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7.楽しい
しおりを挟む「遊園地ぃ?」
僕は思わず素っ頓狂な声が出た。
「なによ、そんなにおかしい?高校生にもなって遊園地に行きたいって言ったら」
彼女は頬をぷくっと膨らませて僕を睨んだ。
「ごめん、そういうことじゃなくて」
僕は焦って思いを伝えようとするが、言葉が思いつかない。
「普通に、びっくりしただけだよ、遊園地なんてワード、久しぶりに聞いたから」
「私も久しぶりなの。 大人になってから見る遊園地ってまた違うのかなって」
空を仰いで言う彼女に僕は、
「大人って歳でもないでしょ」
とぼそっと言ったら、
「聞こえてるんだからね!」
とばしっと叩かれた。 地味に痛かった。
そういう訳で僕らは遊園地に向かった。
本当に、小学生以来なので久しぶりだ。
彼女はまずジェットコースターに乗りたいと言った(そう言う気はしていた)。
僕は可もなく不可もなくという感じなのでそれなりに乗り気で並んだのだが、
どことなく彼女の様子がおかしい。
「…どうしたの?」
あまりに不思議になって尋ねた。
「な、なにが??」
彼女の声は裏返った。
確信した。
「もしかして…苦手なの?」
彼女の顔はほんのりと赤らみ、こくっと頷いた。
「いや、今はわかんないからね!? 昔は…ちょっと苦手だったから、克服出来てるかもって思って挑戦してみたくて…」
彼女の手が、少しだけ震えていた。この暑いのに。
その時、僕は何を思ったのか、
彼女の手をそっと握り、大丈夫だよと言った。
彼女の顔はみるみる赤くなって、口をぱくぱくしている様子を見て、ようやく自分が何をしているのかに気づいた。
反射神経で、手を離した。
「うわ…ごめん……ほんとにわざとじゃない…」
僕は顔が青ざめる思いで彼女に謝った。
彼女はまだ赤かった。
「う、うん、だ、大丈夫だよ」
彼女とはジェットコースターに乗るまで、それっきり話さなかった。
「…うん、普通に楽しかったんだけど」
彼女があまりにも意外という顔でそう言った。
「じゃあ克服出来てたんだ?よかったね」
「やっぱり小学生と高校生の感覚って違うんだね…」
とぶつぶつ1人で何かを言っていた。
「次は何する?」
僕が問いかけると、彼女はキラキラした瞳に変わって、
「お化け屋敷に行きたい!」
と言った。
今度は本当に好きなんだろう。
僕はお化け屋敷も可もなく不可もなくなのでそれなりに乗り気だった。
しかし、僕らの緊張がマックスに達したのは、
約30分後のことだった。
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