VRMMOを引退してソロゲーでスローライフ ~仲良くなった別ゲーのNPCが押しかけてくる~

オクトパスボールマン

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第24話 管理AIからのメッセージ

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 昨日ゲームを終えようとログアウトする直前にFWOの管理AIテミスと名乗るものからメッセージが届いた。メッセージの内容は次のようになっていた。

『児玉 光太郎 様 (プレイヤー名;コウタ)
平素より弊社サービス『Fantasy World Online』をご利用いただき、誠にありがとうございます。
Fantasy World Onlineにて法・掟を担当しておりますテミスと申します。

個体名リリアーヌ・サザランドよりAIデータコネクト機能の申請を受け、この度ご連絡いたしました。

児玉 光太郎様の申請承認の可否をお聞きした上で、
個体名リリアーヌ・サザランドの対応を進めたいと考えております。

ご多忙の折、まことに恐縮ですが、ご返事のほどお願い申し上げます。
また、規約の詳細につきましては添付の資料をご参照ください。』

「規約はこれか。……長いな」

 長いからといって読み飛ばしては後でトラブルになりかねないのでちゃんと読むことにする。……やはり規約の方は色々書かれていた。重要そうなのはお金はかからない、複製はできない、削除してしまった場合復元できない、第三者に今回知りえた情報を漏らしてはならないくらいか。

 メッセージの返事はもちろん承認する旨を書いて返信する。
 こちらに送られてくるタイミングは、リリアーヌ王女次第らしくいつ来るかわからない。

「俺が運営に問い合わせた時は断られたんだけどな」

 どういう経緯でAIデータコネクトできるようになったんだ?運営に問い合わせた際に『こちらでは対応していない』と回答されている。俺はてっきりゲームとして対応していないものと認識していた。あれはあくまで運営側では対応していないけどゲーム内では用意されてるよって意味だったのか?

「それにゲーム内に用意されていたとしてNPCが独自で動いてる?プレイヤーが直接かかわっていない状況で?ありえるのか?」

 ゲーム内で用意されていたとしてリリアーヌ王女が自力でその方法を見つけ達成したという事実。はっきり言って意味が分からない。確かに近年のAI技術はものすごく高い水準のものであり、人間と話しているかAIと話しているか判別がかなり難しいくらいである。

 しかし、あくまでAIは過去に学習したデータをもとに判断し、その結果で起こす行動などもすべてプログラムされたものである。実際にゲームではプレイヤーが直接かかわっていなくてもNPCは活動しているがそれはすべてフラグなどで管理された決まったものであり『自我』と呼べるようなものは存在しない。そのため、プレイヤーが関わっていなければ特定の行動しかしないわけで俺は約1カ月関わっていない。そのはずなのに自ら考えて行動をした?

「うーん、あるとしたらAIデータコネクトを自ら行うようにプログラムされていて、俺がフラグを持っていたってことだけど……」

 まあそれもおかしな話ではあるんだけど。規約によるとAIデータコネクトをしたNPCはFWOの世界からいなくなるらしい。オンラインゲームで特定の個人に対し無償でNPCを提供するメリットが運営側に皆無である。むしろNPCの立ち位置によっては悪影響がでるデメリットのほうがはるかに大きい。

「リリアーヌ王女が申請したってところも気になるよね」

 AIデータコネクト機能は人間のための機能であり、AI側が行うものではない。そのためAIデータコネクト機能をAI自ら行うなんて聞いたことはない。

「正直、よくわからない事だらけではあるけど元々望んでいたことだし結果オーライ?」

 うん、ごちゃごちゃ考えたけど俺ぐらいの頭でわかるわけないか。専門で学習したわけでもないので詳しくないのだから。単純に仲が良かったNPCが来てくれるその事実だけ理解すればいいか。

「よし、気を取り直してゲーム始めるか」

 さっそくのんびり牧場ファンタジーにログインする。
 ログインするとマロンが滑り台を逆走して滑るほうから上ろうとぴょんぴょんしていた。何だこの可愛い生き物は。スクショスクショ。

「ぷぅ!」

 俺に気づいたマロンはすぐに傍によってきて元気に鳴く。

「今からご飯にしような」

 今日は牧草とリンゴである。マロンはおいしそうにご飯を食べている。

 さて、今後のことを考えていかないとね。リリアーヌ王女がいつ来るのか分からないけど来てから慌てて動くより準備をしておいたほうがいいだろう。まずは村長に住人が新たに来ることを伝えるべきかな。住むところとか相談しなきゃいけないだろうし。日用品は、本人に聞いたほうがいいか。すぐに買えるだけのお金をためておこう。それでは、これからの行動を軽く決めたので早速動いていきますか。
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