キミと泳げばなにかわかるかも

千羽凪

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尚先輩と

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  「あ、の、、、尚先輩?」
 電話越しにいるのは尚先輩。
 先輩は黙った。
 「彼女が、、、泳げなかったら、悔しいですか?」 
 そりゃあそうだよね。だって水泳部の部長だもん。
 悔しいじゃなくて、もしかしたら恥ずかしいとのかな?
 「美紅、、、、、なんでこんなこと。早く言ってくれなかったんだ?」
 「言えなかったの」
 そういうと、彼はまた黙った。
 「今日、学校のプール集合。俺がいるから大丈夫だろう。時間は10時な」
 「えっ!?ちょっと、、、、」
 待って。
 と、言おうとしたら、電話を切られた。
 「あたし、、、、どうしたらいいの?」
  

 そして集合時間10時。
 美紅はなにをするか聞かされてないので、なにも持たずに自転車で学校に行った。
 そこには、尚先輩が一人でいた。

 「な、尚先輩、、、、。」
 「美紅か。いくぞ。」
 強引に手を引っ張られ、あたしは何も言えずにいっしょに行った。

 尚先輩は着替えてるみたい。
 あたしはなんにも持ってない。

 「大丈夫か?」
 「い、嫌、、、こ、怖い、、、。」
 「大丈夫だから。中に入って」

 あたしはおそるおそる水の中に入った。

 冷たい。
 あの時の感覚が忘れられない。
 あたしのせいでお兄ちゃんは、、、。

 突然違う雰囲気になった美紅に尚は怯えた。
 美紅が怖い。

 「み、美紅??まってろ、今、助ける!!」

 お兄ちゃん、来ちゃダメ。
 死んじゃう。
 お兄ちゃんの代わりにあたしが。

 ああ、溺れる。

 海の底へ。
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