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#431話 畜生転生⑦【最終話】
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ぱちぱちと何かがはぜる音。
それから、顔に吹きつけてくる熱風で、目が覚めた。
身体中が、ジンジン痛んだ。
特に、股間とお尻の穴の痛みがひどかった。
が、身を起こして周囲を見回したとたん、そんな痛みなど、どこかへ吹っ飛んでいた。
村が燃えていた。
妖精たちの無残な死体と一緒に。
あいつらの仕業だ。
罪もない妖精たちを惨殺するだけでは飽き足らず、あの黒オークの一団が村に火を放ったに違いない。
怒りに身体が震えた。
天を仰いで、私は絶叫した。
その時だ。
風に乗って、その声が聞こえてきたのは。
「シーラ…」
私は草むらに駆け寄った。
グロテスクなオブジェのように積み上げられた死体の山の中に、最愛のシーラの顔がのぞいていた。
「アイリスは?」
「みんな、死んじゃった」
シーラが、弱々しく微笑んだ。
「だから、仇を…仇を、取って」
「どうやって?」
私は非力だ。
転生してさえも、何の能力もない。
もとの女子中学生と大差ないのだ。
「私たちを、食べるの。私たち、妖精一族の力を、あなたに上げる…」
それが、最後の言葉だった。
私はちぎれたシーラの首を抱きしめ、涙が枯れるまで泣いた。
こんなに悲しいのは、生まれて初めてだった。
だから、私は食べた。
食べるものは、いくらでもあった。
無残にも破壊された、妖精たちの残骸。
そのちぎれた手足をかじり、腹を裂いて臓物を貪り食った。
オークにも、人間にも、ブタにも受け入れてもらえなかった私。
そんなみじめな私に愛をくれた妖精たちを、私は食べて食べて食べまくった。
その時、私を突き動かしていたのは、世界に対するどす黒い怒りだった。
この世界だけでなく、元居た世界も、すべてが憎かった。
プールサイドで私を嗤ったクラスメイトたち。
シーラやアイリスを殺して妖精の村に火を放った黒いオークたち。
元を正せば、みな同じなのだ。
私の敵であるという、ただその一点においては。
妖精の頭蓋を割って脳髄をすするうちに、私の中に知識がたまっていった。
黒いオークは、魔王に仕えている。
ならばまず、その魔王から始末しよう。
妖精たちの死骸をすべて食べ終えた時、私は見上げるような巨人へと成長していた。
豚そっくりの貌をした、身長100メートルの巨大オークに。
この高さからだと、密林の向こうに、火を噴く山が見えた。
あの山に、魔王が住んでいる。
妖精の知識が、私にその事実を教えていた。
大地を震わすような雄たけびを上げると、私は足を踏み出した。
この世のすべてのものを殺戮し、新たな魔王になるために。
それから、顔に吹きつけてくる熱風で、目が覚めた。
身体中が、ジンジン痛んだ。
特に、股間とお尻の穴の痛みがひどかった。
が、身を起こして周囲を見回したとたん、そんな痛みなど、どこかへ吹っ飛んでいた。
村が燃えていた。
妖精たちの無残な死体と一緒に。
あいつらの仕業だ。
罪もない妖精たちを惨殺するだけでは飽き足らず、あの黒オークの一団が村に火を放ったに違いない。
怒りに身体が震えた。
天を仰いで、私は絶叫した。
その時だ。
風に乗って、その声が聞こえてきたのは。
「シーラ…」
私は草むらに駆け寄った。
グロテスクなオブジェのように積み上げられた死体の山の中に、最愛のシーラの顔がのぞいていた。
「アイリスは?」
「みんな、死んじゃった」
シーラが、弱々しく微笑んだ。
「だから、仇を…仇を、取って」
「どうやって?」
私は非力だ。
転生してさえも、何の能力もない。
もとの女子中学生と大差ないのだ。
「私たちを、食べるの。私たち、妖精一族の力を、あなたに上げる…」
それが、最後の言葉だった。
私はちぎれたシーラの首を抱きしめ、涙が枯れるまで泣いた。
こんなに悲しいのは、生まれて初めてだった。
だから、私は食べた。
食べるものは、いくらでもあった。
無残にも破壊された、妖精たちの残骸。
そのちぎれた手足をかじり、腹を裂いて臓物を貪り食った。
オークにも、人間にも、ブタにも受け入れてもらえなかった私。
そんなみじめな私に愛をくれた妖精たちを、私は食べて食べて食べまくった。
その時、私を突き動かしていたのは、世界に対するどす黒い怒りだった。
この世界だけでなく、元居た世界も、すべてが憎かった。
プールサイドで私を嗤ったクラスメイトたち。
シーラやアイリスを殺して妖精の村に火を放った黒いオークたち。
元を正せば、みな同じなのだ。
私の敵であるという、ただその一点においては。
妖精の頭蓋を割って脳髄をすするうちに、私の中に知識がたまっていった。
黒いオークは、魔王に仕えている。
ならばまず、その魔王から始末しよう。
妖精たちの死骸をすべて食べ終えた時、私は見上げるような巨人へと成長していた。
豚そっくりの貌をした、身長100メートルの巨大オークに。
この高さからだと、密林の向こうに、火を噴く山が見えた。
あの山に、魔王が住んでいる。
妖精の知識が、私にその事実を教えていた。
大地を震わすような雄たけびを上げると、私は足を踏み出した。
この世のすべてのものを殺戮し、新たな魔王になるために。
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