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ACT6 帝国の魔手
#5 リコ④
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クローゼットや衣装ダンスを引っ掻き回してやっと見つけ出したのは、いつか撮影で使った純白のテニススコートだった。
それ自体は何の変哲もない健康的な普通のミニスカートなのだが、脚の超長いリコが穿くと大変なことになる。
Mサイズだから、股間ぎりぎりまでしかスカートの裾が来ないのだ。
つまり膝上50センチ、股下0センチというわけで、極めて危険な香りのするコスチュームになり下がる。
そこに、上はへそ丸出しのホルダートップを着ろというのだから、真夏ならいざ知らず、まだ3月のこの季節には無茶な話だった。
いっそのこと、スカートの下にアンダースコートをと思ったが、ハルが不機嫌になるだろうと思い、やめておいた。
そこで穿くことにしたのが、シンプルなデザインのビキニパンティである。
これならハルも満足するに違いない。
なんとなく、そんな予感がしたからだ。
上下を着終え、鏡で化粧の乗りをチェックする。
グラビア撮影の時以外、化粧などほとんどしないせいで、仕上がりに不安が残る。
ルージュが濃すぎやしないかと色々試していると、前頭葉で久々にイオの”声”がした。
『リコ、どうしたのですか? いつものあなたらしくないですよ』
「なんだ、やぶから棒に」
どきりとしたが、軽く聞き流す。
『あの宇宙刑事のことです。ゆうべのあれは、ほとんどレイプでしょう。なのにあなたは』
『うるさいな。人の私生活に口出しすんなって。そういうおまえこそ、どうしてたんだよ?』
『色々調べていました。で、見つけました。帝国とエウロパの接触の痕跡を。ハルの言う銀河帝国は、確かに存在するようです。私の母星も、滅びる間際まで、ごくたまに帝国の一部とコンタクトを取っていたようです。もっとも、むこうはヒューマノイド主体で、こっちは珪素生命体の文明ですから、あまり相手にされていなかったようですが』
「てことは、ハルが追ってるっていうジラフとかいう犯罪者も、この地球に来てるということか』
『はい。可能性は高いです。ただ、それが破滅の天使とどう結びつくのかは、今のところ不明です』
『あのアリアを追っかけてる、腸詰帝国ってのが、怪しいな。だいたい、なんで腸詰なんだよ? 腸詰って、ソーセージのことだろ?』
『さあ、それももう少し調べてみないと。あ、それから、そのアリアという娘ですが、気をつけてくださいね。あの子は見た目通りの子どもではないようです。どうもあなたは気づいていないようですが、ゆうべあの後』
イオがそこまで”言っ”た時だった。
コンコン、と軽いノックの音がして、当のアリアが顔を出した。
「わあ、リコさま素敵ですぅ! とってもよくお似合いですぅ!」
「撮影用の衣装だよ。事務所に返すの、忘れてた」
てくてく入ってきたアリアは、相変わらずの学ラン姿。
袖は長すぎるのに、胸のあたりだけ、窮屈そうにふくらんでいる。
「そかあ。リコさま、グラドルでしたものね。アリア、撮影風景、めっちゃ見たいですぅ」
愛くるしい瞳をキラキラさせて、アリアが言う。
このいたいけな小娘の、どこに気をつけろと?
頭の中で問うてみたが、もう、イオは答えない。
「ああ、機会があれば、呼んでやるよ。ま、きのう、撮影ブッチしたから、事務所、首になるかもしれないけど」
あれ以来、マネージャーの卓からの連絡もない。
不気味といえば、不気味である。
「ごめんなさい。アリアのせいで」
アリアの顔が歪んだ。
うなだれて、ひくひく肩を震わせ始めた。
「アリアは関係ないよ。単にあたしの趣味が、怪獣退治ってだけ」
右手を伸ばし、そのふわふわした髪をわしゃわしゃかきまぜた。
「リコさまあ!」
両手を広げ、アリアが抱きついてきた。
背が低いので、顔がリコのGカップバストの谷間にめり込んでしまう。
「ハルったら、ひどいですよね。アリアは、こんなにリコさまのこと、好きなのに」
「ハルはドSだからな」
リコは笑った。
「ま、あんまり気にするなって。うちは別になんとも思ってないんだしさ」
「ほんとですかあ?」
アリアが顔を上げ、上目づかいにリコを見た。
「もしかして、ハルのこと、好きだったりしませんかあ?」
瞳が期待に燃えている。
「ま、まさか」
リコは苦笑した。
「ああいうきついのは、正直苦手なんでね」
「わあい」
手を叩いて飛び上がるアリア。
「それを聞いて、安心しましたあ! じゃ、アリアにも、可能性があるってことですよね?」
は?
何の可能性?
