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第6章 アンアン魔界行
#134 アンアン、死す①
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「でも、変だよな。魔界は明らかに地獄界から侵略を受けていた。なのに、ここには魔界の住人も地獄の住人も、仲良く肩をそろえてる。これってなんか、おかしくないか?」
びっしり埋まった観客席を見回して、僕はさっきから疑問に思っていたことを口にした。
そう、魔界と地獄界は、今、敵対関係にあるはずなのだ。
それなのに、この多文化共生社会を絵に描いたような風景は、いったい何なんだ?
「ここに集っているのは、それぞれの階層の上流階級なのではないですか。対立しているように見えるのは、下層民たちの間のことにすぎず、上流階級同士は手を握り合っている。どこの世界でもよくあることです。おそらく、人間界でもそうでしょう?」
こともなげにナイアルラトホテップが言ったけど、そうなると、どういうことになる?
「じゃあ、俺たちの知らないところで、何か巨大な陰謀が動いてるとか、そういうこと?」
「たぶんね。私は思うのですが、今回の一連の出来事は、アンアン王女をここへおびき寄せるための、何かとてつもなく規模の大きい謀略だったのではないでしょうか」
「マジか」
僕はのけぞった。
「でも、何のために?
「決まっているでしょう」
邪神がじいっと僕の顔をのぞき込む。
「彼女を解剖して、生肝を抜き取るためです。莫大なATPエネルギーを秘めた、エリート魔族の生体エネルギー機関をね」
「じゃ、アンアンが危ないじゃないか! 止めないと!」
が、遅かった。
シートから跳ね起きた時、だしぬけにファンファーレが鳴り響いた。
わあっと観客席がざわめいた。
ボルテージがどんどん上がっていく。
リング上では、アンアンと全身赤銅色の前鬼が向かい合っている。
右腕を金属のアームに替えた赤鬼は、見るからに強そうだ。
身長も身体の幅も、アンアンの2倍以上はありそうである。
身体中が鎧のような筋肉に覆われ、口からは長い2本の牙を剥き出している。
よちよちと酒呑童女がリングに登っていったのは、どうやらレフェリーを務めるかららしい。
「しょれでは、第1回、魔界・地獄界合同総合格闘技裏選手権を始めるでちゅ」
マイクを手に、いつのの赤ちゃん言葉で宣言した。
「赤コーナー、地獄界代表、前鬼と後鬼。青コーナー、魔界・人間界代表、アンアン王女&阿修羅王』
紹介を受けて、前鬼と後鬼が、観客席に向かって手を振った。
アンアンと阿修羅は憮然とした表情のままである。
「では、行きましゅ。まず、前鬼とアンアン王女、前に出て」
童女が言った。
そして、顔を真っ赤にして、
ピイイイイイイッ!
ホイッスルを吹いた。
びっしり埋まった観客席を見回して、僕はさっきから疑問に思っていたことを口にした。
そう、魔界と地獄界は、今、敵対関係にあるはずなのだ。
それなのに、この多文化共生社会を絵に描いたような風景は、いったい何なんだ?
「ここに集っているのは、それぞれの階層の上流階級なのではないですか。対立しているように見えるのは、下層民たちの間のことにすぎず、上流階級同士は手を握り合っている。どこの世界でもよくあることです。おそらく、人間界でもそうでしょう?」
こともなげにナイアルラトホテップが言ったけど、そうなると、どういうことになる?
「じゃあ、俺たちの知らないところで、何か巨大な陰謀が動いてるとか、そういうこと?」
「たぶんね。私は思うのですが、今回の一連の出来事は、アンアン王女をここへおびき寄せるための、何かとてつもなく規模の大きい謀略だったのではないでしょうか」
「マジか」
僕はのけぞった。
「でも、何のために?
「決まっているでしょう」
邪神がじいっと僕の顔をのぞき込む。
「彼女を解剖して、生肝を抜き取るためです。莫大なATPエネルギーを秘めた、エリート魔族の生体エネルギー機関をね」
「じゃ、アンアンが危ないじゃないか! 止めないと!」
が、遅かった。
シートから跳ね起きた時、だしぬけにファンファーレが鳴り響いた。
わあっと観客席がざわめいた。
ボルテージがどんどん上がっていく。
リング上では、アンアンと全身赤銅色の前鬼が向かい合っている。
右腕を金属のアームに替えた赤鬼は、見るからに強そうだ。
身長も身体の幅も、アンアンの2倍以上はありそうである。
身体中が鎧のような筋肉に覆われ、口からは長い2本の牙を剥き出している。
よちよちと酒呑童女がリングに登っていったのは、どうやらレフェリーを務めるかららしい。
「しょれでは、第1回、魔界・地獄界合同総合格闘技裏選手権を始めるでちゅ」
マイクを手に、いつのの赤ちゃん言葉で宣言した。
「赤コーナー、地獄界代表、前鬼と後鬼。青コーナー、魔界・人間界代表、アンアン王女&阿修羅王』
紹介を受けて、前鬼と後鬼が、観客席に向かって手を振った。
アンアンと阿修羅は憮然とした表情のままである。
「では、行きましゅ。まず、前鬼とアンアン王女、前に出て」
童女が言った。
そして、顔を真っ赤にして、
ピイイイイイイッ!
ホイッスルを吹いた。
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