409 / 625
#385話 施餓鬼会㊽
しおりを挟む
アパートに帰ると、私はまっすぐ浴室に入った。
湯船に水を張り、その中に”あれ”を放す。
ひも状の謎生物は、突然広い所へ放たれた驚きで少し固まったかに見えたが、すぐにすいすい泳ぎ出した。
それを確認して、脱衣所で鏡に向かい、裸になる。
鏡に映る自分の裸体は、思わずため息が出るほど醜かった。
飛び出た鎖骨。
鳥籠のような肋骨が透けて見える胸には、隆起と呼べるものはほとんどない。
その代わり、干しレーズンそっくりの黒ずんだ醜悪な突起が二つ、平らな胸板の左右についている。
下腹まで隠れる厚手の木綿のショーツを脱ぐと、骨と皮だけのX脚と、ナプキンで覆われた陰部が現れた。
今朝から替えていないナプキンは、経血をたっぷり吸って赤黒い色に染まっている。
生理はきのうから始まっていた。
未成熟な体型をしているくせに、私は昔から生理が重い。
特に2日目以降が最悪だ。
経血の量が多すぎて、うっかりしていると下着やボトムを汚してしまう。
そんな己の身体が憎くてしようがなかったのだが、それがようやく役に立つ時が来たのだ。
べりべりと音を立ててナプキンをはがすと、血にまみれた二列の肉襞が露わになった。
第二次性徴に見放された私の身体には、陰毛がない。
つるりとしたマネキン人形の陰部のようなそこには、肉の赤身みたいなむき出しの亀裂がじかに刻まれている。
見ているうちにも、鮑に酷似した肉襞の隙間から滲み出た新たな経血が、糸を引いて内腿を伝い落ちていく。
全裸の身体に血を流しながら、浴室に戻る。
浴槽の中をのぞきこむと、血の匂いに気づいたのか、いきなり”舌”が大暴れし始めた。
水面から首を出し、私のほうへと必死で伸び上がろうとするのだ。
ヤツメウナギの口がふたつ並んだようなその口吻をパクパクさせて…。
正円形の口の内径にびっしり植わった細かい歯に、私は瞬間、凍りつく。
が、意を決して右足を浴槽に差し入れた。
”舌”は警戒するように飛びのくと、浴槽の反対側の隅に丸まって私の所作をうかがう体勢を取る。
すぐには襲ってこないらしい。
そう見て取った私は、下半身を水の中に沈め、尻を底につけて縁にもたれ、”舌”に向かって両足を開いてみせた。
Mの字に開脚した足と足の間から、墨を流すように赤い血の糸が水中へと漂い出す。
「おいで」
私が呼びかけるのと、”舌”が動くのとが、ほとんど同時だった。
次の瞬間、陰部に激痛が走り、私は声を限りに絶叫していた。
湯船に水を張り、その中に”あれ”を放す。
ひも状の謎生物は、突然広い所へ放たれた驚きで少し固まったかに見えたが、すぐにすいすい泳ぎ出した。
それを確認して、脱衣所で鏡に向かい、裸になる。
鏡に映る自分の裸体は、思わずため息が出るほど醜かった。
飛び出た鎖骨。
鳥籠のような肋骨が透けて見える胸には、隆起と呼べるものはほとんどない。
その代わり、干しレーズンそっくりの黒ずんだ醜悪な突起が二つ、平らな胸板の左右についている。
下腹まで隠れる厚手の木綿のショーツを脱ぐと、骨と皮だけのX脚と、ナプキンで覆われた陰部が現れた。
今朝から替えていないナプキンは、経血をたっぷり吸って赤黒い色に染まっている。
生理はきのうから始まっていた。
未成熟な体型をしているくせに、私は昔から生理が重い。
特に2日目以降が最悪だ。
経血の量が多すぎて、うっかりしていると下着やボトムを汚してしまう。
そんな己の身体が憎くてしようがなかったのだが、それがようやく役に立つ時が来たのだ。
べりべりと音を立ててナプキンをはがすと、血にまみれた二列の肉襞が露わになった。
第二次性徴に見放された私の身体には、陰毛がない。
つるりとしたマネキン人形の陰部のようなそこには、肉の赤身みたいなむき出しの亀裂がじかに刻まれている。
見ているうちにも、鮑に酷似した肉襞の隙間から滲み出た新たな経血が、糸を引いて内腿を伝い落ちていく。
全裸の身体に血を流しながら、浴室に戻る。
浴槽の中をのぞきこむと、血の匂いに気づいたのか、いきなり”舌”が大暴れし始めた。
水面から首を出し、私のほうへと必死で伸び上がろうとするのだ。
ヤツメウナギの口がふたつ並んだようなその口吻をパクパクさせて…。
正円形の口の内径にびっしり植わった細かい歯に、私は瞬間、凍りつく。
が、意を決して右足を浴槽に差し入れた。
”舌”は警戒するように飛びのくと、浴槽の反対側の隅に丸まって私の所作をうかがう体勢を取る。
すぐには襲ってこないらしい。
そう見て取った私は、下半身を水の中に沈め、尻を底につけて縁にもたれ、”舌”に向かって両足を開いてみせた。
Mの字に開脚した足と足の間から、墨を流すように赤い血の糸が水中へと漂い出す。
「おいで」
私が呼びかけるのと、”舌”が動くのとが、ほとんど同時だった。
次の瞬間、陰部に激痛が走り、私は声を限りに絶叫していた。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる