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#11 反応する肉体③
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「それは…」
琴子はさすがに青ざめた。
下着姿でフロアを一周する…?
しかも、スマホで自撮りしながら…?
「かあさんは拒否できない。それはきのうも言ったはずだろう?」
和夫は包帯の下でにやにや笑っている。
どうやらこのやり取りを楽しんでいるようだ。
「そんなことしたら、かあさん、二度と病院に来れなくなっちゃうよ…。和夫はそれでもいいの?」
「そうなったら、そうなった時のことさ。さあ、行けよ。スマホはスカイプを作動させておけばいい」
「和夫…」
「いいかい? 女は見られることで綺麗になるんだよ。かあさんは、もっと不特定多数の人間に、その裸を見てもらう必要がある。そうすれば、もうオヤジの眼なんて気にすることもなくなるはずさ」
自信満々の和夫の口ぶりに、琴子は首をかしげた。
この子ったら、まだ高校生のくせに、いつからこんないっぱしの口をきくようになったのだろう。
あの包帯の向こうにあるのは、和夫ではなく、やはり別の誰かなのではないか…。
「早くしなよ。あと1時間もすれば、昼食の時間だ。そうなれば、余計人目が多くなって、やりにくくなる」
「わかったわ」
和夫の声に苛立ちを聞き取って、琴子は不承不承、うなずいた。
コートを脱ぎ、椅子の上に畳んでかけた。
スマホにスカイプを起動し、和夫のスマホに同調させる。
入口まで行って、廊下の左右を見回すと、幸い、人の姿はない。
「まず、左に進んでラウンジに行くんだ。ラウンジでは、テーブルにスマホを固定して、中で飲み物を飲む。あとは、ナースステーションの前を通って、病棟をぐるっと一周してくればいい」
和夫の指図を背中で聞いて、廊下に出た。
ほとんど裸に近い格好だが、思ったより寒くはない。
クールビズとかで、病院全体の冷房が、少し高めの気温に設定してあるからだろう。
次の目的地であるラウンジまでは、直線距離にして約200メートルといったところか。
どうかその間、誰も廊下に出て来ませんように…。
右手にスマホをかざし、左手で胸を隠しながら、そろそろと歩き出す。
これではTバックのショーツしか穿いていない下半身がまる見えだが、どうにも隠しようがない。
ラウンジが左手に見えてきて、歩みを緩めた時だった。
ふいにその手前のトイレのドアが開いて、松葉杖をついた老人が姿を現した。
突然の出来事に、隣の女子トイレに身を隠す暇もなかった。
病院の廊下で下着だけという琴子の異様な姿に気づいて、老人が雷でも落ちたかのようにぎくりと立ち止まる。
眼鏡を指でずらして琴子の全身をしげしげと眺めると、皺だらけの口を動かして何か言いかけた。
恥ずかしさで頬がカッと熱くなり、琴子は逃げるように駆け出した。
ラウンジに飛び込むと、
「あれえ? ママ、あの人、どうして裸なの?」
いきなり子どもの声が聞こえてきて、琴子を更に打ちのめした。
琴子はさすがに青ざめた。
下着姿でフロアを一周する…?
しかも、スマホで自撮りしながら…?
「かあさんは拒否できない。それはきのうも言ったはずだろう?」
和夫は包帯の下でにやにや笑っている。
どうやらこのやり取りを楽しんでいるようだ。
「そんなことしたら、かあさん、二度と病院に来れなくなっちゃうよ…。和夫はそれでもいいの?」
「そうなったら、そうなった時のことさ。さあ、行けよ。スマホはスカイプを作動させておけばいい」
「和夫…」
「いいかい? 女は見られることで綺麗になるんだよ。かあさんは、もっと不特定多数の人間に、その裸を見てもらう必要がある。そうすれば、もうオヤジの眼なんて気にすることもなくなるはずさ」
自信満々の和夫の口ぶりに、琴子は首をかしげた。
この子ったら、まだ高校生のくせに、いつからこんないっぱしの口をきくようになったのだろう。
あの包帯の向こうにあるのは、和夫ではなく、やはり別の誰かなのではないか…。
「早くしなよ。あと1時間もすれば、昼食の時間だ。そうなれば、余計人目が多くなって、やりにくくなる」
「わかったわ」
和夫の声に苛立ちを聞き取って、琴子は不承不承、うなずいた。
コートを脱ぎ、椅子の上に畳んでかけた。
スマホにスカイプを起動し、和夫のスマホに同調させる。
入口まで行って、廊下の左右を見回すと、幸い、人の姿はない。
「まず、左に進んでラウンジに行くんだ。ラウンジでは、テーブルにスマホを固定して、中で飲み物を飲む。あとは、ナースステーションの前を通って、病棟をぐるっと一周してくればいい」
和夫の指図を背中で聞いて、廊下に出た。
ほとんど裸に近い格好だが、思ったより寒くはない。
クールビズとかで、病院全体の冷房が、少し高めの気温に設定してあるからだろう。
次の目的地であるラウンジまでは、直線距離にして約200メートルといったところか。
どうかその間、誰も廊下に出て来ませんように…。
右手にスマホをかざし、左手で胸を隠しながら、そろそろと歩き出す。
これではTバックのショーツしか穿いていない下半身がまる見えだが、どうにも隠しようがない。
ラウンジが左手に見えてきて、歩みを緩めた時だった。
ふいにその手前のトイレのドアが開いて、松葉杖をついた老人が姿を現した。
突然の出来事に、隣の女子トイレに身を隠す暇もなかった。
病院の廊下で下着だけという琴子の異様な姿に気づいて、老人が雷でも落ちたかのようにぎくりと立ち止まる。
眼鏡を指でずらして琴子の全身をしげしげと眺めると、皺だらけの口を動かして何か言いかけた。
恥ずかしさで頬がカッと熱くなり、琴子は逃げるように駆け出した。
ラウンジに飛び込むと、
「あれえ? ママ、あの人、どうして裸なの?」
いきなり子どもの声が聞こえてきて、琴子を更に打ちのめした。
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