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14.前兆
しおりを挟む「もしもし?」
『新垣くん、ちょっと大変なの』
焦った佐々木さんの声が聞こえる。
『とりあえず教室来てもらえる?』
「わかったすぐ行く」
電話を切って、教室へ走る。
朝井には少し申し訳ないことをしたが。
到着すると、何やらお客さんと揉めてるみたいだった。
「なんでここの答えがこうなるんだよ」
「だからさっき説明した通りです…!」
嫌な予感がした。
「あっ、新垣くん」
佐々木さんが振り向いた。
僕は目の前にいた男を見て、青ざめた。
「あーーおっ!」
抱きついてくる不審な男に僕は全力で逃げる。が、捕まった。
「……迷惑だって…何問題にケチつけてんだよ」
背後から伝わる温もりから必死で逃げようとじたばたする。
「お前が俺んちに遊びに来ないからだろ。いつでも来いって言ってんのに」
「僕は暇じゃない」
「新垣くん…知り合い?」
不審そうな顔をするクラスメイトに僕はため息をついて言った。
「知り合いも何も」
「「兄弟だよ」」
よりによって揃った。
「え…じゃあお兄さん!?」
みんながわっと騒ぎ出した。
だから嫌だったんだ。この兄貴は…
「で、なんなの?なんでこんなとこいんの?」
「どうしようかは俺の自由だろ? 俺は蒼の頑張ってる姿を拝みたかったんだよ~♪」
相変わらずうざったい兄だ。
僕の唯一の兄弟、誠は僕の6つ上の23歳。
僕とは全く何もかも似ていない。
癪に障るが兄はかなりのイケメンだし、明るくて社交性をあってかなりいい職についていながら3年付き合ってる可愛い彼女がいる。
兄弟でありながら、僕と全く似ていない兄に自ずと不信感を抱くようになった。
なんで兄はできて僕にはできないんだろうと言う安直な羨みだ。
今はただ単に僕への溺愛っぷりに呆れているだけだ。
「で、どの問題に不満があったの?」
「これだよ、これー。」
と、僕が提案した問題を指差した。
僕はため息をついて、説明を始める。前に皆に謝った。
「本当にごめん。僕の身内が迷惑かけたみたいで」
「大丈夫! そっかぁお兄さんだったんだ。 仲良さげで羨ましい」
と、佐々木さんは微笑んだ。
「他にトラブルは、無さそう?」
「うん、他は何とかうまくいってるみたい。 トラブルあったみたいだけど自力で解決出来てたみたいだし」
確かに周りを見渡すとみんなの慣れた手つきが見える。
「ありがとう。ごめんね」
大丈夫~~と言って彼女は友達と合流して行った。
「あの子可愛いな~お前の彼女?」
「そんな訳ないだろ」
兄の前だと口調が荒くなる癖、どうにかしないと。
何とか、1日目は兄以外のことは大きなトラブルなく終わった。
思いの外疲れた。
「新垣くん」
「あ、永田さん…」
今日に胸が高鳴りだした。
そうだ。僕は明日告白するんだ。
「今日はお疲れ様! 大変だったでしょ?」
と、彼女が缶のソーダを僕に渡した。
「あ、ありがとう。君も今日シフトお疲れ様」
景品で貰った飴を彼女に渡した。
「わぁ、ありがとう!」
彼女はそれだけで喜んだ。
沈黙が流れる。 周りはガヤガヤしていて、かき消されそうだと思ったが、今言うしかないと思った。
「永田さん」
今日こそはちゃんと言う。絶対ちゃんと。
「ん?」
何の疑いもなく彼女は振り向く。
「明日の後夜祭の時間、僕にくれませんか」
「後夜祭? 少し片付け当たってるんだけど…」
そんなのは調査済みだ。 逆にそこをついて君を誘ったんだよ。
「僕も手伝う、ってことだよ」
「…あぁ!そういうこと? 朝井くんもいるんだ、手伝ってくれるなら嬉しい」
彼女は笑顔で快諾してくれた。
これで僕はもう逃げられない。
彼女と向き合う覚悟ができた。
しかし、人生とは、そんなに上手くいかないものらしい。
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