絶対絶命女子!

戸影絵麻

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#22

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 その後少し、翔ちゃん親子の間で押し問答があった。
 遺跡には政府の調査機関が入っていて、周辺は封鎖されているはずだから行っても無駄だという虎一郎氏。
 それでもできるだけ近くに行って様子を見たい、と主張する翔ちゃん。
 結局、娘のゴリ押しが通り、予定通り、明日の朝9時に、私の家に集合ということになった。
 集合場所がうちのコンビニに決まったのは、全員が乗れるワゴン車があるからである。
 運転手の目星はつけてある。
 うちのバイトの天草君だ。
 おつむは弱いけど、きわめて人のいい天草君は、私の頼みならまず断らない。
 あとは、両親をどう説得して彼を借り出すかという問題をクリアすればいいだけだ。
 が、案ずるより産むが易し。
「だから、夏休みの課題なんだってば。今度の出校日までにこのレポート出さないと、私と翔ちゃん、留年しちゃうかもしれないんだよ」
 義務教育の中学校に留年なんてあるはずないのだが、日頃からあまり物事を深く考えない父は、そのひと言で簡単に折れた。
「ったく、しゃあねーなあ。じゃ、明日一日は、俺と母さんで店番すっから、その代わり、レポートとやらが済んだら、休み返上で働いてもらうからな」
 というわけである。
 まず、明日の準備として、何か武器になりそうなものを持っていくことにした。
 またゾンビ犬が出現した時のことを見越して、今のうちに効果的な武器を探しておく必要がある。
 本当は、ひとつ、ずっと心の隅に引っかかっていることあった。
 うちにゾンビが現れ、由羅と格闘した時のことである。
 仰向けにひっくり返った由羅に襲いかかろうとしたゾンビが、すんでのところで動きを止め、急に逃げ出した。
 ように、私には見えたのだ。
 あれは、どうしてなのだろう?
 あの時、由羅は、手あたり次第、商品をつかんではゾンビにぶつけていた。
 その中に、何かゾンビの苦手なものが混じっていたのではないだろうか?
 そのことには翔ちゃんも気づいていたようだったけど、結局話し合う機会がないまま終わってしまっていた。
 うーん、それが何なのかわかれば、準備は簡単なんだけど…。
 ああでもない、こうでもないと試行錯誤の挙句、私が選んだのは、店の商品の中にあった『お子様花火セット』である。
 花火はいい線行ってると思うんだけど、お子様向けというのがいかにも安全第一で、なんだかなあ、って感じだった。
 この際、危険であればあるほど、本当は助かるんだけど。
 寝る前に、天草君に電話して、OKをもらった。
 父に確認すると、車のガソリンも大丈夫だそうだ。
 ベッドの入っても、しばらく寝つけなかった。
 奇形の埴輪とか、眼の光るナメクジとか、皮膚のただれたゾンビ犬とか、そんないろんな映像が頭の中で渦巻いて、怖くて眠れなかったのである。

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