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青年が懐から取り出したのは、黒いネズミのような生き物だった。
キイキイ鳴くそれには、折れ曲がった翼が生えている。
「コウモリ…?」
風花が目を丸くした。
「知ってるか? コウモリは、超音波を発して夜空を飛び、餌である昆虫を捕まえる。だが、その超音波は、人間の耳には捕らえられないほど高い領域のものだ」
「エコーロケーション…」
「そうだ。そして、その能力は、イルカにもある」
「イルカにも?」
「ああ。そして、イルカの能力は、コウモリよりも更に優秀だ」
「…何が、言いたいんですか?」
「つまり、コウモリは、イルカが近くにいると、その影響を受けざるをえないということさ。超強力なエコーロケーション能力を持つイルカは、コウモリたちにとって、いわば”女王”のような存在になる」
あたしは右手の水槽のおーちゃんを見た。
おーちゃんは、つぶらで真っ黒な瞳であたしたちをじっと見つめている。
時折、何か言いたげに口を開くと、突き出た口吻の隙間からボコッと透明な気泡がこぼれ出た。
「でも、それが、真帆とどういう関係が?」
風花が更に言いつのったときだった。
次の瞬間、あたしはあっと小さく声を上げていた。
「まあ、見てな」
子そう言うなり、右手を大きく振って、青年が手の中のコウモリを、無造作な仕草で頭上に放り投げたのだ。
キイキイ鳴くそれには、折れ曲がった翼が生えている。
「コウモリ…?」
風花が目を丸くした。
「知ってるか? コウモリは、超音波を発して夜空を飛び、餌である昆虫を捕まえる。だが、その超音波は、人間の耳には捕らえられないほど高い領域のものだ」
「エコーロケーション…」
「そうだ。そして、その能力は、イルカにもある」
「イルカにも?」
「ああ。そして、イルカの能力は、コウモリよりも更に優秀だ」
「…何が、言いたいんですか?」
「つまり、コウモリは、イルカが近くにいると、その影響を受けざるをえないということさ。超強力なエコーロケーション能力を持つイルカは、コウモリたちにとって、いわば”女王”のような存在になる」
あたしは右手の水槽のおーちゃんを見た。
おーちゃんは、つぶらで真っ黒な瞳であたしたちをじっと見つめている。
時折、何か言いたげに口を開くと、突き出た口吻の隙間からボコッと透明な気泡がこぼれ出た。
「でも、それが、真帆とどういう関係が?」
風花が更に言いつのったときだった。
次の瞬間、あたしはあっと小さく声を上げていた。
「まあ、見てな」
子そう言うなり、右手を大きく振って、青年が手の中のコウモリを、無造作な仕草で頭上に放り投げたのだ。
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