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4.人々との交わり
サーシンまでの道 復路
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浜辺を出発した一同は、浜辺に向かう時よりも打ち解けていた。
あの騒動があったおかげで、みんなの距離が縮まり、連携もうまくいっていた。今回はラウールも夜の見張りをやらせてもらえた。初めてなのでビルンさんが一緒に起きてくれて、見張りの時の注意点を教えてくれた。
今までは父様が教えてくれたことしか知らなかったラウールは、同じランクとはいえ、色々な経験をしているビルンさんの言葉に感心していた。実際にこうやって話していると、細かなところまで気にしていることがよくわかる。パーティーメンバーの特徴をとらえて、こういったことを注意しているから、もしパーティーを組んだらお前もそういう気配りをするんだぞ、と。
そして夜には自分たちで対処できる魔物や動物しか出てこず、みんなを起こすことはなかった。
そして街までもうすぐのところまで戻ってきた。僕とビルンは馬車の中で休んでいる。ビルンさんは慣れたもので、いびきをかいて眠っていた。こういう所はさすが慣れている。どこでも寝れることも冒険者には必要なことなのだと教えられた。
パかパカパカ
パかパカパカ
パかパkパか
・・・・
・・・・
・・・・
『敵襲ーー!!』
この旅で初めての言葉!! 魔物が来ても起きているみんなで対処できていたのに、何事だ?
ビルンさんは飛び起き、もう外に出て行った。僕も遅れながらも馬車から降りていく。
「は~はは~! おいお前ら! 俺たちが全部もらうからな!!」
と叫びながら、馬車に駆け寄ってきた。空からは矢も飛んできており、すでに戦闘態勢だ!
・・・・・・・
けどここで少し僕の中で(ここは命が惜しかったら金は置いていけ! 女は傷つけるな! 男は殺してしまえー!)だろ~!と思ってしまったのは・・・内緒だ。
「くっ! ここまで来て盗賊かっ! デーブンはロドリコさんを守れ―! ニックは近くに来た盗賊を牽制、後ろからコーフットはスキをつけ~! クーフットは弓を放ちながら、まずは敵を分断! 俺は近寄ってきた敵から対処する!」
とフルートさんがリーダーらしく声を出した。
「ビルン!どうする!!」
とハーシンさんが叫んだ。
「ハーシンは盾で弓を防げ! 特に馬には当てさせるな! ラエラはロドリコさんのそばに待機、負傷した者はすぐに回復を! ビビアンはフルートと並び対応を!! ラウール・・、お前は適当に攻撃しろ~! 味方に当てるなよ!?」
「はいわかりましたっ! 落とし穴!!」
ズドン!!!
??????
弓を引き、構えていた盗賊以外が消えた。弓持ちの盗賊もポカーンとしている
目の前には大きな穴が開いている・・・
フルートがのぞき込むと、そこには盗賊たちが倒れていた。盗賊たちも何が何だかわからずに周りを見渡している・・・。ラウール君??
「バインド!!」
弓持ちの盗賊が動けなくなっている。足が土の輪?で固定されている。その姿を見てフルートがラウールに話しかけようと・・・。
「アイス!!」
盗賊の弓が盗賊の腕ごと凍った??
何が起きているかわからない?? 混乱したフルートがラウールに声をかけようとしたら、もうそこにはいなかった。いつの間にか穴の前に立っている。
「ねー降参する?」
盗賊は穴の底から、
「あ”-! 降参するかだと~! ここから出しやがれ!!」
「出すわけないでしょっ! アナタタチハウバオウトシタ。ボクハソレヲトメタ。OKぼーく?」
「何を言ってるんだ!? 出しやがれ!!」
「は~・・・。」
ラウールは魔力を練り上げた・・・
「うっ!! なんだ? この・・。う・う・・ごっ!!」
ラウールは盗賊がいる穴に向けてだけ威圧するように魔力を向けた。魔力を向けられた盗賊はプルプルと震えている。
がっ!!
