異世界病棟 ～淫夢迷宮～

淫蕩な秘密⑬

「グブッ」
　蓮月が奇妙な声を上げた。
　合わさった唇と唇の間。
　こじ開けた乙都の口から蓮月の口の中に、何かが入っていく。
　吸盤だらけのそれは、舌ではなく、明らかに蛸の触手のようなものだった。
　乙都の舌が触手に変わり、蓮月の喉に潜り込み、食道を降下し始めたのである。
　同じ異変が、下半身でも起きていた。
　二人は太腿で互いの腰を挟み、股間の濡れた肉の襞同士を絡め合い、熱い開口部を密着させているのだが･･･。
　乙都の蜜壺の中から吸盤だらけの太い触手が伸び、蓮月の体内にうねりながら入り込んでいくのである。
「あぐぐっ･･･」
　また、蓮月がうめいた。
　口の端からよだれが垂れている。
　頬が引き攣り、眼窩の中で、ゆっくりと眼球が裏返っていく。
　乙都は頭の芯が痺れるような快感に襲われ、必死で蓮月の逞しい裸体にしがみつく。
　快感のあまり、体の中身が液化して外に流出し、蓮月の中に流れ込んでいくような感覚だった。
　スライムのように流れ出した臓物が蓮月の体内で”触手”に再構成され、その先端に開いた口で蓮月のエキスを吸い始めたー。
　そんなイメージが、朦朧となった乙都の脳裏に去来した。　
　さっきまでとは逆に、今は乙都のほうが、大柄な蓮月を抱きしめている。
　抱き締めて口と股間を密着させ、蓮月の巨乳に、己の固く張った乳房を潰れんばかりに押しつけている。
　勃起した乳首と乳首が正面からぶつかり合い、互いを乳輪のなかに埋めこんでいく。
　上半身をグラインドさせると、硬い乳首同士がコリコリこすれて異様に気持ちがいい。
　乙都が乳首責めに夢中になっている間にも、彼女の意志とは無関係に、触手は蓮月の体内を進んでいく。
　触手は明らかに、あの謎の髑髏が乙都の躰の中に遺したものらしい。
　その正体不明の触手が何かの拍子に成長し、蓮月の肉体から命のエキスとでもいうべきものを吸い取っている。
「ああっ、い、いくっ」
　乙都の口から己の口を外して、くぐもった声で、蓮月があえいだ。
　その瞬間、二人の口と口をつなぐ、濡れ光る触手の胴が垣間見えた。
　裸身を弓のように反り返らせ、蓮月がガクガク身体を震わせ始める。
　乙都の腰のくびれを挟んだ長い脚が突っ張り、指がぴんと伸びた。
　じゅわっ。
　膣内に、マグマのように多量の愛液が溢れ出す。
　それを待ちかまえていたかのように、乙都の触手が頭を振り、溢れた液を吸収する。
「あ、ああ、ああああ、ああああああっ！」
　汗で光る蓮月の裸身が、淫らにのけぞった。
　口から吐き出された触手が、するすると乙都の喉に戻っていく。
　下半身も同じだった。
　蓮月の愛液を吸い尽くすと、触手は縮んで、乙都の秘裂の狭間に吸い込まれていった。
　バスルームに、静寂が戻る。
「なに、これ？」
　ふと乙都は我に返った。
　今の今まで、長い悪夢の中にいた気がする。
　口の中に、奇妙な”味”が残っていた。
　触手が吸った、蓮月の”エキス”の味に違いない。
　気のせいか、激しい自慰の直後のように、性器の中がひりひりする。
「レンゲちゃん、大丈夫？」
　腕の中で気を失った全裸の蓮月を、乙都はいつまでも揺すり続けていたー。