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医者みたいなその男性がそう声を張り上げると、更に白衣の人たちが現れて担架で真帆ちゃんを運び去った。
「ムチャ手回しがいいじゃん」
風花がつぶやいた。
「まるでこうなることを、初めから予想してたみたいだね」
視界の隅を黒い影が横切ったのは、その時だ。
あれはー。
あのフードの青年だった。
真帆ちゃんが消えた奥の通路に、混乱に紛れてするりと滑り込む。
「あたしたちも行ってみよう」
あたしは風花の手を引いて立ち上がった。
「行ってみるって、どこへ?」
「裏口。真帆ちゃんがどこに運ばれるか、何かヒントがつかめるかもしれない」
外に出ると、雨はやんでいた。
なのにあたりが薄暗いのは、コウモリたちの大群が空を埋め尽くしているせいだ。
「げ、やば。どうなってんの?」
空を見上げて風花が絶句する。
「そんなの、あたしにもわかんないよ!」
建物の角を回った、ちょうどその時だった。
あたしたちの目の前に、一台の救急車が、サイレンも鳴らさず、ぬうっと鼻づらを突き出した。
「三ツ星中央病院?」
横っ腹の文字を読んで、風花が口に出す。
んー、三ツ星って?
えっと。
えーっと。
どこで聞いたんだっけ?
通り過ぎる救急車を見送りながら、あたしは妙な違和感を覚えないではいられなかった。
「ムチャ手回しがいいじゃん」
風花がつぶやいた。
「まるでこうなることを、初めから予想してたみたいだね」
視界の隅を黒い影が横切ったのは、その時だ。
あれはー。
あのフードの青年だった。
真帆ちゃんが消えた奥の通路に、混乱に紛れてするりと滑り込む。
「あたしたちも行ってみよう」
あたしは風花の手を引いて立ち上がった。
「行ってみるって、どこへ?」
「裏口。真帆ちゃんがどこに運ばれるか、何かヒントがつかめるかもしれない」
外に出ると、雨はやんでいた。
なのにあたりが薄暗いのは、コウモリたちの大群が空を埋め尽くしているせいだ。
「げ、やば。どうなってんの?」
空を見上げて風花が絶句する。
「そんなの、あたしにもわかんないよ!」
建物の角を回った、ちょうどその時だった。
あたしたちの目の前に、一台の救急車が、サイレンも鳴らさず、ぬうっと鼻づらを突き出した。
「三ツ星中央病院?」
横っ腹の文字を読んで、風花が口に出す。
んー、三ツ星って?
えっと。
えーっと。
どこで聞いたんだっけ?
通り過ぎる救急車を見送りながら、あたしは妙な違和感を覚えないではいられなかった。
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