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#396話 旧トンネルの怪①
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県警の交通安全課に所属していると、事故とかの交通に関するニュースはいやでも耳に入ってくる。
中には文字通り耳を疑うような案件もあって、これから話すエピソードもその一つだ。
本題に入る前に簡単に自己紹介をば、しておこう。
私は笹原杏里巡査、26歳。
交番勤務の後、一時捜査一課に勤めていたけれど、諸事情から人事異動を願い出て、今ここにいる。
交通安全課では窓口を受け持っていて、他にはデスクワークと子供安全教室の運営が主な仕事。
とにかく、現場には極力近寄らないようにしているのが現状ではあるのだけれど…。
ごくたまに、そうはいかなくなる時があって、それが玉に瑕というか頭痛の種。
内勤なのになぜそうなるのかというと、理由は黒野零と同居しているからに他ならない。
黒野零がどんなやっかいな女かということはおいおいわかってくると思うので、ここでの説明は省く。
とにかくその日は非番で、私は零と並んでソファでテレビのニュースを見ていた。
正午過ぎのことで、朝食・昼食兼用の卵トーストをかじりながら。
画面に映ったのは古いトンネルだった。
山の斜面にアーチ形に組み上げられたブロックは雑草で覆われ、中は暗くてよく見えない。
「あ、これこれ。きのう職場でも聞いたんだけどさあ、ヘンテコリンな事件なんだよね」
「ヘンテコリン?」
隣で猫みたいに丸くなって寝ていた零が、ようやくといった感じで薄目を開けた。
昼近くになって起きてきたかと思ったら、トマトジュースを一口飲み、その後これだ。
月齢が低いと彼女は乾季の蝸牛並みに不活発になる。
「このトンネル、能勢山トンネルっていってね、もう何十年も使われてなくって、今は有名な心霊スポットになってるんだけど、そこでおととい、大破した自動車が発見されたんだよ」
「ふ~ん」
零は興味なさげにあくびを漏らす。
「それのどこがヘンテコリンなのさ?」
「だってね。そのトンネルに続く旧道は、今は封鎖されて通れないんだよ。確かに脇を新道が並走して通ってるけど、間には高い障壁があって、車は乗り越えることは不可能なの。だからまず、その事故車ってば、どっから来たのってなっちゃうわけ」
「なんだそれ」
つぶやくように言って、また丸くなる零。
その格好は、薄手の白いガウンを纏っているだけで、その下は下着だけである。
「はあ? 零の感想って、たったそれだけ?」
私はむっとした。
考えてみれば、これは明らかに零向きの事件である。
ならば、頭の体操がわりに、引きずり込んでやるのもいいかもしれない。
「零の得意な心霊現象かもしれないでしょ? ほら、ちゃんと見なさいよ」
テレビは事故の状況を詳しく伝え始めている。
私は零の脇腹を指でつついて身を乗り出した。
中には文字通り耳を疑うような案件もあって、これから話すエピソードもその一つだ。
本題に入る前に簡単に自己紹介をば、しておこう。
私は笹原杏里巡査、26歳。
交番勤務の後、一時捜査一課に勤めていたけれど、諸事情から人事異動を願い出て、今ここにいる。
交通安全課では窓口を受け持っていて、他にはデスクワークと子供安全教室の運営が主な仕事。
とにかく、現場には極力近寄らないようにしているのが現状ではあるのだけれど…。
ごくたまに、そうはいかなくなる時があって、それが玉に瑕というか頭痛の種。
内勤なのになぜそうなるのかというと、理由は黒野零と同居しているからに他ならない。
黒野零がどんなやっかいな女かということはおいおいわかってくると思うので、ここでの説明は省く。
とにかくその日は非番で、私は零と並んでソファでテレビのニュースを見ていた。
正午過ぎのことで、朝食・昼食兼用の卵トーストをかじりながら。
画面に映ったのは古いトンネルだった。
山の斜面にアーチ形に組み上げられたブロックは雑草で覆われ、中は暗くてよく見えない。
「あ、これこれ。きのう職場でも聞いたんだけどさあ、ヘンテコリンな事件なんだよね」
「ヘンテコリン?」
隣で猫みたいに丸くなって寝ていた零が、ようやくといった感じで薄目を開けた。
昼近くになって起きてきたかと思ったら、トマトジュースを一口飲み、その後これだ。
月齢が低いと彼女は乾季の蝸牛並みに不活発になる。
「このトンネル、能勢山トンネルっていってね、もう何十年も使われてなくって、今は有名な心霊スポットになってるんだけど、そこでおととい、大破した自動車が発見されたんだよ」
「ふ~ん」
零は興味なさげにあくびを漏らす。
「それのどこがヘンテコリンなのさ?」
「だってね。そのトンネルに続く旧道は、今は封鎖されて通れないんだよ。確かに脇を新道が並走して通ってるけど、間には高い障壁があって、車は乗り越えることは不可能なの。だからまず、その事故車ってば、どっから来たのってなっちゃうわけ」
「なんだそれ」
つぶやくように言って、また丸くなる零。
その格好は、薄手の白いガウンを纏っているだけで、その下は下着だけである。
「はあ? 零の感想って、たったそれだけ?」
私はむっとした。
考えてみれば、これは明らかに零向きの事件である。
ならば、頭の体操がわりに、引きずり込んでやるのもいいかもしれない。
「零の得意な心霊現象かもしれないでしょ? ほら、ちゃんと見なさいよ」
テレビは事故の状況を詳しく伝え始めている。
私は零の脇腹を指でつついて身を乗り出した。
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