リコは、首をかしげた。
が、訊き返しているひまはなかった。
「アリア、早くしろ。ふたりとも、遅い。もう、とっくの昔にタクシー来てるじゃないか」
階下から、そんなハルの声が飛んできたからである。
それ自体は何の変哲もない健康的な普通のミニスカートなのだが、脚の超長いリコが穿くと大変なことになる。
Mサイズだから、股間ぎりぎりまでしかスカートの裾が来ないのだ。
つまり膝上50センチ、股下0センチというわけで、極めて危険な香りのするコスチュームになり下がる。
そこに、上はへそ丸出しのホルダートップを着ろというのだから、真夏ならいざ知らず、まだ3月のこの季節には無茶な話だった。
いっそのこと、スカートの下にアンダースコートをと思ったが、ハルが不機嫌になるだろうと思い、やめておいた。
そこで穿くことにしたのが、シンプルなデザインのビキニパンティである。
これならハルも満足するに違いない。
なんとなく、そんな予感がしたからだ。
上下を着終え、鏡で化粧の乗りをチェックする。
グラビア撮影の時以外、化粧などほとんどしないせいで、仕上がりに不安が残る。
ルージュが濃すぎやしないかと色々試していると、前頭葉で久々にイオの”声”がした。
『リコ、どうしたのですか? いつものあなたらしくないですよ』
「なんだ、やぶから棒に」
どきりとしたが、軽く聞き流す。
『あの宇宙刑事のことです。ゆうべのあれは、ほとんどレイプでしょう。なのにあなたは』
『うるさいな。人の私生活に口出しすんなって。そういうおまえこそ、どうしてたんだよ?』
『色々調べていました。で、見つけました。帝国とエウロパの接触の痕跡を。ハルの言う銀河帝国は、確かに存在するようです。私の母星も、滅びる間際まで、ごくたまに帝国の一部とコンタクトを取っていたようです。もっとも、むこうはヒューマノイド主体で、こっちは珪素生命体の文明ですから、あまり相手にされていなかったようですが』
「てことは、ハルが追ってるっていうジラフとかいう犯罪者も、この地球に来てるということか』
『はい。可能性は高いです。ただ、それが破滅の天使とどう結びつくのかは、今のところ不明です』
『あのアリアを追っかけてる、腸詰帝国ってのが、怪しいな。だいたい、なんで腸詰なんだよ? 腸詰って、ソーセージのことだろ?』
『さあ、それももう少し調べてみないと。あ、それから、そのアリアという娘ですが、気をつけてくださいね。あの子は見た目通りの子どもではないようです。どうもあなたは気づいていないようですが、ゆうべあの後』
イオがそこまで”言っ”た時だった。
コンコン、と軽いノックの音がして、当のアリアが顔を出した。
「わあ、リコさま素敵ですぅ! とってもよくお似合いですぅ!」
「撮影用の衣装だよ。事務所に返すの、忘れてた」
てくてく入ってきたアリアは、相変わらずの学ラン姿。
袖は長すぎるのに、胸のあたりだけ、窮屈そうにふくらんでいる。
「そかあ。リコさま、グラドルでしたものね。アリア、撮影風景、めっちゃ見たいですぅ」
愛くるしい瞳をキラキラさせて、アリアが言う。
このいたいけな小娘の、どこに気をつけろと?
頭の中で問うてみたが、もう、イオは答えない。
「ああ、機会があれば、呼んでやるよ。ま、きのう、撮影ブッチしたから、事務所、首になるかもしれないけど」
あれ以来、マネージャーの卓からの連絡もない。
不気味といえば、不気味である。
「ごめんなさい。アリアのせいで」
アリアの顔が歪んだ。
うなだれて、ひくひく肩を震わせ始めた。
「アリアは関係ないよ。単にあたしの趣味が、怪獣退治ってだけ」
右手を伸ばし、そのふわふわした髪をわしゃわしゃかきまぜた。
「リコさまあ!」
両手を広げ、アリアが抱きついてきた。
背が低いので、顔がリコのGカップバストの谷間にめり込んでしまう。
「ハルったら、ひどいですよね。アリアは、こんなにリコさまのこと、好きなのに」
「ハルはドSだからな」
リコは笑った。
「ま、あんまり気にするなって。うちは別になんとも思ってないんだしさ」
「ほんとですかあ?」
アリアが顔を上げ、上目づかいにリコを見た。
「もしかして、ハルのこと、好きだったりしませんかあ?」
瞳が期待に燃えている。
「ま、まさか」
リコは苦笑した。
「ああいうきついのは、正直苦手なんでね」
「わあい」
手を叩いて飛び上がるアリア。
「それを聞いて、安心しましたあ! じゃ、アリアにも、可能性があるってことですよね?」
は?
何の可能性?
リコは、首をかしげた。
が、訊き返しているひまはなかった。
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階下から、そんなハルの声が飛んできたからである。
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