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第8部 妄執のハーデス

#67 1回戦④

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 身につけていたものをすべて脱がされると、杏里は期待に震える長い吐息を吐いた。

 人間社会における杏里の”設定”は、14歳の少女である。

 が、厳密には、それは真実ではない。

 杏里がその年齢に設定されたのは、ただ単に、元になった検体の死亡時の年齢が14歳だったからにすぎない。

 そこに雌外来種のミトコンドリアを大量に注入され、杏里は死体からまったく別の生命体へと生まれ変わった。

 それが数年前のこと。

 だから、現在の杏里は、肉体的にも精神的にも”14歳”という縛りから大きく乖離してしまっている。

 たとえば、その証拠のひとつが、その熟れ切った肉体だ。

 細い首からなで肩の肩にかけての曲線は、なるほどまだ多分に幼さを残しているといっていい。

 だが、胸から下の発達具合は、大方の成人女性のそれをはるかに超えてしまっているのだ。

 Gカップの乳房はまるでたるみというものがなく、表皮が丸く張り切って先端が形よく上を向いている。

 その頂にあるふたつの乳首は、大きすぎも小さすぎもせず、乳輪も含め、色もきれいな桜色に近い。

 胸から下のラインはまさに理想的といえるほどで、脂肪の一切ない平らな腹はなだらかなカーブを描き、陰毛の一本も生えていないすべすべの股間へと続いている。

 適度にくびれた胴からは発達した腰が左右に張り出し、尻の双球はあくまでも丸く、見る者を挑発するように艶やかだ。

 そこから伸びる少し内股加減の脚は、太腿のあたりにむっちりと脂が乗り、次第に細くなってきゅんと締まった足首へと続いている。

 その太腿と太腿の間にわずかに開いた隙間に覗くのは、かすかにふくらんだ濃いピンクの二つの肉の丘である。

 その肉の丘のはざまにいっぱいに露を溜め、今、瞳をうつろに開いて杏里は小刻みに震えているのだった。

 ユウは、性感帯が見える、と言った。

 そして、それは嘘ではないようだった。

 杏里自身も知らなかった感じる箇所。

 そこをユウは的確に探り当て、絶妙な力の入れ具合で責めてくるのだ。

 ユウに愛撫されて、杏里は、快感は刺激の強さに比例するものではないと、改めて思い知らされる気分だった。

 実際、ユウは愛撫にほとんど力を加えなかった。

 羽毛を連想させる軽さで、杏里の皮膚の一部を指の腹や手のひらで触れ、そっとなぜる程度なのである。

 だが、たったそれだけのことで、杏里は過敏に反応し、全身を痙攣させ、甘い喘ぎを漏らしてしまうのだ。

「すごいね。毛穴から透明な体液がにじみ出てる。これ、汗とは別物だよね。なんだかサラサラした手触りの底に粘り気があって、そう、まるであそこから分泌されるラブジュースみたいだ。ああ、触ってると、こっちまで気持ちよくなってくるよ」

 杏里の背後に立ち、腋の下から前に回した両手であちこちを撫で回しながら、ユウが言う。

 いつのまにやらユウ自身、上半身裸になっていて、ひんやりした肌を杏里の火照った背中に押しつけていた。

「ああん…」

 むせび泣くような声を立てながら、杏里は両手を後ろに回し、ユウのジャージの前のふくらみを探っている。

 手のひらに触れるそれは、成人男性のものほど大きく、完全にユウの幼い外見を裏切っている。

「固くて、とっても、おおきい…」

「入れてほしい?」

 ユウが後ろから杏里の両の乳房を手のひらですくい上げ、勃起した乳首をリズミカルに人差し指ではじきながら、唇を耳に寄せて、甘ったるい声で訊く。

「う、うん…」

 斜め後ろから左の首筋を吸われ、熱い溜息とともにうなずく杏里。

「じゃ、君の手で、外に出してくれる?」

 ユウがささやき、尻の双球の間に灼熱の強張りを押しつけてきた。

 杏里の指が独立した生き物のように動き、ユウのジャージを下に下げ、怒張した肉の棒をつかみ出す。

 手触りから、ユウのそれがいかに成熟したものであるかがわかる。

 この年頃の少年には珍しく、包皮が完全に剥け、発達した亀頭が張り出しているのだ。

 指先がべたつくのは、ユウの尿道口からカウパー液が分泌されているからだろう。

 つまり、杏里だけでなく、ユウも射精寸前にまで興奮している証拠だった。

 杏里の親指が、カウパー液を亀頭全体に広げるように動いた。

「くっ、なかなかやるね」

 喉を詰まらせながら、ユウが苦笑する。

「どっちが先にイクか、勝負ってわけかな?」

「ね、杏里のにも、触って」

 杏里は右手を乳房をつかんだユウの右手に添え、ゆっくりと下に降ろした。

「触りながら、入れてほしいの…」

「いいよ…。でも、ああ、すごい。ここ、こんなに大きくしちゃって…杏里ちゃん、君って、とことん恥ずかしい女の子なんだね」

 ユウの右手が前に回り、すでに勃起して割れ目の上座から顔をのぞかせている”肥大した”真珠”をつまんだ。

「あうっ! そ、そこ!」

 その絶妙な力の入れ具合に、即座に反応する杏里。

 上体を前に倒し、尻をつき出す姿勢を取って、ユウの肉棒に股間を擦りつける。

「うう、僕も、もう、我慢できないみたいだ。遠慮なく、行くよ」

 ぬるり。

 真っ赤に燃える鉄の棒を、身体に突っ込まれたような感触。

 が、杏里の膣は軟体動物のように襞を広げ、難なくそれをくわえ込んでいく。

「あうっ、なんて締まりがいいんだ」

 ずぶり。

 貫かれ、

 ずぼっ。

 いったん抜き取られる。

 もう一度深く挿入し直すと、

「な、中が、ぴくぴく、う、動いてる」

 杏里の発達した尻に腰を打ちつけながら、ユウがうめいた。

「あん、あん、ああん…」

 片手で乳房をもみくちゃにされ、もう一方の手で陰核を弄られながら、膣の奥まで逞しい肉棒をねじ込まれて、愉悦のあまり、大きく開けた口から舌をはみ出させ、よだれを垂らし、間断なくすすり泣く杏里。

 その潤んだ目に映るのは、マコトの巨大な右手に顔面をひと握りにされ、すでに動かなくなっている由羅の姿。

 手足をだらんと垂らしたままの由羅の太腿を、黄色い尿が伝って落ち、床に水たまりをつくり始めている。

 パン、パン、パン!

 杏里の裸の尻にユウが腰を打ちつける音が、がらんとした体育館に小気味よく響き渡る。

「おい、ユウ、そろそろ交替しろよな。俺っちが傷だらけになってるってのに、おまえだけいい目見るなんて、そりゃないだろうよ」

 マコトがこちらに視線を向け、苦笑混じりに明るい口調で言う。

「もう少し待って。あとちょっとで、こいつ、イかせられるから」

 興奮で上ずった声で、ユウが叫び返す。

「あぁ、あぁ、だめぇ、い、いくぅ、あ、杏里、も、もう、い、いっちゃうぅぅ…!」

 その声に合わせるように、全身を痙攣させて、杏里は叫んだ。

 終わりが、もう目前まで迫っている。

 頭の隅で、それは理解していた。

 だが、杏里はどうしても、快楽を貪るのをやめることができなかった。

 なぜって、それこそが、タナトスという生き物の持つ、悲しい性なのだから…。






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