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#124 幻界のミューズ④
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私はジェットコースターが嫌いである。
小学校低学年の時、両親に連れられて行った近くの遊園地で、生まれて初めてジェットコースターなるものに乗り、恐怖のあまりおしっこをちびったことがあるからだ。
だから大学生になった今でも、あの有名なネズミキャラのテーマパークは嫌いだし、なんでみんながこぞってそんなぶっそうなところへ行きたがるのか、全く理解できないでいる。
だが、ソフィアの”ドラゴン・ジャンプ”は、そのジェットコースターの恐怖をはるかに上回るものだった。
軽く膝を曲げて跳躍しただけなのに、ソフィアは垂直にロケットみたく飛び上がった。
それは以前テレビで見たスペースシャトルの打ち上げにそっくりで、
「あわわわわわ、死ぬ!」
絶対宇宙飛行士にはなれないな、頭の片隅でちらとそんなことを思いながら、私はソフィアの体に必死でしがみついた。
「翔子、準備はいい? もうすぐおばけ蟹の真上だよ」
風切り音に負けじと、私の右の耳に口をつけてソフィアが怒鳴る。
見ると、ぐーんと迫ってきた蟹ロボットの鋏をかいくぐり、私たちは早くも怪物の頭上に達しようとしていた。
「なんならあたしがこのまま攻撃してもいいけれど」
ソフィアの提案に、私はかぶりを振った。
「だ、大丈夫。後は任せて」
あっという間に逆向きの放物線の頂点に達すると、今度は身体がすごい勢いで落下し始めるのがわかった。
下方に目をやると、蟹の甲羅の後頭部?あたりに透明ガラスで覆われたコクピットみたいなものがあり、その中であのアラクネが操縦桿を握っている。
トレードマークの黒のボンテージふう衣装に仮面をつけたアラクネは、不思議なものでも見るように操縦席の中から私たちを見あげていた。
急がねばならなかった。
このままでは私たちふたりとも、蟹の甲羅に激突してしまう。
「ソフィア、後ろから私を支えて」
「こう?」
うなずいて、私を抱えたまま、ソフィアが背後に回る。
ソフィアの腕の中で身体をずらし、両腕を自由にする。
「はうっ!」
思わずあえいでしまったのは、ソフィアの両手が私のおっぱいをわしづかみにしてきたからだ。
確かにそこが一番出っ張ってるから、持ちやすいには違いないのだろうけど、
「あん、やだ。そこは、だめ」
どさくさにまぎれ、乳首を指ではさんでコリコリするのは、やめてほしい。
だが、今はそんなことにかまっている場合ではないのだ。
両腕を斜め下に伸ばし、コクピットに狙いを定めると、気を落ちつけて、私は叫んだ。
「くらえ! 天・誅・バ・イ・ブ!」
忘れていたエロ魔法というのは、これだった。
天誅バイブ。
いわば、乳首ミサイルの極太バージョンである。
しかも、これはバイブだから、爆発しない。
その機能と言えば、ただ対象に”穴”を掘るだけだ。
コンマ1秒遅れて、目の前におぞましい物体が実体化した。
男根そのものの形状をした、赤紫色の大人のおもちゃである。
ごつごつと筋張った海綿体が鎧のように表面を覆い、先端ではその名の通りカメのあたまそっくりの亀頭が真っ赤に膨れ上がっている。
もちろん、おもちゃといっても長さは1メートル近くあり、こんなのいったい誰が使うの? と言いたくなるほどのキングサイズである。
その特大バイブの底部、ちょうど男性の睾丸に当たるところに、一対のブースターがついていた。
「ひゃはっ! でっかーい! ふっとーい! きっもち、よさそーっ!」
ソフィアが心なしかうれしそうな声を上げた時、そのブースターが点火した。
紅蓮の炎を噴き出し、
ビュン!
と、やにわにバイブが速度を増した。
まっしぐらにコクピット向かって突っ込んでいく。
「カニの上に着地して!」
私の叫びに、
「あいよ!」
ソフィアが、青果市場のおかみさんみたいな、威勢のいい返事を返してくる。
次の攻撃に備えて、私は腰からウィップを抜き、両手に構えた。
そして、心に強く念じた。
アラクネのやつ、今度こそ、この手でとっつかまえてやる!
