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第3部 凶愛のエロス
#10 粉砕
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少女の左の眼窩から、眼球が飛び出しそうになっている。
頭蓋がトラックの重みで押し潰されかけているのだ。
黒野零は、ふと股間をまさぐる手を止めた。
タナトスは、脳をやられると、死ぬ。
それを思い出したのだった。
-私は、"死"を見たいわけではない。
ここで大事な玩具を台無しにしてしまうのは、得策ではなかった。
己の体液で濡れた右手を、トラックの車体の下に差し入れた。
フレームを持ち、軽くぐいと上に押し上げる。
トラックの車体が傾き、少女にかかる重圧が軽減した。
これでいい。
とにかく、頭だけは守ってやることにしよう。
制服の中に左手を突っ込み、胸を揉む。
右手を股間に当て、一番敏感な部分に触る。
人差し指と親指で、硬くなったそれの皮を剥く。
鋭敏な先端にを軽くつまんでやると、膣の奥からじわっと熱い汁が溢れ出た。
あふ。
喘いで、中指を秘肉の間に開いた穴に挿入しようとした、そのときだった。
「黒野、杏里は?」
トラックの向こうから、少年の声がした。
零は舌打ちして、立ち上がった。
んもう。
いいとこだったのに。
「まだ生きてる」
濡れそぼった指をハンカチで拭いながら、答えた。
「救急車は?」
平静を装うべく、トラック越しに、そうおざなりに声をかけてやった。
「もうすぐ来る」
少年が零の前に姿を現した。
走ってきたのだろう、はあはあと息を切らしている。
「翔太、この子、あなたのカノジョなの?」
好奇心に駆られて、零はたずねた。
「そんなこと、今はどうでもいいだろ?」
両手を膝につき、上体を前に折ってぜいぜいと息をつきながら、少年がいった。
怒ったような口調だった。
「まあね」
零は笑った。
「ただ、もしそうなら、楓がかわいそうだな、と思って」
そのとき、救急車のサイレンが聞こえてきた。
クレーン車がトラックの車体を持ち上げ、舗道際にどけると、その下からおぞましいものが現れた。
それは、血にまみれた肉塊だった。
ところどころに見えている白いものは、制服の名残りだろう。
あちこちから、折れ曲がった手足が突き出している。
折り畳まれた胴体の下から、眼球を露出させた青白い顔がのぞいていた。
振り向いたところを正面からトラックがのしかかってきたのに違いなかった。
少女の体は、背中側に向かって二つに折れ、更に上下さかさまになっているのだ。
「う・・」
救急隊員のひとりがうめき、片手で口を押さえると、舗道のほうに走っていった。
嘔吐する音が聞こえてきた。
「生きてるぞ」
少女のそばにかがみこんでいた別の隊員が、信じられない、といった口調で叫んだ。
「急げ! この子、まだ生きてる」
零は少し離れたところからその様子をじっと眺めていた。
非常線が張られ、現場の十字路付近はすべて通行止めになっている。
もう近づくことは無理だったが、零の視力なら、そこからでも充分細部を見届けることができる。
自慰に耽りたくてたまらない。
が、さすがに辛抱した。
家に帰ったら、裸になって、思う存分自分をいじるのだ。
なんなら、久しぶりにロープや器具を使ってもいい。
そう心に決めていた。
そのためには、この貴重な映像を脳裏にしっかり焼きつけておく必要がある。
少し離れた舗道で、山口翔太が泣いていた。
警察官がふたり、翔太を取り囲んでいる。
とんだ茶番だ、と零は思った。
いつまで猿芝居を続けるつもりなのか。
奇怪なオブジェのような格好のまま、少女の体が担架に乗せられた。
上にかけたシーツが不自然に盛り上がっている。
救急隊員たちも、心底途方にくれているようだった。
下手に体を元に戻すと、死んでしまうかもしれないと考えたのだろう。
