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第7部 蹂躙のヤヌス

#45 弾ける肉

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「ねえ、こういうのはどうかな」
 重人の陰茎を定規で叩きながら、杏里は言った。
「まず、あんたが美里先生に取り入って、催眠術で先生を行動不能にする。その後私が出て行って、彼女を裸にして、タナトスの力で浄化”する。ひとりじゃ無理そうなら、いずなちゃんに手伝ってもらえばいい。危なくなったら、あんたが”中継”に入って、私の受けるダメージをいずなちゃんに流す。この前みたいにね」
 興奮にあえぐ重人を前にして、杏里は冷静である。
 そもそも重人は杏里のメンタルを管理するヒュプノスだから、重人に触れるだけで杏里自身は心の平静を取り戻すことができる。
 そのおかげで、落ちついて色々考えることができるのだ。
「い、嫌だよ」
 奇妙な姿勢に折り畳まれ、勃起した陰茎だけを杏里に向かって突き出した重人が、いやいやをするように首を振る。
「あ、あんな得体の知れない女の心をのぞくだなんて、ご、ごめんだね。ぼ、僕までおかしくなっちゃうよ」
「じゃ、私の心をサルベージするってのは? 美里先生がいつも私に何をしてるのか、それを知りたいんだけど」
 美里との面談には謎が多い。
 美里は自ら服を脱ぐでもなく、ほとんど手も触れない状態で杏里を忘我の境地に追いやってしまうのだ。
 そしてその後決まって訪れるあの感触。
 全身の穴という穴に何かが入り込んでくるようなあれは、いったい何なのだろう?
「それもだめだよ。ただでさえ杏里の記憶はエロで一杯だろ? そんなの、今の僕にはとても耐えられない」
「重人は私のこと、好きなんじゃなかったの? さっきはっきりとそう言ったじゃない」
「だからいやなんだってば! 誰が好きな女の子が他人に犯されるところ、見たいと思うんだい?」
「そういう”好き”もありでしょ? そのほうが興奮するって人、世の中には多いんだよ」
「ぼ、僕はいやだ! 知らない男たちに弄ばれて気持ちよさそうにしてる杏里なんて、見たくない!」
「もう、ほんとに子供なんだから」
 杏里は呆れた。
 言うことを聞かせるには、もう少し荒療治を続けるほかなさそうだ。
  定規を放り出し、キャミソールの裾に手をかける。
 おもむろに脱ぎ捨てると、片方で1キログラム近い重量感のある乳房がこぼれ出た。
 杏里は身長155センチと小柄である。
 腰も十分にくびれていて、決して太っているほうではない。
 だからその分、乳房の大きさが目立つ。
 しかも巨乳の女性によくみられるように、みっともなく垂れ下がった乳房はなく、杏里のそれはつんと乳首が上を向いた見事な”ロケットおっぱい”である。
 つきたての餅のように白い肌に、青白い静脈が透けて見えるのも妙に生々しい。
 立膝のまま重人に歩み寄ると、杏里はやにわにそのふたつのふくらみで、重人のいきり立つ肉棒を挟み込んだ。
「これでもだめ?」
 両手でやわらかい乳房を握り、固く膨張した海綿体に、左右からそれをぎゅっと押しつける。
 いくら勃起しているとはいえ、重人の陰茎は杏里の爆乳に比べると、あまりにも貧弱だった。
 肉の丘に包み込まれ、たちまち見えなくなってしまう。
「どう? 気持ちいい? ふわふわでしょう? 私のおっぱい」
 上半身をゆっくり上下させて乳房で陰茎を刺激する。
「ああ、いいっ」
 重人が腰をぐいぐいと突き出しながら、喘いだ。
 乳房の谷間から時折のぞく亀頭は、今にも血を噴き出しそうなほど、赤紫色に充血してしまっている。
 パイずりを続けながら、口をすぼめると杏里はその先端に塗れた唇をくちゅっと押しつけた。
「はうううっ」
 重人がのけぞった。
 本来ならすぐにも射精しているところだろう。
 だが、今はそれが封じられてしまっているのだ。
 杏里が陰茎の根元を輪ゴムで縛ったからだった。
「お願いっ!」
 身をよじりながら、重人が泣き叫んだ。
「お願だから、いかせて! 輪ゴムをはずして!」
「まだ、だめ」
 杏里の口がピストン運動を開始する。
 重人の陰茎は、杏里がこれまで咥えてきたどの陰茎と比べても細くて短かった。
 しかも仮性包茎ときているので、匂いの強さも半端ではない。
 それでも、懸命にそそり立つその姿は微笑ましく、可愛らしかった。
 だから必然的に杏里の愛撫も熱を帯びた。
 赤子を抱きしめるような感じで乳房のマッサージを施しながら、濃厚なフェラを繰り返す。
 尿道からにじんでくる前駆液を唇につけて、亀頭全体に広げてやる。
「これでどう? 言うことを聞く気になった?」
 だが、重人はまだ答えない。
「しょうがないわね」
 ため息をつくと、杏里は拘束された少年の身体を足で蹴って、うつ伏せにした。
 横から右手で陰茎を握りしめると、それを取っ手代わりにして下から尻をぐいと持ち上げてやる。
「まあ、可愛いアナル」
 せり上がった重人の尻の割れ目をのぞき込み、ひくついている肛門を見て、思わず歓声を上げた。
 左手の人差し指べろりと舐めて唾をつけ、菊の花の形をした穴の真ん中に、それをずぶずぶと突っ込んだ。
「うぐあっ!」
 重人が痙攣する。
 かまわず指を押し込む杏里。
 直腸壁には射精中枢に直結する神経が集まっている。
 経験上、杏里はそれを知っていた。
 右手で怒張した肉棒をしごきながら、そこを指先で刺激する。
「はぐうっ!」
 重人が大きく跳ね上がった。
「言うことを聞きなさい」
 指を曲げ、爪を立てた。
 ピストン運動の傍ら、亀頭の先を中指の腹でリズミカルに叩いてやる。
「わ、わかった」
 重人がすすり泣いた。
「だから、もう、いか、せ、て…!」
「よく言えました」
 杏里はほくそ笑むと、両手の動きをマックスにした。
 手の中の陰茎が倍の太さに膨れ上がる。
 ぱちんっ。
 乾いた音とともに、輪ゴムがはじけ飛ぶ。
 おそろしい量の熱い液体がほとばしった。
 濃厚な栗の花の匂いがあたり一面にたちこめる。
「あーあ、またひとりで出しちゃった」
 精液でべたべたになった右手をひと振りして、杏里は言った。
「重人には、私の相手はまだ100年早いよね」
 


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