超短くても怖い話【ホラーショートショート集】

戸影絵麻

文字の大きさ
530 / 605

第506話 冥府の王(57)

しおりを挟む
 竿の部分を左手で握り、香澄が僕の亀頭を見つめている。
 カリがすべて露わになるまで包皮を剥かれた僕の哀れな亀頭は、赤紫色に充血して今にも張り裂けんばかりだ。
 尿道口からにじみ出る粘液を人差し指の先につけて、香澄がすっと糸を伸ばす。
 まるで初めて理科の実験に取り組む小学生のような、異様なほどの熱心さだ。
 ひとしきり粘液を伸ばして遊んだ後、香澄が亀頭の上につーっと唾を垂らした。
 細かい泡を含んだ唾液が充血した亀頭に滴り落ちると、手のひらでそれを伸ばし、おもむろに表面をさすり始めた。
 ひりつく痛みがやがて快感に変わり、僕は無意識のうちに喘いでいた。
「お母さんはね、ハンザキが来てじいちゃんを殺したあの時、ハンザキの一部に憑りつかれたんだと思う。さっき口から出てきた黒い風船みたいなのが、それ。あの黒いのは、お母さんの中でだんだん大きくなって、お母さんを操り、お兄ちゃんを仲間にしようとしてた。香澄、おかしいと思ったのよね。お母さんが病院から帰ってきた時、変な匂いさせてたから。今思うと、あれは、ハンザキと同じ匂いだった」
 長い独り言をつぶやきながら、香澄は僕の肉棒を弄ぶのをやめようとしない。
 唾と粘液でべとべとに濡れた手のひらで亀頭をこねまわし、もう一方の手で竿の部分をゆっくりとしごいている。
 僕は体の中心をつかまれ、腰を突き出して、硬直した姿勢のままだ。
 全神経が勃起したペニスに集中し、僕の存在自体がもうそこにしかないような気さえする。
「だから香澄は、お兄ちゃんの躰に入った悪いものも出さなきゃならないの。ほら、気持ちいいでしょ。もっと、気持ちよくしてあげるね」
 ソフトクリームを舐めるような感じだった。
 香澄が舌で僕のペニスをぞろりと舐め上げ、やがてすっぽりと口に頬張った。
 じゅるじゅる音をさせて、頭を前後に動かし始める。
「ああああああっ」
 鋭い快感に突き動かされ、僕は香澄の後頭部に手を回し、力いっぱいその顔を股間に押しつけた。
 香澄の喉がごぼっと音を立て、膨れ上がった亀頭の先が柔らかい肉にめり込んだ。
 どくっ。
 腰のあたりで脈動が始まった。
 いったん始まると、それはもう止めることができなかった。
 どくっ、どくっ、どくっ。
 香澄の口の中で僕の分身がはじけた。
 尿道を貫いて、大量の液体が迸るのが分かった。
 腰砕けになり、よろめいた僕は、見た。
 顔を上げた香澄の唇の端から、真っ黒な液体が滴っている。
 それを口に含んだまま、香澄が立ち上がる。
 そして顔を近づけてくると、僕の口に、黒く濡れた唇を押しつけた。
 どろりとした苦いものが、口の中いっぱいに広がった。
 口移しでそれを僕に飲ませると、すれすれまで顔を近づけて、香澄が言った。
「それ飲んで、免疫力をつけるんだよ。闇に対する免疫力をね」



しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

処理中です...