82 / 400
#80 二重奴隷①
しおりを挟む
まんじりともできぬ夜が明けた。
幸い、夫の正一は、自分のすぐ隣のベッドで昨夜何があったのかまったく気づいていないらしく、特に不自然な様子も見せずに、いつものように会社に出かけて行った。
もうひとつ琴子にとって幸いだったのは、初めての性行為で疲れてしまったのか、お昼近くになっても和夫が起きてこなかったことだった。
おかげでひとりになれ、心を落ち着かせることができた。
食事を摂る気にもなれず、熱い紅茶を啜りながら、リビングのテーブルに頬杖をつき、琴子は物思いに耽った。
実の息子と関係を持ってしまったという事実は、もう取り消すことができない。
しかも、こともあろうに、自分は夫との行為以上に感じてしまったのだ。
母親を性的に満足させたことに、和夫自身、気づいているに違いなかった。
となれば、和夫は今後、もっと大胆になってくるだろう。
あの不気味なデスマスクをつけた和夫に抱かれることは、想像するだにおぞましかった。
が、その行為が逆に己に倒錯的な快感をもたらすだろうことも、琴子にはわかっていた。
そうなると、心は千々に乱れてしまうのだ。
この先、和夫の誘いに対して、どう接するべきなのか。
仮に毎日身体を求められたとして、それに応じるべきなのか。
和夫の要求に逆らえないことはわかっている。
しかし、このままずるずると近親相姦の泥沼にはまってしまうのは、やはり怖かった。
もし、万が一間違って妊娠してしまったらと思うと、恐怖で鳥肌が立った。
そしてそれを夫に知られてしまったら、私はもう破滅してしまうー。
誰かに話してしまいたかった。
こんな重い気分のまま、毎日を過ごすのかと考えると、憂鬱で死にたくなってくる。
無意識のうちに、深いため息をついた時だった。
玄関のほうで、インターホンが鳴るのが聞こえ、琴子はぎくりと顔を上げた。
裸足のまま玄関に行き、のぞき穴から外を見た。
ワンピースのような、白い服の一部が見えた。
もしや、と思った時、仁美の声がした。
「すみません。お忙しいところを・・・」
次の一瞬、すがりつくようにして、琴子はドアを開けていた。
「仁美さん・・・」
熱いものが胸の底からこみ上げてきて、思わず涙ぐみそうになる。
白い清楚なワンピースを着た仁美は、まるで天使のように見えた。
「あの、もしよろしければ、お買い物ついでに、一緒に外食でもいかがかと思って」
柔和な微笑を口元に浮かべて、仁美が言った。
「外食・・・?」
琴子は、おうむ返しに繰り返した。
仁美とふたりで、外出する。
それは、ひどく胸の躍る誘いだった。
これはひょっとして、天が与えてくれたチャンスなのではないか。
そんな気さえする。
レズビアンの仁美になら、和夫とのことも遠慮なく話せるかもしれない。
そう思ったのだ。
「ご迷惑?」
琴子がいつまで経っても答えないので、仁美が悲しげに頬を強張らせた。
「ううん、迷惑だなんて、そんな」
琴子は必要以上に明るい声をしぼり出した。
「よかった」
仁美のはかなげな顔に、笑みが戻った。
「ただ外出するだけではつまらないので、私、ちょっとした趣向を用意したんですよ」
にこやかに微笑んで、ハンドバッグから何かを取り出した。
プラスチック製の、小指ほどの大きさのピンクの物体である。
「こ、これは・・・」
その正体に気づいて琴子が頬を染めた時、仁美が何か重大な秘密を打ち明けるかのように、声を潜めて言った。
「琴子さんは、これをヴァギナの中に仕込んだまま、外出するのです。これはワイヤレスで、遠隔操作できるようになっています。つまり、このローターは、外出中も私があなたを気持ちよくさせてあげられる、そんな素敵なアイテムなのですよ」
幸い、夫の正一は、自分のすぐ隣のベッドで昨夜何があったのかまったく気づいていないらしく、特に不自然な様子も見せずに、いつものように会社に出かけて行った。
もうひとつ琴子にとって幸いだったのは、初めての性行為で疲れてしまったのか、お昼近くになっても和夫が起きてこなかったことだった。
おかげでひとりになれ、心を落ち着かせることができた。
食事を摂る気にもなれず、熱い紅茶を啜りながら、リビングのテーブルに頬杖をつき、琴子は物思いに耽った。
実の息子と関係を持ってしまったという事実は、もう取り消すことができない。
しかも、こともあろうに、自分は夫との行為以上に感じてしまったのだ。
母親を性的に満足させたことに、和夫自身、気づいているに違いなかった。
となれば、和夫は今後、もっと大胆になってくるだろう。
あの不気味なデスマスクをつけた和夫に抱かれることは、想像するだにおぞましかった。
が、その行為が逆に己に倒錯的な快感をもたらすだろうことも、琴子にはわかっていた。
そうなると、心は千々に乱れてしまうのだ。
この先、和夫の誘いに対して、どう接するべきなのか。
仮に毎日身体を求められたとして、それに応じるべきなのか。
和夫の要求に逆らえないことはわかっている。
しかし、このままずるずると近親相姦の泥沼にはまってしまうのは、やはり怖かった。
もし、万が一間違って妊娠してしまったらと思うと、恐怖で鳥肌が立った。
そしてそれを夫に知られてしまったら、私はもう破滅してしまうー。
誰かに話してしまいたかった。
こんな重い気分のまま、毎日を過ごすのかと考えると、憂鬱で死にたくなってくる。
無意識のうちに、深いため息をついた時だった。
玄関のほうで、インターホンが鳴るのが聞こえ、琴子はぎくりと顔を上げた。
裸足のまま玄関に行き、のぞき穴から外を見た。
ワンピースのような、白い服の一部が見えた。
もしや、と思った時、仁美の声がした。
「すみません。お忙しいところを・・・」
次の一瞬、すがりつくようにして、琴子はドアを開けていた。
「仁美さん・・・」
熱いものが胸の底からこみ上げてきて、思わず涙ぐみそうになる。
白い清楚なワンピースを着た仁美は、まるで天使のように見えた。
「あの、もしよろしければ、お買い物ついでに、一緒に外食でもいかがかと思って」
柔和な微笑を口元に浮かべて、仁美が言った。
「外食・・・?」
琴子は、おうむ返しに繰り返した。
仁美とふたりで、外出する。
それは、ひどく胸の躍る誘いだった。
これはひょっとして、天が与えてくれたチャンスなのではないか。
そんな気さえする。
レズビアンの仁美になら、和夫とのことも遠慮なく話せるかもしれない。
そう思ったのだ。
「ご迷惑?」
琴子がいつまで経っても答えないので、仁美が悲しげに頬を強張らせた。
「ううん、迷惑だなんて、そんな」
琴子は必要以上に明るい声をしぼり出した。
「よかった」
仁美のはかなげな顔に、笑みが戻った。
「ただ外出するだけではつまらないので、私、ちょっとした趣向を用意したんですよ」
にこやかに微笑んで、ハンドバッグから何かを取り出した。
プラスチック製の、小指ほどの大きさのピンクの物体である。
「こ、これは・・・」
その正体に気づいて琴子が頬を染めた時、仁美が何か重大な秘密を打ち明けるかのように、声を潜めて言った。
「琴子さんは、これをヴァギナの中に仕込んだまま、外出するのです。これはワイヤレスで、遠隔操作できるようになっています。つまり、このローターは、外出中も私があなたを気持ちよくさせてあげられる、そんな素敵なアイテムなのですよ」
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる