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第10部 姦禁のリリス
#107 漆黒の巨神①
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秋の花の咲き乱れるなだらかな丘。
花々の群生の間を、遊歩道が螺旋状にのぼっていく。
その上に覆い被さるようにして、巨大な人の形が動いていた。
それはまるで、たった今地中から這い出てきたばかりのように見えた。
西の空に沈む夕陽を背にしているため、細部まではよく見えない。
が、その髪型、頬の丸み、首筋のラインには見覚えがあった。
両腕で身体を持ち上げ、人型が上半身をさらすと、豊かな乳房が現れた。
紡錘形の形のよい乳房が丘の上にこぼれ落ち、無数の花弁を舞い上げる。
「あれは・・・杏里・・・」
車に乗り込もうとした途中で振り向いたままフリーズし、由羅が茫然とつぶやいた。
「そんな・・・信じられない」
由羅に肩を貸したルナも、無事なほうの眼を驚愕に見開いている。
丘の上に裸の上半身を現した巨大な少女。
それは、確かに杏里にうりふたつだった。
あの子だ、と杏里は思った。
小田切たちと一緒に突然姿を現し、異形の肉塊に変貌して零を呑み込んだ、あの正体不明の少女・・・。
小田切によると、美里の触手に寄生されたふみが、杏里の肉を食べて変身した、謎の生命体だという。
その美里・ふみ・杏里のクローンの融合体が、更に黒野零をも吸収して、巨大化した?
少女は、生まれて初めて外の世界を見たかのように、物珍しげにこうべをめぐらせている。
横を向いて、顏の片側をこちらに向けた時だった。
更に信じられないものを見て、杏里は喉の奥であっと小さく叫んでいた。
少女には、後頭部に当たる部分にもうひとつ、貌があった。
いや、背中と見えたほうにも、もうひとつ別の躰があるといったほうが正確だろう。
杏里そっくりの少女が完全に後ろを向くと、小ぶりの乳房を備えた大人びた顔つきの娘がこちらを向いた。
零だった。
地下施設の天井を突き破って出現した巨人は、杏里と零が背中で融合した異様極まりないキメラなのだ。
その証拠に、少女には腕が四本生えていた。
四本の腕を花畑の中につき、残りの下半身を引き上げようとしている。
「おい、なんだか知らないけど、あんなのが外に出てきたら、かなりヤバいんじゃないのか?」
小悪魔めいた顔をしかめて、由羅が言った。
「大きさといい、あのなんともいえない邪悪な感じといい、まさにラスボスって感じだぜ」
少女は今や骨盤のあたりまで地上に出、何かを探すように周囲を見回している。
最初の頃の、ただ好奇心に駆られてという雰囲気ではない。
明らかに、目的を持って周りを睥睨しているような印象だった。
「探してる・・・。たぶん、私たちを」
怪物を見上げながら、ルナがつぶやいた。
そして、訊いた。
「どうする? 杏里」
花々の群生の間を、遊歩道が螺旋状にのぼっていく。
その上に覆い被さるようにして、巨大な人の形が動いていた。
それはまるで、たった今地中から這い出てきたばかりのように見えた。
西の空に沈む夕陽を背にしているため、細部まではよく見えない。
が、その髪型、頬の丸み、首筋のラインには見覚えがあった。
両腕で身体を持ち上げ、人型が上半身をさらすと、豊かな乳房が現れた。
紡錘形の形のよい乳房が丘の上にこぼれ落ち、無数の花弁を舞い上げる。
「あれは・・・杏里・・・」
車に乗り込もうとした途中で振り向いたままフリーズし、由羅が茫然とつぶやいた。
「そんな・・・信じられない」
由羅に肩を貸したルナも、無事なほうの眼を驚愕に見開いている。
丘の上に裸の上半身を現した巨大な少女。
それは、確かに杏里にうりふたつだった。
あの子だ、と杏里は思った。
小田切たちと一緒に突然姿を現し、異形の肉塊に変貌して零を呑み込んだ、あの正体不明の少女・・・。
小田切によると、美里の触手に寄生されたふみが、杏里の肉を食べて変身した、謎の生命体だという。
その美里・ふみ・杏里のクローンの融合体が、更に黒野零をも吸収して、巨大化した?
少女は、生まれて初めて外の世界を見たかのように、物珍しげにこうべをめぐらせている。
横を向いて、顏の片側をこちらに向けた時だった。
更に信じられないものを見て、杏里は喉の奥であっと小さく叫んでいた。
少女には、後頭部に当たる部分にもうひとつ、貌があった。
いや、背中と見えたほうにも、もうひとつ別の躰があるといったほうが正確だろう。
杏里そっくりの少女が完全に後ろを向くと、小ぶりの乳房を備えた大人びた顔つきの娘がこちらを向いた。
零だった。
地下施設の天井を突き破って出現した巨人は、杏里と零が背中で融合した異様極まりないキメラなのだ。
その証拠に、少女には腕が四本生えていた。
四本の腕を花畑の中につき、残りの下半身を引き上げようとしている。
「おい、なんだか知らないけど、あんなのが外に出てきたら、かなりヤバいんじゃないのか?」
小悪魔めいた顔をしかめて、由羅が言った。
「大きさといい、あのなんともいえない邪悪な感じといい、まさにラスボスって感じだぜ」
少女は今や骨盤のあたりまで地上に出、何かを探すように周囲を見回している。
最初の頃の、ただ好奇心に駆られてという雰囲気ではない。
明らかに、目的を持って周りを睥睨しているような印象だった。
「探してる・・・。たぶん、私たちを」
怪物を見上げながら、ルナがつぶやいた。
そして、訊いた。
「どうする? 杏里」
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