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15.誕生日と予定外
海の魔物
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船旅の2日目になった。
順調に進んでおり、今日中に交易都市サザにつくようだ。
港から一番近いところは、第一都市となっている。
ラウールとサクラは、自分たちで用意した食事を甲板で摂っている。
周りにも人はおり、家族、恋人同士、1人もの、庶民までいる。更にどこかの貴族なのか、身なりの良いものもいたり、教会関係者と思しき人までいる。
そんな船旅だからこそ、魔物から船を守る冒険者ももちろん乗っている。滅多に襲われないだけで、絶対襲われないわけではないのだ。
時々小さな魚型の魔物がいるようだが、銛で突くか、船でそのまま弾き飛ばすことで何事もなく進んでいた。
しかし、小さな魚の群れが進行方向と逆に進んだ姿が見えた時、目の前に触手が見えた。
「魔物だ~! 乗客は中に入れ! 戦えるものは先頭の方に来い!」
そう叫び声が上がると、一斉に人々が船の中に入っていった。
そして甲板には、船長にやとわれている冒険者と、魔法が使える数人の乗客が残った。
もちろんラウールとサクラもいて、あの声をかけてきたマッチョもいた。
「俺たちはこの船を守るためにやとわれている! 海の上だから魔法が主体だ。おそらくあの大きさはクラーケンだ。ランクは高いが、小さいところを見ると、幼体だと思う。一気に魔法で倒したい。俺の合図で一斉に魔法を売撃ってくれ!」
「「「おう!!」」」
と返事が聞こえたが、小声で隣にいる人に聞いてみた。
「クラーケンって、弱点と無効な攻撃はありますか?」
「確か水は無効だな。火も海だから、半端な威力の物はダメだったはず。風と土が無難かな。使い手の少ない雷だったか?は効いたような。」
「そうですか。ありがとう。」
そう短く話を終えるとサクラに、
「雷が一番、次が風や土みたいだけど、サクラどうする?」
「そうね、初めて海の上だから・・・。何がいいかな? クラーケンって食べられるのかな?」
「そっか、食べられるなら少しほしいかな。じゃあ焼けないように火はなしで。意外に凍るかな?」
「凍るだろうけど、その後どうする?」
「そっか、どっちみち倒さなきゃいけないものね。じゃあ風の魔法で切り裂こっか?」
「そうね、それが無難かな? じゃあ2人一緒に打つ?」
「1人でいいんじゃない? それで1人は回収で。」
「わかった。じゃあサクラが倒したら、僕が海の表面を凍らせて、出来るだけ回収してくるよ。騒ぎになったらSランク冒険者だって言えば普通だと思ってくれるでしょ。」
そういって2人は冒険者に声をかけに行った。
初めは2人でやらせえてほしいと。
しぶった冒険者だったが、時間がもったいないと、じゃあやってみろと場所を譲った。
サクラはやりすぎたゴブリン戦を振り返り、もう少し威力を抑えるイメージで詠唱を始めた。
「空を漂う世界の歯車よ、我が求めに応じ、目の前の敵を切り裂け・・・、エアカッター改!」
詠唱を終えると巨大なエアカッターが1つと、周りに無数の小さなエアカッターが付き添い、クラーケンに飛んで行った。
クラーケンは魔力を纏おうとしたが、間に合わず、全身を引き裂かれた。
そして次の瞬間ラウールが「フリージング!」と唱え海を凍らせた。
凍った海を素早く進み、クラーケンの体が海に落ちる前にクラーケンの後ろから風を吹かせた。
そして海の上に出ていた部分は、氷の上に乗せることが出来た。
振り返ったラウールは、必要な部位はあるか船の方に声をかけたが、サクラ以外が口を開けたまま固まっていた。
その後もしばらく返事がなかったので、魔石と体の一部を持ち、ラウールは甲板にジャンプしもどった。
