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#11 呪われた男
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豊臣秀次は、数奇な運命をたどった人物である。
薄幸と言い換えてもよいかもしれない。
父は三好吉房、母は豊臣秀吉の姉、日秀。
初め宮部継潤の養子、のち三好康長の養子となるなど、子どもの頃は政略の道具として扱われ、人質として武将の間を転々とした。
長じてからは、甥ということで秀吉に取り立てられ、天正12年4月の小牧・長久手の戦では指揮を任される。
ただしこの時は、家中に多数の戦死者を出して秀吉から叱責を受けている。
が、その後少しずつ武勲を積み重ねると、やがて羽柴の名字を許され、それまでの孫七郎を改め、秀吉の名から1字をもらい、秀次と名乗った。
その後、近江の地などに43万石を与えられた秀次は、近江八幡山の城主となり、従三位中納言に就任するなど、とんとん拍子に出世していく。
そして、秀吉の異父弟秀長や実子の鶴松が相次いで病没すると、ついには左大臣に叙任して、秀吉から関白職と黄金の城、聚楽第を譲られたのは、記憶に新しいところである。
だが、だからといって、秀次に政権運営の任が与えられたわけではなかった。
秀次が関白に就任した後も、実権は太閤秀吉が握っていたからだ。
彼の人生が坂を転がる石の如く、下降線を下り始めたのは、文禄2年のこと。
この年、秀吉の側室淀殿が秀頼を産んだのである。
一度は甥の秀次に後を継がせるつもりだった秀吉は、実子が産まれたことで心変わりしたのか、突然秀次を冷遇し始めた。
そして文禄4年、今年の7月のこと。
謀反を企んだ廉で秀次は高野山に蟄居させられ、挙句の果てに切腹に追い込まれた。
更にこれに続いたのが、秀次のふたりの子どもと妻、更に側室合わせて39人が主人の首を前にして京都三条河原で惨殺されるという、いわゆる『秀次事件』だったのだ。
薄幸と言い換えてもよいかもしれない。
父は三好吉房、母は豊臣秀吉の姉、日秀。
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が、その後少しずつ武勲を積み重ねると、やがて羽柴の名字を許され、それまでの孫七郎を改め、秀吉の名から1字をもらい、秀次と名乗った。
その後、近江の地などに43万石を与えられた秀次は、近江八幡山の城主となり、従三位中納言に就任するなど、とんとん拍子に出世していく。
そして、秀吉の異父弟秀長や実子の鶴松が相次いで病没すると、ついには左大臣に叙任して、秀吉から関白職と黄金の城、聚楽第を譲られたのは、記憶に新しいところである。
だが、だからといって、秀次に政権運営の任が与えられたわけではなかった。
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そして文禄4年、今年の7月のこと。
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