担架が救急車の後部に運び込まれると、翔太がその横に乗り込んだ。
少女の係累が駆けつけてくる気配はなかった。
ぼっちなのか。
零は思った。
私と同じだね。
救急車が走り出すと、零は現場に背を向け、坂の上に向かって歩き出した。
さわやかな風が、零の長くしなやかな黒髪をなでる。
端正な横顔が顕わになる。
零は日本人形によく似ている。
手足はモデルのように細くて長い。
とても、中学二年生には見えない、大人びた雰囲気の少女だった。
零の足取りは、軽い。
やっと、この街で生きる楽しみをみつけたのだ。
以前住んでいた東京とは違い、ここは人口が少ない。
目立つ行動は取れないと思って悶々としていた矢先だったのである。
問題は、タナトスの回復には時間がかかるだろう、ということだった。
さすがにあそこまで肉体を破壊されてしまっては、一日二日で元に戻るとは思えない。
最初からちょっとやりすぎたかな、と反省する。
が、偶然だったのだから、こればかりは仕方なかった。
誰でもよかったのだ。
今回はただただ、血を見たくて仕方がなかったのである。
それがまさか、いきなりタナトスがひっかかって来るとは・・・・。
坂の一番高いところを過ぎると、道は下りになった。
この道を下りきったところに、零の住む家はある。
間抜けな金持ちの爺をだまして手に入れた、かりそめのねぐらである。
足取りが軽くなっていた。
思い出したのだ。
タナトスが学校に配備されたとすると、アレも一緒に来ている可能性がある。
確か、激戦区ではタナトスとアレはセットだったはずだ。
零はにやりと笑った。
パトス。
"癒しのタナトス"と表裏を成す、人外の"戦闘少女"。
人間はもろすぎる。
快楽は、いつも一瞬で終わってしまう。
これまでずっと、零はそのことが不満でならなかった。
だが、やつらが相手なら・・・。
楽しみが増えた、
と思う。
タナトスが回復するまでの間の、別の玩具が見つかるかもしれないのだ。
多少手ごわいが、試してみる価値は充分にある。
明日から、学校に行こう。
零は立ち止まると、抜けるように青い夏空を見上げ、そう決心した。
頭蓋がトラックの重みで押し潰されかけているのだ。
黒野零は、ふと股間をまさぐる手を止めた。
タナトスは、脳をやられると、死ぬ。
それを思い出したのだった。
-私は、"死"を見たいわけではない。
ここで大事な玩具を台無しにしてしまうのは、得策ではなかった。
己の体液で濡れた右手を、トラックの車体の下に差し入れた。
フレームを持ち、軽くぐいと上に押し上げる。
トラックの車体が傾き、少女にかかる重圧が軽減した。
これでいい。
とにかく、頭だけは守ってやることにしよう。
制服の中に左手を突っ込み、胸を揉む。
右手を股間に当て、一番敏感な部分に触る。
人差し指と親指で、硬くなったそれの皮を剥く。
鋭敏な先端にを軽くつまんでやると、膣の奥からじわっと熱い汁が溢れ出た。
あふ。
喘いで、中指を秘肉の間に開いた穴に挿入しようとした、そのときだった。
「黒野、杏里は?」
トラックの向こうから、少年の声がした。
零は舌打ちして、立ち上がった。
んもう。
いいとこだったのに。
「まだ生きてる」
濡れそぼった指をハンカチで拭いながら、答えた。
「救急車は?」
平静を装うべく、トラック越しに、そうおざなりに声をかけてやった。
「もうすぐ来る」
少年が零の前に姿を現した。
走ってきたのだろう、はあはあと息を切らしている。
「翔太、この子、あなたのカノジョなの?」
好奇心に駆られて、零はたずねた。
「そんなこと、今はどうでもいいだろ?」
両手を膝につき、上体を前に折ってぜいぜいと息をつきながら、少年がいった。
怒ったような口調だった。
「まあね」
零は笑った。
「ただ、もしそうなら、楓がかわいそうだな、と思って」
そのとき、救急車のサイレンが聞こえてきた。
クレーン車がトラックの車体を持ち上げ、舗道際にどけると、その下からおぞましいものが現れた。
