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#63 病棟探索②
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薄曇りの空を背景にして、窓の外、眼下に広がるのは、広大な墓地だった。
さまざまな形の墓石の列が、はるかかなたまで見渡す限りえんえんと続いている。
墓地はいくつもの区画に分かれていて、区画ごとに高低差があるようだった。
それぞれつくられた年代が違うのか、各区画の墓石にはずいぶん新旧の別があるようだ。
最初会った日、乙都は、この病院は墓地に隣接していると言っていた。
が、今こうして改めて自分の目で確認してみると、隣接しているというより、墓地に囲まれているといったほうがよさそうだ。
いや、病院の敷地が墓地の中に含まれていると言いかえてもいいかもしれない。
くすんだ色の墓石の行列の中、遠くにきらりと光るものが見えた。
目を凝らすと、どうやらそれは水面らしかった。
池だ。
墓地の中に、ひょうたん型の大きな池がある。
隼人池。
ふいに、何の脈絡もなく、その名前が脳裏を去来した。
これも乙都が教えてくれたことだっただろうか。
そういえば、一緒にテレビを見ている時に…。
池は、黄色いテープで入口とおぼしきあたりを塞がれていた。
KEEP OUTと書かれた、事件現場などでよく見かけるあの立入禁止テープである。
なにがあったのだろう?
記憶の底で、ざわめきが起こる。
胃がむかむかして、喉の奥に嘔吐感がこみあげてきた。
池からあわてて視線を逸らした時だった。
僕はふと、自分が誰かにじっと見つめられていることに気づいて、ぞっとなった。
視線は、墓石の間から来るようだ。
窓から一番近い区画ー。
墓石と墓石の間に隠れるようにして人影が立ち、こっちを見上げている。
暗くて顏までは見えない。
だが、なんとなく見覚えのあるシルエットだった。
背筋を冷たいものが上下する。
あの女だ。
夢の中で、いつか見たあの若い女の影…。
僕は顔を背け、窓から離れた。
まずいものを見てしまった。
そんな気がしてならなかった。
ついに僕は、見つかってしまったのだ。
あいつに。
あの生霊に…。
さまざまな形の墓石の列が、はるかかなたまで見渡す限りえんえんと続いている。
墓地はいくつもの区画に分かれていて、区画ごとに高低差があるようだった。
それぞれつくられた年代が違うのか、各区画の墓石にはずいぶん新旧の別があるようだ。
最初会った日、乙都は、この病院は墓地に隣接していると言っていた。
が、今こうして改めて自分の目で確認してみると、隣接しているというより、墓地に囲まれているといったほうがよさそうだ。
いや、病院の敷地が墓地の中に含まれていると言いかえてもいいかもしれない。
くすんだ色の墓石の行列の中、遠くにきらりと光るものが見えた。
目を凝らすと、どうやらそれは水面らしかった。
池だ。
墓地の中に、ひょうたん型の大きな池がある。
隼人池。
ふいに、何の脈絡もなく、その名前が脳裏を去来した。
これも乙都が教えてくれたことだっただろうか。
そういえば、一緒にテレビを見ている時に…。
池は、黄色いテープで入口とおぼしきあたりを塞がれていた。
KEEP OUTと書かれた、事件現場などでよく見かけるあの立入禁止テープである。
なにがあったのだろう?
記憶の底で、ざわめきが起こる。
胃がむかむかして、喉の奥に嘔吐感がこみあげてきた。
池からあわてて視線を逸らした時だった。
僕はふと、自分が誰かにじっと見つめられていることに気づいて、ぞっとなった。
視線は、墓石の間から来るようだ。
窓から一番近い区画ー。
墓石と墓石の間に隠れるようにして人影が立ち、こっちを見上げている。
暗くて顏までは見えない。
だが、なんとなく見覚えのあるシルエットだった。
背筋を冷たいものが上下する。
あの女だ。
夢の中で、いつか見たあの若い女の影…。
僕は顔を背け、窓から離れた。
まずいものを見てしまった。
そんな気がしてならなかった。
ついに僕は、見つかってしまったのだ。
あいつに。
あの生霊に…。
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