急に体が飛ばされた??何が起きてるかわからない?? そこに手を凍らせた盗賊が、その氷で僕を叩こうとしている・・・。
かろうじて剣を振りまわせた。
スパーン!! と盗賊の首が飛んだ・・・。
???? 殺してしまった???
切り離された体は、そのまま僕に倒れ掛かってきた。
「おい!大丈夫か!!」盗賊の体が僕にのしかかる前に、ビルンさんが盗賊の体を蹴り飛ばしてくれた。
「僕・・・人を殺した?」
「何言ってる! 盗賊に殺されそうになったんだ!! 逆に殺さないとお前が殺されるぞラウール!! 情けをかけるな!!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・
そこからの記憶が定かでない。何か聞かれて答えてた気がするけど、頭に入ってこない・・。人を殺した??
この世界に生まれ変わり、冒険者となり、いつかは人を殺さないといけないこともあるかと、どこかでは思っていた。けど、こんな・・覚悟もないときに不意にやってくるなんて・・・。
~~~~~~~~~~
「ラウールは人を殺したことが無かったんだな・・。いくらDランクになったとはいえ、まだまだ子供だ。これで心が折れなきゃいいが。もし心が折れそうなら俺が力になる。あいつは俺の友達だからな。」
「そうね、ビルンが言いたいことはわかる。私も子も短い時間だけどラウール君のあの姿は好きだもの。」
「ラエラ、まずはラウールと一緒に馬車に乗っててくれ。俺とフルートで穴の中の盗賊は処理しておくから。一人だけは連れて行く・・・。」
「わかったわ、お願いビルン。」
・・・あの時の威圧で、弓持ちの盗賊の拘束が取れなければ・・・。
~~~~~~~~~~~
「まったく、大変な旅でしたね。短い時間でこんなに色々なことがあるなんて。これだから商人はやめられない。ただラウール君は心配ですね。これに負けずに冒険者を続けてほしいですね・・。」
「ロドリコさん、もうすぐ街につきますよ。」
「わかりましたよフルートさん。さ~ひと稼ぎしましょうか!」
あの騒動があったおかげで、みんなの距離が縮まり、連携もうまくいっていた。今回はラウールも夜の見張りをやらせてもらえた。初めてなのでビルンさんが一緒に起きてくれて、見張りの時の注意点を教えてくれた。
今までは父様が教えてくれたことしか知らなかったラウールは、同じランクとはいえ、色々な経験をしているビルンさんの言葉に感心していた。実際にこうやって話していると、細かなところまで気にしていることがよくわかる。パーティーメンバーの特徴をとらえて、こういったことを注意しているから、もしパーティーを組んだらお前もそういう気配りをするんだぞ、と。
そして夜には自分たちで対処できる魔物や動物しか出てこず、みんなを起こすことはなかった。
そして街までもうすぐのところまで戻ってきた。僕とビルンは馬車の中で休んでいる。ビルンさんは慣れたもので、いびきをかいて眠っていた。こういう所はさすが慣れている。どこでも寝れることも冒険者には必要なことなのだと教えられた。
パかパカパカ
パかパカパカ
パかパkパか
・・・・
・・・・
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『敵襲ーー!!』
この旅で初めての言葉!! 魔物が来ても起きているみんなで対処できていたのに、何事だ?
ビルンさんは飛び起き、もう外に出て行った。僕も遅れながらも馬車から降りていく。
「は~はは~! おいお前ら! 俺たちが全部もらうからな!!」
と叫びながら、馬車に駆け寄ってきた。空からは矢も飛んできており、すでに戦闘態勢だ!