それは、血にまみれた肉塊だった。
ところどころに見えている白いものは、制服の名残りだろう。
あちこちから、折れ曲がった手足が突き出している。
折り畳まれた胴体の下から、眼球を露出させた青白い顔がのぞいていた。
振り向いたところを正面からトラックがのしかかってきたのに違いなかった。
少女の体は、背中側に向かって二つに折れ、更に上下さかさまになっているのだ。
「う・・」
救急隊員のひとりがうめき、片手で口を押さえると、舗道のほうに走っていった。
嘔吐する音が聞こえてきた。
「生きてるぞ」
少女のそばにかがみこんでいた別の隊員が、信じられない、といった口調で叫んだ。
「急げ! この子、まだ生きてる」
零は少し離れたところからその様子をじっと眺めていた。
非常線が張られ、現場の十字路付近はすべて通行止めになっている。
もう近づくことは無理だったが、零の視力なら、そこからでも充分細部を見届けることができる。
自慰に耽りたくてたまらない。
が、さすがに辛抱した。
家に帰ったら、裸になって、思う存分自分をいじるのだ。
なんなら、久しぶりにロープや器具を使ってもいい。
そう心に決めていた。
そのためには、この貴重な映像を脳裏にしっかり焼きつけておく必要がある。
少し離れた舗道で、山口翔太が泣いていた。
警察官がふたり、翔太を取り囲んでいる。
とんだ茶番だ、と零は思った。
いつまで猿芝居を続けるつもりなのか。
奇怪なオブジェのような格好のまま、少女の体が担架に乗せられた。
上にかけたシーツが不自然に盛り上がっている。
救急隊員たちも、心底途方にくれているようだった。
下手に体を元に戻すと、死んでしまうかもしれないと考えたのだろう。
担架が救急車の後部に運び込まれると、翔太がその横に乗り込んだ。
少女の係累が駆けつけてくる気配はなかった。
ぼっちなのか。
零は思った。
私と同じだね。
救急車が走り出すと、零は現場に背を向け、坂の上に向かって歩き出した。
さわやかな風が、零の長くしなやかな黒髪をなでる。
端正な横顔が顕わになる。
零は日本人形によく似ている。
手足はモデルのように細くて長い。
とても、中学二年生には見えない、大人びた雰囲気の少女だった。
零の足取りは、軽い。
やっと、この街で生きる楽しみをみつけたのだ。
以前住んでいた東京とは違い、ここは人口が少ない。
目立つ行動は取れないと思って悶々としていた矢先だったのである。
問題は、タナトスの回復には時間がかかるだろう、ということだった。
さすがにあそこまで肉体を破壊されてしまっては、一日二日で元に戻るとは思えない。
最初からちょっとやりすぎたかな、と反省する。
が、偶然だったのだから、こればかりは仕方なかった。
誰でもよかったのだ。
今回はただただ、血を見たくて仕方がなかったのである。
それがまさか、いきなりタナトスがひっかかって来るとは・・・・。
坂の一番高いところを過ぎると、道は下りになった。
この道を下りきったところに、零の住む家はある。
間抜けな金持ちの爺をだまして手に入れた、かりそめのねぐらである。
足取りが軽くなっていた。
思い出したのだ。
タナトスが学校に配備されたとすると、アレも一緒に来ている可能性がある。
確か、激戦区ではタナトスとアレはセットだったはずだ。
零はにやりと笑った。
パトス。
"癒しのタナトス"と表裏を成す、人外の"戦闘少女"。
人間はもろすぎる。
快楽は、いつも一瞬で終わってしまう。
これまでずっと、零はそのことが不満でならなかった。
だが、やつらが相手なら・・・。
楽しみが増えた、
と思う。
タナトスが回復するまでの間の、別の玩具が見つかるかもしれないのだ。
多少手ごわいが、試してみる価値は充分にある。
明日から、学校に行こう。
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