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第319話 真夏の災厄(中編)
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翌日。
学校へ行くと、事態は更に悪化していた。
「おはよ」
挨拶してから、俺はそのことに気づき、危うく卒倒しそうになった。
こっちを向いたクラスメートたち。
その誰もが、鼻の穴や耳の穴から、あのミミズみたいなものを生やしているのだ。
「お、おまえら、そ、それ…」
たじたじとなって後ろに下がろうとすると、背中が何かにぶちあたった。
「なんだ、矢崎、おまえ、まだなのか?」
驚いて振り向いた俺に、担任の青山先生が言った。
見ると、先生の両目の端から、あのミミズが生えてそよ風に吹かれるように身体を揺らしている。
「く、くるな!」
俺はとっさに先生を突き飛ばし、廊下に転がり出た。
わらわらと後を追ってくるクラスメートたち。
それだけではなかった。
廊下を駆ける俺を捕まえようと、他の教室からも生徒や先生たちが溢れ出してくるのだ。
学校が、乗っ取られた!
それしか考えられなかった。
あの奇妙な生き物は、エイリアンか何かなのだろう。
きのうの水飲み場での出来事を思い出す。
たぶん、あれだ。
水が原因に違いない。
やつらはどうにかして、この学校の飲料水に入り込んだのだ。
それを飲んだ人間を、思い通りに操るために。
パラサイト。
寄生生物。
そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
校庭に出ると、背後は大変なことになっていた。
学校中の生徒と教師が雪崩を打って、俺を追いかけてくる。
まずい。
このままではいずれ捕まって、俺もやつらの仲間にされてしまうー。
校舎の角を曲がった時だった。
「こっち!」
声がして、誰かが俺の手首をつかみ、ぐいと引っ張った。
焼却炉の後ろに狭い隙間があり、そこに制服姿の女子がうずくまっている。
見たことのない子だった。
ただ、制服からして、うちの学校の生徒であることは間違いない。
「き、君は…?」
誰何すると、
「しっ!」
唇に立てた人差し指を当てて、少女が制した。
「人間で居たいなら、さっさとこの中に入りなよ」
学校へ行くと、事態は更に悪化していた。
「おはよ」
挨拶してから、俺はそのことに気づき、危うく卒倒しそうになった。
こっちを向いたクラスメートたち。
その誰もが、鼻の穴や耳の穴から、あのミミズみたいなものを生やしているのだ。
「お、おまえら、そ、それ…」
たじたじとなって後ろに下がろうとすると、背中が何かにぶちあたった。
「なんだ、矢崎、おまえ、まだなのか?」
驚いて振り向いた俺に、担任の青山先生が言った。
見ると、先生の両目の端から、あのミミズが生えてそよ風に吹かれるように身体を揺らしている。
「く、くるな!」
俺はとっさに先生を突き飛ばし、廊下に転がり出た。
わらわらと後を追ってくるクラスメートたち。
それだけではなかった。
廊下を駆ける俺を捕まえようと、他の教室からも生徒や先生たちが溢れ出してくるのだ。
学校が、乗っ取られた!
それしか考えられなかった。
あの奇妙な生き物は、エイリアンか何かなのだろう。
きのうの水飲み場での出来事を思い出す。
たぶん、あれだ。
水が原因に違いない。
やつらはどうにかして、この学校の飲料水に入り込んだのだ。
それを飲んだ人間を、思い通りに操るために。
パラサイト。
寄生生物。
そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
校庭に出ると、背後は大変なことになっていた。
学校中の生徒と教師が雪崩を打って、俺を追いかけてくる。
まずい。
このままではいずれ捕まって、俺もやつらの仲間にされてしまうー。
校舎の角を曲がった時だった。
「こっち!」
声がして、誰かが俺の手首をつかみ、ぐいと引っ張った。
焼却炉の後ろに狭い隙間があり、そこに制服姿の女子がうずくまっている。
見たことのない子だった。
ただ、制服からして、うちの学校の生徒であることは間違いない。
「き、君は…?」
誰何すると、
「しっ!」
唇に立てた人差し指を当てて、少女が制した。
「人間で居たいなら、さっさとこの中に入りなよ」
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