超短くても怖い話【ホラーショートショート集】

戸影絵麻

文字の大きさ
454 / 625

#430話 畜生転生⑥

しおりを挟む
 妖精たちは湖のほとりの森の中に住んでいた。
 そこは花々の咲き乱れる楽園で、一日中あたたかく、甘い香りが漂っていた。
 不思議なのは、彼女たちが口をそろえて私のことを「かわいい」と言ってくれることだった。
 かわいいのはどうひいき目に見ても。彼女たちのほうなのに。
 妖精の審美眼というのは、どうやら人間やオークのそれとはかなり違うらしい。
 私はシーラとアイリスの家に住まわせてもらうことになった。
 彼女たちはやさしく、よく笑った。
 そしてやわらかくすべすべの身体をしていて、時折私をぎゅっと抱きしめ、気持ちいいことをしてくれた。
 私は幸せだった。
 元の世界になんて、帰れなくてもいい。
 ここでふたりと一生暮らせたら、と思った。
 でも、いいことなんて、そうそう長くは続かないものである。

 破局は、ある日突然やってきた。
 ある朝のこと。
 外が騒がしいので、木の上の住居から顔を出した私は、そこで思わず腰を抜かしかけた。
 真っ黒なオークの集団が、村を襲っている。
 あちこちで家が壊され、逃げ惑う妖精たちがオークにつかまり、犯されたり、手足を引きちぎられたりしている。
 オークたちは、純粋に殺戮を楽しんでいるようだった。
 私は貧血を起しかけ、それでもななんとかめまいに耐えてはしごで地上に降りた。
「シーラ! アイリス!」
 最愛のふたりの名前を叫んでみた。
 返事はなかった。
 行き場のない悲しみと怒りに震えていると、黒いオークのひとりが私に気づいて、こっちにやってきた。
「なんだ、おまえは? 見かけないブタだな」
 前に会ったオークとは別の種族のようだった。
 こっちのほうが体も大きく、獰猛そうな面構えをしている。
「なんでこんなひどいこと、するの!」
 金切り声で、私は泣きわめいた。
「うるせえ」
 殴られ、蹴られた。
 うつぶせに倒れたところを、後ろから犯された。
 抵抗すると、顔をぼこぼこに殴られ、眼が見えなくなった。
 血だまりの中に沈んだ私の頭を、オークの足が踏みつけた。
 泥が口の中に入り、私は息を詰まらせ、気絶した。


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...