小学校低学年の時、両親に連れられて行った近くの遊園地で、生まれて初めてジェットコースターなるものに乗り、恐怖のあまりおしっこをちびったことがあるからだ。
だから大学生になった今でも、あの有名なネズミキャラのテーマパークは嫌いだし、なんでみんながこぞってそんなぶっそうなところへ行きたがるのか、全く理解できないでいる。
だが、ソフィアの”ドラゴン・ジャンプ”は、そのジェットコースターの恐怖をはるかに上回るものだった。
軽く膝を曲げて跳躍しただけなのに、ソフィアは垂直にロケットみたく飛び上がった。
それは以前テレビで見たスペースシャトルの打ち上げにそっくりで、
「あわわわわわ、死ぬ!」
絶対宇宙飛行士にはなれないな、頭の片隅でちらとそんなことを思いながら、私はソフィアの体に必死でしがみついた。
「翔子、準備はいい? もうすぐおばけ蟹の真上だよ」
風切り音に負けじと、私の右の耳に口をつけてソフィアが怒鳴る。
見ると、ぐーんと迫ってきた蟹ロボットの鋏をかいくぐり、私たちは早くも怪物の頭上に達しようとしていた。
「なんならあたしがこのまま攻撃してもいいけれど」
ソフィアの提案に、私はかぶりを振った。
「だ、大丈夫。後は任せて」
あっという間に逆向きの放物線の頂点に達すると、今度は身体がすごい勢いで落下し始めるのがわかった。
下方に目をやると、蟹の甲羅の後頭部?あたりに透明ガラスで覆われたコクピットみたいなものがあり、その中であのアラクネが操縦桿を握っている。
トレードマークの黒のボンテージふう衣装に仮面をつけたアラクネは、不思議なものでも見るように操縦席の中から私たちを見あげていた。
急がねばならなかった。
このままでは私たちふたりとも、蟹の甲羅に激突してしまう。
「ソフィア、後ろから私を支えて」
「こう?」
うなずいて、私を抱えたまま、ソフィアが背後に回る。
ソフィアの腕の中で身体をずらし、両腕を自由にする。
「はうっ!」
思わずあえいでしまったのは、ソフィアの両手が私のおっぱいをわしづかみにしてきたからだ。
確かにそこが一番出っ張ってるから、持ちやすいには違いないのだろうけど、
「あん、やだ。そこは、だめ」
どさくさにまぎれ、乳首を指ではさんでコリコリするのは、やめてほしい。
だが、今はそんなことにかまっている場合ではないのだ。
両腕を斜め下に伸ばし、コクピットに狙いを定めると、気を落ちつけて、私は叫んだ。
「くらえ! 天・誅・バ・イ・ブ!」
忘れていたエロ魔法というのは、これだった。
天誅バイブ。
いわば、乳首ミサイルの極太バージョンである。
しかも、これはバイブだから、爆発しない。
その機能と言えば、ただ対象に”穴”を掘るだけだ。
コンマ1秒遅れて、目の前におぞましい物体が実体化した。
男根そのものの形状をした、赤紫色の大人のおもちゃである。
ごつごつと筋張った海綿体が鎧のように表面を覆い、先端ではその名の通りカメのあたまそっくりの亀頭が真っ赤に膨れ上がっている。
もちろん、おもちゃといっても長さは1メートル近くあり、こんなのいったい誰が使うの? と言いたくなるほどのキングサイズである。
その特大バイブの底部、ちょうど男性の睾丸に当たるところに、一対のブースターがついていた。
「ひゃはっ! でっかーい! ふっとーい! きっもち、よさそーっ!」
ソフィアが心なしかうれしそうな声を上げた時、そのブースターが点火した。
紅蓮の炎を噴き出し、
ビュン!
と、やにわにバイブが速度を増した。
まっしぐらにコクピット向かって突っ込んでいく。
「カニの上に着地して!」
私の叫びに、
「あいよ!」
ソフィアが、青果市場のおかみさんみたいな、威勢のいい返事を返してくる。
次の攻撃に備えて、私は腰からウィップを抜き、両手に構えた。
そして、心に強く念じた。
アラクネのやつ、今度こそ、この手でとっつかまえてやる!
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