超短くても怖い話【ホラーショートショート集】

戸影絵麻

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第498話 冥府の王㊾

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 ぴたんぴたんと僕の下腹が母の尻に当たって音を立てた。
「ああん、いい…」
 そのたびに、母が狂おしげに身体をくねらせた。 
 少したるみ始めた脇腹で肉がよじれ、段ができた。
 その拍子に母の穴が急速に縮まり、怒張した僕の一部を強く圧迫した。
「か、かあさん、な、何か、出そう」
 ピストン運動をゆるめて、僕はうめいた。
 が、その声はすでに母には届かないようだった。
 髪を振り乱して尻を振りたくる母は、すでに欲情した一頭の雌と化していた。
 僕はその勢いに押され、湯船の中に尻もちをついた。
 その上に座り込み、母が上下に腰を弾ませる。
 もう、いけなかった。
 僕の性器は嵐の中の小枝のようなものだった。
「あ、だ、だめ」
 逃げるすべもなく、僕は叫んだ。
 快感が後頭部ではじけ、目の前が白くなる。
 躰の底から何か噴き上げ、性器がどくんどくんと蠢動する。
「うっ」
 母が尻を上げた時にはもう手後れだった。
 僕は母の胎内に熱くたぎるエキスを瞬時にしてぶちまけていた。
「いっちゃったの?」
 母が立ち上がった。
 股間から、お湯とともに卵の白身のような液体が糸を引いている。
 指で襞を広げて、シャワーでそれを外に流し出すと、呆然と湯船に沈んだままの僕のほうに向き直り、母が言った。
「このことは、内緒よ。誰にも言っちゃ、いけないわ。約束守ってくれたら、またしてあげるから」
 妙に突き詰めた目をして、そう言った。
「わ、わかった」
 僕はうなずいた。
 またしてあげる…。
 そのひと言に、放出したばかりだというのに、また性器が鎌首を持ち上げた。
「立ちなさい。お口できれいにしてあげる」
 透明なお湯を通してその様子が見えたのか、かすかに微笑んで母が言った。
 お口で…?
 僕は、半ば開いた母の赤い唇を吸い込まれるように見つめた。
 そして、頭の隅でふと思った。
 母は、どこか狂ってしまっているのではないか…と。
 子ども心にも、そんな気がしてならなかったのだ。
 
 

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