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#86 腸詰工場の恐怖

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 当然のことながら、死体の中というのは、気持ちのいいものではない。

 が、文句を言っても仕方ないので、私は周囲を埋め尽くしているのは、マネキン人形だと思うことにした。

 とはいえ、そう自分をごまかせたのは最初のうちだけで、やがて怒りが胸の底から湧き上がってきた。

 この殺戮の山はどうだろう。

 腸詰帝国。

 非道にもほどがある。

 死体は老若男女さまざまで、老婆もいれば子どももいる。

 みんな裸に剥かれ、絞殺されるか心臓を一突きされるかして、絶命している。

 私の周りは無念の表情だらけで、怖くて悲しくて、目を開けるのもままならない。

 人間を腸詰にするなんて、断然間違っている。

 ここは同じ人として、やり過ごしてはいけない気がする。

 確か一平が言ってたっけ。

 腸詰帝国には、へんてこな名前の皇帝がいたはずだ。

 えーっと、なんだったかな。

 中国っぽかったようだ。

 珍、白菜?

 いや、違う。

 もっと 下品なネーミング。

 あ、そうそう。

 珍朴菜。

 チンボクサイだ。

 やっつけてやる。

 まだ生暖かい死体に埋もれながら、私は決意した。

 今までどちらかというと、受け身の戦いばかりだったけれど、今度は違う。

 このエロ魔導士のボディに賭けても、この秘密基地を滅ぼしてやるのだ。

 そんなふうに闘志を湧き立たせていた時だった。

 ふいに身体の上の死体がなくなり、ぽっかりと天井が見えた。

 馬車が建物内に入り、積み下ろしが始まったらしい。

 薄目を開けると、十人近い作業服姿の男たちが、死体を軽ぎ出しては外に投げ落としている。

 私は目を閉じ、死んだふりをした。

 身体が持ち上げられ、固い床に投げ落とされる。

 いたっ。

 なんかこの床、鉄でできててキャタピラみたいにガクガク動いてるんだけど。

 薄目を開け、周囲に視線を走らせた。

 ベルトコンベア。

 私は死体といっしょに、ベルトコンベアに乗せられているのだ。

 こっそり首を仰向けて、進行方向を見た。

 とたんに、ショックで息が止まった。

 でかいラッパ型の口みたいなものが、終点に鎮座している。

 口の中で扇風機の羽根みたいな巨大な刃が、高速回転している。

 そこに吸い込まれる死体が、バリバリと噛み砕かれ、瞬く間にミンチに変えられていく。

 マジですか。

 絶望で目の前が暗くなった。

 さっそく絶体絶命の危機じゃない!
 

#87 逆境なんて、くそくらえ!
 こうしてはいられない。

 私はベルトコンベアーの上に、がばりと跳ね起きた。

 前も後ろも死体の山だ。

 ふと見ると、

 コンベアーは何列も並行して走っていて、右隣のにソフィア、左隣のにラルクと一平が乗っている。

 もちろん彼らを待ち受けているのは、あのラッパ型のミンチ製造機だ。

 3人とも、目の前に迫る地獄に気づいて、あんぐりと口を開けっ放しにしている。

 残る距離は30メートルもない。

 ブレスレットに目を走らせる。

 だめじゃん。

 一瞬、目の前が暗くなった。

 MP残量200を切っている。

 これでは、半減アビを使ったところで、ミサイル3発には少し足りないだろう。

 補充が必要だった。

 今すぐに、どうしても。

 事態は急を要する。

 作業着姿の男たちが私に気づいて騒ぎ始めた。

 時間はほとんどない。

 ラッパに呑まれて噛み砕かれるのが先か、男たちにつかまって引きずり降ろされるのが先か。

 微妙なところである。

 もう、なりふりはかまっていられなかった。

 私はセーラー服の胸元に左手を突っ込むと、右の乳首をつまんだ。

 同時に右手をスカートの中に差し入れて、ブルマの隙間からあそこに指を挿入した。

 いち、にの、さんで、2点同時責めを開始する。

 こんな危機的状況下で果たして快感がやってくるものだろうか。

 そう危惧していたのだが、いざ始めてみると、事は意外にスムーズにいった。

 さすが隅々まで成熟し切ったエロ魔導士の肉体である。

 この感度のよさはどうだろう。

 どんな状況でも、快楽を貪ることにかけては、貪欲この上なくできているらしい。

 特にリングで締めつけられたクリちゃんの敏感さといったら、なかった。

 くちゅくちゅくちゅ。

 指先が音を立て始めた。

 熱いものが奥からにじみ出してきて、襞と襞の間がねっちょりと潤ってきた。

 はあ、はあ、はあ。

 私は喘いだ。

 息が荒くなる。

 セーラー服の下で乳房が膨れ上がり、熱を持ち始めたのがわかった。

 指でこねていると、乳首がたちまちのうちに、コチコチに尖ってきた。

 人生、あきらめちゃだめだ。

 何事も、挑戦してみるものである。

「ああん、いいっ!」

 ベルトコンベアーの上で大股を開き、M字開脚の姿勢を維持したまま、私は激しく身悶えし始めていた。
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