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第8部 妄執のハーデス

#103 最終決戦⑫

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 布の裂ける音がした。
 零が杏里のショーツを食い破ったのだ。
 局部が空気に曝され、そこに零の息がかかった。
「まあ、美味しそう」
 零は足首からふくらはぎへと手の位置を変え、杏里の両足をじわじわと開いていく。
 ほぼ180度開き切ると、零の目の前にぷっくりふくらんだ杏里の恥丘が来た。
「食べちゃおうか」
 零が口を開けた。
 めくれ上がった唇の間から現れたのは、先の尖った鋭い歯の列だ。
 唇の両端から、鋭く伸びた八重歯が、まるで一対の牙のように突き出ている。
 杏里の局部は、内側からにじみ出る愛液ですでに濡れ始めていた。
 だがそれは、快感からではなく、タナトスの防御機能のなせる業に過ぎない。
 濡れて光る2枚の大陰唇は、ルージュを塗った厚めの唇のようだ。
 そこだけ周囲と違い、ピンク色が濃い。
「杏里のここ、相変わらず綺麗ね。食べるのがもったいないくらい」
 感心したように、零が言う。
 それもそのはずである。
 年齢を重ねるに従い、普通女性の局部は、メラニン色素が沈着して黒ずんだ色になる。
 が、タナトスである杏里にはそれがない。
 まるで生まれたての赤ん坊の性器のように、綺麗な桜色を保っているのだ。
 その”唇”の片方を、零が歯で噛んだ。
 そのまま首を振り、びりっと引きちぎる。
「ぎゃあっ!」
 尋常ならぬ劇痛に、杏里は痙攣した。
 身体が引き上げられる。
 目と鼻の先に、零の顔が来た。
 口に何かくわえている。
 血まみれの、大きな肉片のようなものだ。
 大型の蛭に似た形のそれは、零の鋭い前歯に挟まれて、断末魔の小動物よろしく、ぴくぴく蠢いている。
 初めて間近に見る、杏里自身の大陰唇だった。
 零がそれを口に含み、やがてくちゃくちゃと咀嚼し始めた。
「ふう」
 十分味わった後、喉を鳴らして飲み込んだ。
「おいしいわあ。杏里のあそこ、まるで人魚のお肉みたい」
 くっくと笑いながら、満足げに目を細めた。
「ひ、ひどい…」
 杏里はそれだけ口にするのが、精一杯だった。
 あまりの痛みに視界がかすむ。
 これまでにも零からは、さまざまな残虐行為を被ってきた。
 文字通り、身体を八つ裂きにされたことも、内臓の大半を摘出されたことだってある。
 だが、生きたまま肉体の一部を食べられるのは、これが初めてだった。
 しかも性器を、自分の目の前で。
「やめられないわね」
 またしても零が杏里の股間に顔を寄せ、やおらもう一枚の大陰唇に噛みついた。
 零の首の動きに合わせ、べりべりと嫌な音がして、大量の鮮血がしぶいた。
 さほど深くない零の胸の谷間が、杏里の血であっという間に真っ赤になる。
 くちゃくちゃという咀嚼音が、気を失いかけた杏里の耳に響いてきた。
「出てきた出てきた。赤くて熱い杏里の血」
 舌鼓を打つと、零が長い舌を伸ばして、泉のように血を吹き出す杏里の股間をべろりと舐め上げた。
 両側の”唇”を失ったそこは、今や柔らかい膣の入口が丸見えだ。
 あたかも内臓の一部のような裂け目がぱっくり口を開き、先の白い真珠までがむき出しになっている。
「ああ、もったいない。一滴残らず、すすってあげるわね」
 零の口が傷だらけの局部に蓋をした。
 強い力で吸われるのがわかった。
 杏里は両腕を床すれすれに垂らしたまま、すでに失神しかけている。
 その白い裸身を、網の目を描いて、赤い血の糸の筋が伝い落ちていく。
 朦朧とした頭で、それでも杏里は重人を呼んだ。
 重人、助けて…。
 私、このままじゃ…。
 が、いくら呼んでも、重人からの答えは返ってこなかった。

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