上 下
58 / 288
第6部 淫蕩のナルシス

#56 背面立位の衝撃

しおりを挟む
「うぐ」
 正一がうめいた。
 杏里の中で筋肉の竿がぐわっと膨れ上がった。
「まだ出しちゃダメ」
 ヤチカのしっせきが飛んだ。
「そこで杏里ちゃんの体の向きを変えて。私に顔が見えるように」
「わ、わかった」
 間一髪のところで、正一がペニスを抜いた。
 杏里の肩をつかんで、体を入れ替える。
 今度は後ろから貫かれた。
「あふうっ」
 白い喉もあらわに、のけぞる杏里。
 正一が杏里の腰のくびれを両手でつかみ、貫いたままぐと持ち上げる。
 足が床を離れると同時に、体重が一気に接合点にかかった。
 ずぶずぶとペニスがめりこみ、膣壁に当たった。
 後ろから斜めに突っ込まれたため、狙い違わずGスポットに亀頭が命中する。
「いやあん」
 杏里は嬌声を上げ、体をねじった。
「いいね」
 ヤチカが近づいてくる。
 瞳がひどく淫乱な光をたたえている。
 杏里はそのヤチカに向かって、釣り鐘型の大きな乳房を突き出した。
「乳首、びんびんじゃない。やらしい子」
 ヤチカが乳首をつまみ、強くねじった。
「だめっ!」
 杏里の口からよだれがあふれた。
 正一によって貫かれ、宙に浮いた杏里の胸は、ちょうどヤチカの顔の高さに来ている。
「おいしそう」
 左の乳首を指でねじりながら、右の乳首をヤチカが口に含んだ。
 舌先で小刻みに乳頭を転がされ、快感のあまり杏里は跳ねた。
 足がつっぱり、指が吊った。
 ヤチカの手が下に伸び、正一のペニスと杏里の膣との接合部を探る。
 やがて膨れ上がったクリトリスを探り当てると、包皮をむくのももどかしく、指先でつねり、転がし始めた。
「そ、そこはだめえ」
 杏里はすすり泣いた。
 体中を網の目のように快感が駆け抜ける。
 肌という肌が火を吹いたように熱く、ろくに目を開けてもいられない。
「そんなにいいの? じゃ、これならどう?」
 ヤチカが前歯で右の乳首をかんだ。
 左の乳首が引きちぎれそうになるほど引っ張られる。
 更にクリトリスに爪を立てられ、唇を奪われた。
 杏里の舌を口から引きずり出すと、あたかもフェラチオのごとく音を立てて吸い始めた。
 激烈な快感に、杏里の膣が収縮する。
「い、いく」
 正一がうめく。
 杏里は夢中で手を伸ばし、ヤチカの肩を抱いた。
 体の中心で、肉の棒が倍の太さに膨れ上がる。
「ぐぶ」
 正一の喉が鳴った。
 奔流がほとばしった。
「やんっ!」
 杏里が硬直する。
 太腿を熱い液体が伝った。
 精液と淫汁の混じった濃厚な液が、ぼとぼと音高く落ちていった。
「いいよ」
 絡み合ったままベッドに崩れ落ちたふたりを見下ろし、ヤチカが言った。
「ありがとう。久々の”僕”の登場だ」
 朦朧とした意識の中で、杏里は見た。
 ヤチカの股間に立ち上がる黒い影。
 ヤチカの中の”アヌビス”が覚醒したのだった。
しおりを挟む

処理中です...