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てるてる坊主

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うちの寮は規律が厳しい。
その上よく分からないルールがある。
天気予報に関係なく、毎日てるてる坊主を作らなければいけない。

ある日、てるてる坊主の材料を切らしてしまい寮生に分けてもらおうと思ったが、深夜ということもあってとっくに彼らも寝ているかと寮内をふらつくことにした。

何かがおかしい。
こんな時間だ、人気がないのは当たり前なのだがなんとも言い難い不気味さを感じる。
ふと、暗い食堂の中のカーテンレールにずらりと並ぶてるてる坊主が目に入った。
昨日から数が増えていない。
毎日作らなければいけないのに、今日はみんな作っていないということか?
よく分からないルールに嫌気が差し、ボイコットでもしたのか?
確かにてるてる坊主を作るのは時間もかなりかかる上に、重労働で大変だ。
しかし、僕は何も聞いていない。
勘弁してくれ。連帯責任だぞ。
うちの寮は規律が厳しい。
てるてる坊主の数が増えていないことがバレたら、あの拷問が何時間続くことか。
考えるだけでもぞっとする。
とりあえず、急いでみんなの分も作っておくか。
しかし材料が無い。

食堂を出て調理場に入り、それらしいものを探すことにした。
電気の明かりが眩しく、消灯していないことを不思議に思った。
やはり何かがおかしい。
いや、今はそれより材料探しだ。
床にはてるてる坊主を作った残骸が無造作に散らばっていた。
なんだ、誰か作ってるんじゃないか。
そいつも罰を恐れて急いでみんなの分を作ったのだろう。
数が増えていないということは、今作っている最中なのか?
材料を分けてもらうついでに手伝ってやろう。

起きていそうな奴の部屋の扉をノックする。
少し扉が開いているのに気付く。
不思議に思いゆっくりとドアを開ける。
誰もいない。
おいおい、てるてる坊主を作っていないどころか無断外出か?
勘弁してくれ。連帯責任だぞ。
うちの寮は規律が厳しい。
他の部屋も見回ったが、みんないない。
やはり集団ボイコットだと確信した。
しかし、僕だけ何も聞いていない。
明日の朝、寮長になんと説明すればいいのか。
あの拷問を想像し、恐怖で額に汗が滲み、全身が震えカタカタと歯が鳴る。
今すぐ僕も逃げてしまおうかとも思ったが、自分の分だけでもてるてる坊主を作っていた方がなんとか許してもらえるかもと食堂に戻った。

最後にとっておいた材料を使おう。
僕はカーテンレールにくくりつけた紐に首をかけた。
たった1人分だが、昨日よりてるてる坊主が増えた。
仕方ない、連帯責任だからな。


-----終-----
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