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第467話 冥府の王⑱
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あれほどうるさく鳴いていた蝉の声が、一瞬にして消えた。
いつしか、息詰まるほどの静寂が、世界を押し包んでいた。
縁側から射し込む朝陽の中に、鮮明に浮かび上がったもの。
それは、まだ幼い香澄の裸身だった。
つきたての餅のように白い肌。
今にも折れそうなほど華奢な腰。
ついこの間まで幼児体型だった香澄の体は、いつのまにかそこはかとなく丸みを帯びていた。
もちろんまだ胸は小さかった。
が、それでも乳首の周りがかすかに膨らみ、男子とは明らかに異なる曲線を描いている。
その、ほんのかすかな起伏の間に、異様なものが刻み込まれていた。
鎖骨から臍にかけて、赤い蚯蚓腫れが縦に走っているのだ。
「そ、それ、いつからなんだ?」
うめくように、僕は言葉を絞り出した。
声が奇妙にしわがれているのがわかった。
喉がカラカラに干からびて、痰が詰まったみたいな感じ…。
今ならわかる。
それは、恐怖というより、興奮のせいだった。
あってはいけないことだと、うすうすはわかっていたように思う。
だが、僕はこの時、急性の熱病にかかったかのように、ある種の倒錯した興奮に囚われかけていたのだ。
「わからない…。でも、怖い夢を何度も見たの。1ヶ月くらい前から、週に2、3度」
「怖い夢?」
「うん。香澄の寝てるところに、黒い影が入ってきて、襲いかかってくる夢…」
香澄は真っ青な顔をしていた。
小さな顔の中で大きな瞳が潤み、何かを訴えかけるように僕を見つめている。
「その夢、今も見るのか?」
「おじいちゃんが死んじゃう前の日にも、見たよ」
ハンザキはやはり香澄を狙っているということなのか。
夢の中で狙った獲物にマーキングして、いつか目の前に現れ、その自分のつけた切り取り線に沿って、獲物を文字通り半裂きにする…。
まったく、なんて狂った化け物なのだろう。
「香澄、死ぬの?」
消え入りそうな声で、香澄が訊いた。
「そんなわけないだろ」
いつの間にか、僕も立ち上がっていた。
「お兄ちゃん、怖い」
すべすべした柔らかいものが、腕の中に飛び込んできた。
僕の頭の中で、白熱灯を焚いたように何かが爆発したのは、その時だ。
僕は裸の香澄を抱きしめ、いつのまにか畳の上に押し倒していた。
香澄の下半身が魚のように跳ね、下着がはぎ取られる。
僕は狂ったように服を脱ぎ、ズボンと下着を脱ぎ捨て、その柔らかな身体に猛り立った自分を押しつけた。
マグマが噴き上がり、何も考えられなくなる。
「そんなこと、俺がさせない…絶対に」
香澄の顔にキスの雨を降らせ、うわ言みたいにそんなことをささやいたように思う。
そして。
白茶けた世界の真ん中で、熱く滾った僕を受け容れながら、香澄は苦しげにつぶやいたのだ。
「痛いよ、お兄ちゃん…」
と、ただひと言。
いつしか、息詰まるほどの静寂が、世界を押し包んでいた。
縁側から射し込む朝陽の中に、鮮明に浮かび上がったもの。
それは、まだ幼い香澄の裸身だった。
つきたての餅のように白い肌。
今にも折れそうなほど華奢な腰。
ついこの間まで幼児体型だった香澄の体は、いつのまにかそこはかとなく丸みを帯びていた。
もちろんまだ胸は小さかった。
が、それでも乳首の周りがかすかに膨らみ、男子とは明らかに異なる曲線を描いている。
その、ほんのかすかな起伏の間に、異様なものが刻み込まれていた。
鎖骨から臍にかけて、赤い蚯蚓腫れが縦に走っているのだ。
「そ、それ、いつからなんだ?」
うめくように、僕は言葉を絞り出した。
声が奇妙にしわがれているのがわかった。
喉がカラカラに干からびて、痰が詰まったみたいな感じ…。
今ならわかる。
それは、恐怖というより、興奮のせいだった。
あってはいけないことだと、うすうすはわかっていたように思う。
だが、僕はこの時、急性の熱病にかかったかのように、ある種の倒錯した興奮に囚われかけていたのだ。
「わからない…。でも、怖い夢を何度も見たの。1ヶ月くらい前から、週に2、3度」
「怖い夢?」
「うん。香澄の寝てるところに、黒い影が入ってきて、襲いかかってくる夢…」
香澄は真っ青な顔をしていた。
小さな顔の中で大きな瞳が潤み、何かを訴えかけるように僕を見つめている。
「その夢、今も見るのか?」
「おじいちゃんが死んじゃう前の日にも、見たよ」
ハンザキはやはり香澄を狙っているということなのか。
夢の中で狙った獲物にマーキングして、いつか目の前に現れ、その自分のつけた切り取り線に沿って、獲物を文字通り半裂きにする…。
まったく、なんて狂った化け物なのだろう。
「香澄、死ぬの?」
消え入りそうな声で、香澄が訊いた。
「そんなわけないだろ」
いつの間にか、僕も立ち上がっていた。
「お兄ちゃん、怖い」
すべすべした柔らかいものが、腕の中に飛び込んできた。
僕の頭の中で、白熱灯を焚いたように何かが爆発したのは、その時だ。
僕は裸の香澄を抱きしめ、いつのまにか畳の上に押し倒していた。
香澄の下半身が魚のように跳ね、下着がはぎ取られる。
僕は狂ったように服を脱ぎ、ズボンと下着を脱ぎ捨て、その柔らかな身体に猛り立った自分を押しつけた。
マグマが噴き上がり、何も考えられなくなる。
「そんなこと、俺がさせない…絶対に」
香澄の顔にキスの雨を降らせ、うわ言みたいにそんなことをささやいたように思う。
そして。
白茶けた世界の真ん中で、熱く滾った僕を受け容れながら、香澄は苦しげにつぶやいたのだ。
「痛いよ、お兄ちゃん…」
と、ただひと言。
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