引きこもりの従兄を更生させるはずが、逆に”女”にさせられちゃいましたとさ! てへっ

戸影絵麻

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#7 ギブ・アンド・テイクはイヤすぎる①

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 そりゃそうだろう、と私は思った。

 どんな鈍いやつの目から見ても、私が親の差し金だということは、明々白々、自明の理である。

 ましてや、もともと頭は優秀で、私の10倍は脳細胞があるだろう邦彦に、その程度のことがわからないはずがない。

 そもそも私レベルの美少女JKが、引きこもりオタクの部屋を訪問する理由なんてどこにもない。

「つまり君は、うちの親父に頼まれて、僕を説得しに来たと、そういうわけなんだろう? 引きこもりをやめて、社会に復帰するようにってさ」

 こっちに背中を向けたまま、投げやりな口調で邦彦が言った。

「ま、そういうことになるかな。社会復帰は大げさだけど、とりあえず部屋から出るようにしてほしいって」

 嘘をついてもどうせばれるので、あっさり私は白状した。

「どうせ美咲ちゃんのことだから、お金につられたんだろう? アルバイト感覚でさ」

「ビンゴだね」

「いくらで頼まれたの?」

「うーんと、10万」

 ここまで言わなくてもいいだろう、と思ったけど、口が勝手に動いてしまっていた。

「10万か。大金だね」

「だろ? だから、言うこと聞けよ」

「いやだ」

 邦彦が、取りつくシマもない調子で、言ってのけた。

「なんでだよ! あたしの10万、ふいにする気?」

 私が思わず声を張り上げたのは、もういうまでもない。
 
 母への援助が。

 焼肉食べ放題が。

 カラオケが。

 銀だこが。

 みんなみんな、水の泡となって消えていく。

「だってそうだろ? そんなことしても、僕にはなんの得もないんだもの」

 自棄になったように邦彦が言い張った。

「1割あげるから」
 
 10万の1割って、いくら?

 頭の中で計算しながら、私は提案した。

「お金なんていらないよ」

 邦彦はにべもない。

「じゃあ、どうすりゃいいんだよ?」

 こいつ、殴ってやろうか。

 その勢いで訊いたら、

「まあ、美咲ちゃんが、僕の頼み聞いてくれるなら、考えてあげてもいいけど」

 ちらと肩越しに私の顔を盗み見て、邦彦が意味ありげなことを口にした。

 頼み?
 
 なんだろう?

 でも、その程度で10万手に入るなら、これってひょっとして、お安いご用?

「いいよ。なんでも言ってみなよ」

 ミニスカートだということも忘れ、大きく胡坐をかいて私は言った。

「ほんとだね。今、『なんでも』って言ったよね」

 振り向く邦彦。

 なんだ、その意味深な言い方は。

「あ、ああ」

 仕方なくうなずくと、

「じゃあ、させてよ」

 小さな目をらんらんと輝かせて、邦彦がにいっと口角を吊り上げた。
 
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