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第2章 謝肉祭

#24 杏里の方法①

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「いや、くすぐったい」
 カーテンの向こうから、杏里の声が漏れてくる。
「動かないでくださいね、もう少しですから」
 店員の声は、完全にかすれてしまっている。
「ほら、ここを、こうして」
「あ、だめです。そんなところ」
 何をしているのだろう。
 早鐘を打つように胸の鼓動が高まってきた。
「わあ、なんか、恥ずかしい…」
「素敵ですよ…お客様、素晴らしいです」
 我慢できずに、私はカーテンを10センチほど引き開けた。
 鏡になった壁を前に、杏里が佇んでいた。
 その姿をひと目見るなり、私はかっと顔中が熱くなるのを感じた。
 私が選んだ水着。
 それはもはや、水着とすら呼べないような代物だった。
 杏里の切れ上がった股間からVの字に伸びたワインレッドの2本の紐。
 それが突き出した乳房の先端を通り、うなじのあたりでひとつに合流している。
 つまり、隠れているのはふたつの乳首と股の間の局部だけで、あとは裸同然なのである。
 杏里が体を回転させると、横からの眺めが視界に入ってきた。
 乳房が突き出ているために、紐が引っ張られ、宙に浮いている。
 そのため、鳩尾から平らな下腹までが丸見えになっている。
 杏里が更に90度体を回し、こちらに背中を向けた。
 当然のことながら、後ろはTバックだった。
 丸いふたつの肉の丘の間に水着は消えてしまい、ほとんど何も穿いていないように見える。
 私はスマホを構えた。
 興奮で手が震えてしまう。
 私と同じ歳だというのに、杏里の醸し出すセクシーさといったら尋常ではなかった。
 いや、JKだからこそ、いやらしさが倍増しているのだ。
 どんなAV女優にも負けないほど、熟れた肢体。
 なのに、その顔はといえば、年端のいかないアイドルタレントのように愛くるしい。
「ああ…なんて綺麗なの…」
 店員は、今や女神像を崇拝する熱烈な信徒のように、杏里の前にひざまずき、その体を両手で場で回している。
 杏里はといえば、店員のほうではなく、じっと鏡の中の自分を見つめているようだ。
「触っても、いいですか?」
 店員がささやくように言い、杏里の胸から紐をずらした。
 特大のマシュマロの上に乗った杏子みたいな乳首が、ぷるんとこぼれ出る。
「かわいい…」
 店員が、指で乳首をはさみ、ゆっくりと転がすように愛撫し始めた。
 
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