・・・・・・・
けどここで少し僕の中で(ここは命が惜しかったら金は置いていけ! 女は傷つけるな! 男は殺してしまえー!)だろ~!と思ってしまったのは・・・内緒だ。
「くっ! ここまで来て盗賊かっ! デーブンはロドリコさんを守れ―! ニックは近くに来た盗賊を牽制、後ろからコーフットはスキをつけ~! クーフットは弓を放ちながら、まずは敵を分断! 俺は近寄ってきた敵から対処する!」
とフルートさんがリーダーらしく声を出した。
「ビルン!どうする!!」
とハーシンさんが叫んだ。
「ハーシンは盾で弓を防げ! 特に馬には当てさせるな! ラエラはロドリコさんのそばに待機、負傷した者はすぐに回復を! ビビアンはフルートと並び対応を!! ラウール・・、お前は適当に攻撃しろ~! 味方に当てるなよ!?」
「はいわかりましたっ! 落とし穴!!」
ズドン!!!
??????
弓を引き、構えていた盗賊以外が消えた。弓持ちの盗賊もポカーンとしている
目の前には大きな穴が開いている・・・
フルートがのぞき込むと、そこには盗賊たちが倒れていた。盗賊たちも何が何だかわからずに周りを見渡している・・・。ラウール君??
「バインド!!」
弓持ちの盗賊が動けなくなっている。足が土の輪?で固定されている。その姿を見てフルートがラウールに話しかけようと・・・。
「アイス!!」
盗賊の弓が盗賊の腕ごと凍った??
何が起きているかわからない?? 混乱したフルートがラウールに声をかけようとしたら、もうそこにはいなかった。いつの間にか穴の前に立っている。
「ねー降参する?」
盗賊は穴の底から、
「あ”-! 降参するかだと~! ここから出しやがれ!!」
「出すわけないでしょっ! アナタタチハウバオウトシタ。ボクハソレヲトメタ。OKぼーく?」
「何を言ってるんだ!? 出しやがれ!!」
「は~・・・。」
ラウールは魔力を練り上げた・・・
「うっ!! なんだ? この・・。う・う・・ごっ!!」
ラウールは盗賊がいる穴に向けてだけ威圧するように魔力を向けた。魔力を向けられた盗賊はプルプルと震えている。
がっ!!
急に体が飛ばされた??何が起きてるかわからない?? そこに手を凍らせた盗賊が、その氷で僕を叩こうとしている・・・。
かろうじて剣を振りまわせた。
スパーン!! と盗賊の首が飛んだ・・・。
???? 殺してしまった???
切り離された体は、そのまま僕に倒れ掛かってきた。
「おい!大丈夫か!!」盗賊の体が僕にのしかかる前に、ビルンさんが盗賊の体を蹴り飛ばしてくれた。
「僕・・・人を殺した?」
「何言ってる! 盗賊に殺されそうになったんだ!! 逆に殺さないとお前が殺されるぞラウール!! 情けをかけるな!!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・
そこからの記憶が定かでない。何か聞かれて答えてた気がするけど、頭に入ってこない・・。人を殺した??
この世界に生まれ変わり、冒険者となり、いつかは人を殺さないといけないこともあるかと、どこかでは思っていた。けど、こんな・・覚悟もないときに不意にやってくるなんて・・・。
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「ラウールは人を殺したことが無かったんだな・・。いくらDランクになったとはいえ、まだまだ子供だ。これで心が折れなきゃいいが。もし心が折れそうなら俺が力になる。あいつは俺の友達だからな。」
「そうね、ビルンが言いたいことはわかる。私も子も短い時間だけどラウール君のあの姿は好きだもの。」
「ラエラ、まずはラウールと一緒に馬車に乗っててくれ。俺とフルートで穴の中の盗賊は処理しておくから。一人だけは連れて行く・・・。」
「わかったわ、お願いビルン。」
・・・あの時の威圧で、弓持ちの盗賊の拘束が取れなければ・・・。
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「まったく、大変な旅でしたね。短い時間でこんなに色々なことがあるなんて。これだから商人はやめられない。ただラウール君は心配ですね。これに負けずに冒険者を続けてほしいですね・・。」
「ロドリコさん、もうすぐ街につきますよ。」
「わかりましたよフルートさん。さ~ひと稼ぎしましょうか!」
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