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日曜日は朝からしとしと雨が降り続くあいにくの天気だった。
憂鬱な色の空を見上げながら、あたしはゆうべニュースで梅雨入り宣言の話題が出ていたのを思い出した。
今年は全国的に一週間ほど梅雨が早いらしい。
競技場に着くと、風花が先に来ていて、玄関口の柱の陰であたしを待っていた。
「ねえ、気づいた?」
あたしの顔を見るなり、お馴染みのあのアニメ声で訊いてきた。
「え、どういうこと?」
思わず訊き返すと、競技場を取り囲む並木のほうを顎で示して、
「どの木にもぎっしり、コウモリがとまってる」
「は? マジ?」
ぞっとして、目を凝らす。
うひゃあ。
言われてみれば、その通りだ。
あの枯れ葉か木の実みたいにぶら下がってる黒い影、あれは全部…?
その時だった。
柱の後ろから、その声がしたのは。
「探してるんだよ。かつての女王さまを」
びっくりして振り向くと、黒いフードをかぶった長身の男が、柱にもたれていた。
あ。
瞬間的に、わかった。
この人、もしかして、あの時の…。
憂鬱な色の空を見上げながら、あたしはゆうべニュースで梅雨入り宣言の話題が出ていたのを思い出した。
今年は全国的に一週間ほど梅雨が早いらしい。
競技場に着くと、風花が先に来ていて、玄関口の柱の陰であたしを待っていた。
「ねえ、気づいた?」
あたしの顔を見るなり、お馴染みのあのアニメ声で訊いてきた。
「え、どういうこと?」
思わず訊き返すと、競技場を取り囲む並木のほうを顎で示して、
「どの木にもぎっしり、コウモリがとまってる」
「は? マジ?」
ぞっとして、目を凝らす。
うひゃあ。
言われてみれば、その通りだ。
あの枯れ葉か木の実みたいにぶら下がってる黒い影、あれは全部…?
その時だった。
柱の後ろから、その声がしたのは。
「探してるんだよ。かつての女王さまを」
びっくりして振り向くと、黒いフードをかぶった長身の男が、柱にもたれていた。
あ。
瞬間的に、わかった。
この人、もしかして、あの時の…。
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