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#435話 妖怪探偵局①
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気がつくと、悪役令嬢に転生していた。
前世で婚約破棄を食らい…・
それから何がどうなったのか。
第一、婚約破棄と言っても、相手の顏すらよく覚えていないのだから話にならないのだ。
問題なのは、私が悪役令嬢でありながらなぜか女子高生で、しかも探偵事務所の所長らしいというこの事実である。
「おい、悪役。仕事だ」
休憩室で寝転がって漫画を読んでいると、使用人の一平が入ってきて、いきなりそう言った。
「おまえさ、女子高生なんだからM字開脚でマンガ読むのやめろよな。パンツ丸見えじゃんか」
「このほうが涼しいんだよ」
私はマンガ本の間から顔を出した。
一平は近所に住んでいる小学生である。
小6のくせにませているのが玉に傷だが、人手がないのでアルバイトで使ってやっている。
バイトなのになぜか態度がでかい。
「依頼人か?」
「ああ。綺麗なねーちゃんだ」
「なんでよりによってうちに来る?」
「知るもんか、なんでも、妖怪を退治してほしいんだとよ」
「はあ?」
私はあんぐりと口を開けた。
「妖怪退治だと? 私は私立探偵だぞ。陰陽師じゃない」
「その前に悪役令嬢なんだろ。なら、何でもできるじゃねーか」
仕方なく事務所に顔を出すと、ストレートヘアの美少女がかしこまって座っていた。
「あ、探偵さんですか」
私を見るなり、ぴょこんと立ち上がり、丁寧にお辞儀をする。
なかなかしつけの行き届いた、いい感じの娘である。
「あたし、浅黄唯と申します。蘭々高校2年生、バスト82、ウェスト48、ヒップ80のJKです」
別にスリーサイズなど、訊いてないんだが。
「あのさ、なんでよりによってうちに来た? 探偵事務所なんていっぱいあろうに」
「悪役令嬢探偵局って名前です」
少女が答えた。
「あたし、悪役令嬢って、大好きなんです。婚約破棄とか。ネット小説でよく読んでるので」
なんだか、マジな顔で言うのが怖い。
確かに私は婚約破棄も転生も経験した悪役令嬢である。
だが、前世の記憶がほとんどないので、そんなことで決められても困る。
悪役令嬢というのは、いわば私の属性であり、天皇のことを日本国の象徴と呼ぶのとほぼ同じ程度の意味しかないからだ。
「あのう、よろしければ、探偵さんの本名をうかがってもいいですか?」
「クリスティーヌ山田。あ、山田ってのは、転生してからつけた苗字だけど」
「クリちゃんと呼んでやれ」
横から一平が言った。
「ガチで嫌がるから」
「え? どうしてですか?」
少女が目を丸くする。
「クリちゃんって、可愛いと思いますけど」
「クリトリズみたいだからだ」
私はしかめ面でかぶりを振った。
「それよか悪役のほうがまだましだ」
といっても、この日本に転生後、私は何も悪いことなどしていないのだが。
「じゃ、悪役さんで」
少女がにこっと微笑んだ。
「確かにクリトリスちゃんは嫌ですよね」
「ああ。そう呼ばれるほど、私のアレはまだ肥大していない」
「そんなことより、要件話せよ」
苛々と一平が言った。
塾の時間が近づいているので、そわそわしているのだ。
使用人のくせに中学受験志望なんて、身の程知らずにもほどがある。
「あ、そうでした」
唯がペロッと可愛らしく舌を出す。
「実はうちの畑に変なものがいっぱい生えてきて」
「変なもの?」
「子どものチンコを引き伸ばしたみたいな、にょろにょろしたやつです」
「それで?」
「それを見たクラスのみんなが口をそろえて言うんです。あれはクネクネって妖怪だから、祟られて死ぬぞって」
「クネクネ? なんだそれ」
私は傍らの一平を見た。
こういこうことは、一平のほうがよく知っている。
「昔からある都市伝説さ。ま、とにかく引き受けてやれよ。悪役、いつも暇そうだろ? 1日5000円で話つけといたから。じゃな」
塾の鞄を抱えて出て行ってしまった。
私はため息をついた。
転生以来、確かに暇である。
オークやゴブリンやスライムと戦うこともなく、ただ都会の喧騒に紛れて惰性で生きているだけだからだ。
「わかった。案内しろ。特別に、私のハーレーに乗せてやる」
前世で婚約破棄を食らい…・
それから何がどうなったのか。
第一、婚約破棄と言っても、相手の顏すらよく覚えていないのだから話にならないのだ。
問題なのは、私が悪役令嬢でありながらなぜか女子高生で、しかも探偵事務所の所長らしいというこの事実である。
「おい、悪役。仕事だ」
休憩室で寝転がって漫画を読んでいると、使用人の一平が入ってきて、いきなりそう言った。
「おまえさ、女子高生なんだからM字開脚でマンガ読むのやめろよな。パンツ丸見えじゃんか」
「このほうが涼しいんだよ」
私はマンガ本の間から顔を出した。
一平は近所に住んでいる小学生である。
小6のくせにませているのが玉に傷だが、人手がないのでアルバイトで使ってやっている。
バイトなのになぜか態度がでかい。
「依頼人か?」
「ああ。綺麗なねーちゃんだ」
「なんでよりによってうちに来る?」
「知るもんか、なんでも、妖怪を退治してほしいんだとよ」
「はあ?」
私はあんぐりと口を開けた。
「妖怪退治だと? 私は私立探偵だぞ。陰陽師じゃない」
「その前に悪役令嬢なんだろ。なら、何でもできるじゃねーか」
仕方なく事務所に顔を出すと、ストレートヘアの美少女がかしこまって座っていた。
「あ、探偵さんですか」
私を見るなり、ぴょこんと立ち上がり、丁寧にお辞儀をする。
なかなかしつけの行き届いた、いい感じの娘である。
「あたし、浅黄唯と申します。蘭々高校2年生、バスト82、ウェスト48、ヒップ80のJKです」
別にスリーサイズなど、訊いてないんだが。
「あのさ、なんでよりによってうちに来た? 探偵事務所なんていっぱいあろうに」
「悪役令嬢探偵局って名前です」
少女が答えた。
「あたし、悪役令嬢って、大好きなんです。婚約破棄とか。ネット小説でよく読んでるので」
なんだか、マジな顔で言うのが怖い。
確かに私は婚約破棄も転生も経験した悪役令嬢である。
だが、前世の記憶がほとんどないので、そんなことで決められても困る。
悪役令嬢というのは、いわば私の属性であり、天皇のことを日本国の象徴と呼ぶのとほぼ同じ程度の意味しかないからだ。
「あのう、よろしければ、探偵さんの本名をうかがってもいいですか?」
「クリスティーヌ山田。あ、山田ってのは、転生してからつけた苗字だけど」
「クリちゃんと呼んでやれ」
横から一平が言った。
「ガチで嫌がるから」
「え? どうしてですか?」
少女が目を丸くする。
「クリちゃんって、可愛いと思いますけど」
「クリトリズみたいだからだ」
私はしかめ面でかぶりを振った。
「それよか悪役のほうがまだましだ」
といっても、この日本に転生後、私は何も悪いことなどしていないのだが。
「じゃ、悪役さんで」
少女がにこっと微笑んだ。
「確かにクリトリスちゃんは嫌ですよね」
「ああ。そう呼ばれるほど、私のアレはまだ肥大していない」
「そんなことより、要件話せよ」
苛々と一平が言った。
塾の時間が近づいているので、そわそわしているのだ。
使用人のくせに中学受験志望なんて、身の程知らずにもほどがある。
「あ、そうでした」
唯がペロッと可愛らしく舌を出す。
「実はうちの畑に変なものがいっぱい生えてきて」
「変なもの?」
「子どものチンコを引き伸ばしたみたいな、にょろにょろしたやつです」
「それで?」
「それを見たクラスのみんなが口をそろえて言うんです。あれはクネクネって妖怪だから、祟られて死ぬぞって」
「クネクネ? なんだそれ」
私は傍らの一平を見た。
こういこうことは、一平のほうがよく知っている。
「昔からある都市伝説さ。ま、とにかく引き受けてやれよ。悪役、いつも暇そうだろ? 1日5000円で話つけといたから。じゃな」
塾の鞄を抱えて出て行ってしまった。
私はため息をついた。
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