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第7部 蹂躙のヤヌス

#8 タナトスVSタナトス①

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 いずなのそこは、十分すぎるほど、潤っていた。
 入り口から少し中まで人差し指を入れてみる。
 周囲の肉襞が、二枚貝の外套膜のようにからみついてきた。
 きつい隙間にねじこむようにして、指を入れていく。
 いずなが痛みから意識を逸らせるように、乳首への刺激も忘れない。
 第2関節まで入ったところで、指を曲げ、前のほうにあるざらざらした部分を指の腹で押す。
 何度もそこを撫でさすっていると、やがていずなが喘ぎ始めた。
「だめです…そこ…。いずな、もう、おかしく、なりそう、です…」
「なってもいいのよ」
 杏里は愛撫をやめない。
 空いているほうの乳首を唇でくわえ、ひっぱってやる。
 いずなの乳首はすでに石のように固く、悲しいほど尖り切っている。
 胸が扁平なだけにその落差は大きく、くわえ甲斐があるというものだった。
 片手はまだいずなの膣の中だ。
 人差し指を挿入しながら、親指の腹で上座に突き出た陰核を押してみる。
「くう」
 可愛い声でいずなが鳴いた。
「今度はお口でしてあげる。だから、脚を大きく開いて、腰を突き出すの」
「は、はい」
 いずなが後ろの壁に背を持たせかけ、徐々に膝を開いていく。
 杏里はお湯につかり、その正面に顔が来るようにした。
 いずなが、ほぼ180度両足を開き切る。
 充血した縦長の亀裂が、目の前に現れた。
 大陰唇が開いて、きれいなサーモンピンクの中身が覗いている。
 上部の頂点では真珠が光沢を放ち、それと対称な位置に、ぱっくりと穴が開いていた。
 鼻の頭を真珠につけ、唇で亀裂全体をねぶっていく。
 とめどなくあふれる愛液は、少しずつ粘りけを増しているようだ。
 いずなが本気で感じている何よりの証拠だった。
 舌でたっぷりと愛液をすくい取り、穴の上に唇をかぶせてやる。
 舌先を尖らせて挿入しながら、親指と人差し指で陰核をつまんでみた。
 つるりと皮が剥け、濡れた中身が現れたところで、その頂点を指の腹でなでまわす。
「あ、あ、あ、あ、あ」
 断続的にいずなが叫び、腰を振った。
 女はみんなこうなのか。
 処女のくせに、自分から腰を突き出して、本能的に一番感じる角度を探しているのだ。
 いずなが杏里の後頭部を両手でつかんだ。
 そのまま股間にぐいと押しつける。 
 杏里は挿入した舌で、いずなの中をかき回しにかかった。
「あう、そんな、だ、だめです」
 いずなが狂ったように、首を振る。
 いずなの叫びに合わせて、どろりとしたものが口いっぱいに広がった。
 舌を動かしながら、鼻先で陰核を刺激しつつ、両手を上に伸ばし、乳首をつまんだ。
 これでフィニッシュだ。
 4つの点に同時に力を籠める。
「はああああああああぅっ!」
 いずなの悲鳴が長い尾を引いた。
 足がピンと突っ張り、股がすぼまって杏里の顔を太腿で締めつけた。
 愛液が再び杏里の口の中に充満し、いずなの身体から力が抜けていった。
「いっちゃった?」
 聞くと、うつろに目を開いたまま、カクカクといずながうなずいた。
「じゃ、今度はふたり一緒に、気持ちよくなろうか」
 杏里はいずなの細い体を抱きかかえると、そうっと湯船に戻した。
 浅い場所を探し、そこにいずなを導いた。
 お湯に溶けたエキスを吸収し、杏里の肌はすでにつやつやに輝いている。
 触れればそれだけでいってしまいそうなほど、敏感になっているのだ。
「ここがいいわ。底に両手を突いて、こっちに足を向けて」
「こ、こうですか?」
 いずなに脚を開かせると、杏里はそこに自分の足を絡めていった。
「行くよ」
 会陰部同士を密着させると、湯船の底に両手を突いて、突き出した腰をゆっくりとグラインドさせ始めた。
 密着した柔らかい部分で、いずなのエキスと杏里のエキスが混じり合い、お互いの体内に流れ込んできた。
「いいよ…いずなちゃん、すごく、いい」
 杏里は喘いだ。
 じわじわと広がる快楽の波。
 いずなのあそこがまるで独立した生き物みたいにうごめき、杏里に吸いついてくる。
「私も…また…いきそう、です」
 いずなが杏里を見つめている。
 完全にとりこになったものの目をしている。
「杏里って、呼んで」
 その目を熱いまなざしで見つめ返し、うわ言のように、杏里は言った。
「杏里、好きって、言ってみて」
「は、はい…」
 いずなの唇が、おもむろに言葉を紡ぐ。
「杏里…好き」
「私もよ」
 杏里は喘いだ。
 そして、思った。
 私も、こんな自分が、大好きなの。 
 
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