲情してしまっている。
 自分で自分が信じられない思いだった。
「これでいいか?」
 ベッドの頭ほうから井沢の声がした。
 見ると、零と向かい合う位置に、キャスター付きの椅子に腰かけた井沢がいた。
「念のためにもう一回、邪眼で意志を拘束しておいた。多少反抗的な態度は取るかもしれないが、何をされてもよもや暴れることはあるまい」
「そうか、それは助かった」
 百足丸は額の脂汗をコートの袖で拭った。
「肛門から第2のチャクラを回すには、かなり高度な技術が必要だ。さすがの俺でも相当時間がかかる」
「半日ぐらいは効果が持続するはずだ。途中で切れるようなら、また催眠術をかけるだけのこと。しかし、肛門から膣内のチャクラを刺激するなんて、そんなことが本当に可能なのか?」
 何のつもりか、井沢は上半身裸で、腰から下には身体にフィットしたボクサーパンツを穿いている。
 ただ施術のありさまを監視するだけでなく、自分自身も何かするつもりなのだろうか。
「そう思って、これを持ってきた」
 百足丸がコートのポケットから取り出したのは、鳥のくちばしに取っ手がついたような金属製の器具である。
「なんだ、それは?」
 井沢が、サングラスをかけた顔をかすかにしかめるのがわかった。
「タスコ。いわゆる肛門鏡だ。産婦人科で治療にも使われるが、アダルトグッズとしても人気の一品さ。これでヴァギナやアヌスを押し広げて、奥の奥までじっくり観察するんだ」
 ふた股に分かれた取っ手を握ると、先端の鳥のくちばし部分が左右に開く。
 そんな単純な仕組みである。
 使い方は簡単だ。
 ヴァギナなりアヌスなりに先端を突っ込んで、取っ手を握る。
 ただそれだけである。
「なるほど、まるで手術だな」
 井沢がにやりと笑う。
「そうさ、その通りだよ。一歩間違えば、痛みで術が解ける可能性がある。その時は、頼んだぞ」
「だろうな。何といっても、相手は我らがクィーンだ。そうそう簡単にはいかないだろうと思って、俺もちょっとした仕掛けを用意しておいた」
 そんなことを言いながら、井沢が背後の緞帳のほうへと顎をしゃくってみせる。
「何だ? その向こうには、何がある?」
「まあ、最後のお楽しみってところだな。そういえば、杏里のほうにもまた一匹、”はぐれ優生種”が潜入したそうだ。大方、杏里のフェロモンに惹かれたんだろう。そっちの首尾も楽しみだ、さあ、それより、女王様が大人しくしていらっしゃるうちに、その手術とやらを始めてくれ」
「わ、わかった」
 百足丸はコートを脱ぐと、右手の手袋をはずし、左手に肛門鏡を持った。
 そうしてひとつ深呼吸すると、おもむろに零の白い尻に顔を近づけていった。


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