超短くても怖い話【ホラーショートショート集】

戸影絵麻

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#401話 旧トンネルの怪⑥

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 穴を埋めた赤土の層は予想よりかなり薄く、3人がかりで掘るとすぐに穴は大きくなった。
「おい、入るのかよ」
 何のためらいも見せず中に入っていく零の背中に、及び腰になったニラさんが呼びかけた。
「怖いならそこで待ってればいい」
 零はとりつく島もなく、暗い穴の中に消えていく。
「ちぇっ、しようがないな。誰も行かないとは言ってねえだろ」
 しぶしぶ動き出したニラさんに私も続いた。
 中は真っ暗に近いのだが、零はまるで白昼の中、大通りを歩くようにどんどん進んでいく。
 月齢が低い時ほど、暗闇を好む習性が、ここに来て役に立ったというわけである。
 闇に眼が利かない私たちは、零のコートの裾を掴んで引きずられるように進むしかない。
 それにしても驚いたのは、このトンネルが思ったより長く、しかも下へ下へと降りていくことだった。
 路面より低い位置まで潜ったかと思うと、今度は平らになり、逆方向へと戻って行く。
「これ、新道の下をくぐってんじゃねえか」
 ニラさんの言葉を証明するかのように、闇の中をしばらく歩くと足元の地面は急に上り坂になり、行く先に丸い出口が現れた。
「うわ、助かった」
 時間にしてほんの十数分のことだったが、外に出るなり私はついそう口走ってしまった。
 穴の中は暗いだけでなく、じめじめしており、更に何の匂いなのか、妙に生臭かったのである。
「ここ、どこだ?」
 ニラさんが手びさしで陽射しを防ぎながら、あたりを眺め回す。
「あそこにガードレールが見えます」
 頭上を指差して、私は言った。
 私たちが立っているのは、ガードレールから下った坂の斜面である。
 足元に目をやると、斜面を下った先には、木々の間から細いせせらぎがのぞいていた。
「たぶんあれ、旧道のガードレールじゃないでしょうか。それも、新道と反対側の、谷に面したほうの」
「やっぱりな。思った通りだ。このトンネル、新道の地下をくぐって、旧道側に繋がってたわけだ」
「ってことは、被害者の車は、事故った後、このトンネルを通って、こっち側に来たってことなんでしょうか?」
「ん~、どうなんかな。この中、とても乗用車で走れるようなコンディションじゃなかった気がするが。俺らがギリギリ立って歩けるくらいの広さしかねえし」
「ですよね。それに、事故の後で、わざわざ苦労して旧道側に移動する理由がわからない」
 ニラさんと考察を繰り広げつつふと見ると、零は軽々とした足取りで斜面を登っていくところだった。
「あ、待って、零。どこ行くの?」
 思わず呼びかけると、
「真犯人の所だよ。こんなとこ、他に何の用がある?」
 と、けんもほろろの返事が返ってきた。

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