戻ったラウールを見てもう一度ポカーンと口を開けてしまった冒険者だが、何とか持ち直し話し出した。
クラーケンはその身がおいしく食べられるが、大きいため、ラウールが持っている程度の身があれば十分なこと。魔石は討伐したラウールとサクラがもらっていいこと。クラーケンの体はもったいないが、貨物船ではないので、あきらめる事が伝えられた。
そこでラウールはもう一度クラーケンの元に戻り、身を海に落とすふりをして土の魔法で質量のある物が海に落ちるように見せかけた。そしてばれないように、アイテムボックスXにクラーケンの肉をしまう事に成功した。
その後ラウールが船に戻るとサクラが、「フレア!」と唱え、目の前の氷を溶かした。
~~~~~~~
一連の出来事を見ていた護衛冒険者は何が起きているのか分からなかった。
そこへラウールは説明した。2人はSランクの冒険者だと。
目の前の冒険者は驚いたが、高ランク者であれば、今の出来事も納得するしかないと思った。
船長も出てきており、被害が全くなかったという事で、食事をごちそうしてくれた。
クラーケンの身を焼いてくれ、初めて食べたが、おいしかった。
その後の船旅は順調で、無事に港に着くことが出来た。
ラウールとサクラが船から降りる姿を見ていた冒険者は、いくらSランクでもあれは無理なのでは?と考えていた。あえて高ランク者にそのことは話をしないが・・・。
順調に進んでおり、今日中に交易都市サザにつくようだ。
港から一番近いところは、第一都市となっている。
ラウールとサクラは、自分たちで用意した食事を甲板で摂っている。
周りにも人はおり、家族、恋人同士、1人もの、庶民までいる。更にどこかの貴族なのか、身なりの良いものもいたり、教会関係者と思しき人までいる。
そんな船旅だからこそ、魔物から船を守る冒険者ももちろん乗っている。滅多に襲われないだけで、絶対襲われないわけではないのだ。
時々小さな魚型の魔物がいるようだが、銛で突くか、船でそのまま弾き飛ばすことで何事もなく進んでいた。
しかし、小さな魚の群れが進行方向と逆に進んだ姿が見えた時、目の前に触手が見えた。
「魔物だ~! 乗客は中に入れ! 戦えるものは先頭の方に来い!」
そう叫び声が上がると、一斉に人々が船の中に入っていった。
そして甲板には、船長にやとわれている冒険者と、魔法が使える数人の乗客が残った。
もちろんラウールとサクラもいて、あの声をかけてきたマッチョもいた。
「俺たちはこの船を守るためにやとわれている! 海の上だから魔法が主体だ。おそらくあの大きさはクラーケンだ。ランクは高いが、小さいところを見ると、幼体だと思う。一気に魔法で倒したい。俺の合図で一斉に魔法を売撃ってくれ!」
「「「おう!!」」」
と返事が聞こえたが、小声で隣にいる人に聞いてみた。
「クラーケンって、弱点と無効な攻撃はありますか?」
「確か水は無効だな。火も海だから、半端な威力の物はダメだったはず。風と土が無難かな。使い手の少ない雷だったか?は効いたような。」
「そうですか。ありがとう。」
そう短く話を終えるとサクラに、
「雷が一番、次が風や土みたいだけど、サクラどうする?」
「そうね、初めて海の上だから・・・。何がいいかな? クラーケンって食べられるのかな?」
「そっか、食べられるなら少しほしいかな。じゃあ焼けないように火はなしで。意外に凍るかな?」
「凍るだろうけど、その後どうする?」
「そっか、どっちみち倒さなきゃいけないものね。じゃあ風の魔法で切り裂こっか?」
「そうね、それが無難かな? じゃあ2人一緒に打つ?」
「1人でいいんじゃない? それで1人は回収で。」
「わかった。じゃあサクラが倒したら、僕が海の表面を凍らせて、出来るだけ回収してくるよ。騒ぎになったらSランク冒険者だって言えば普通だと思ってくれるでしょ。」
そういって2人は冒険者に声をかけに行った。
初めは2人でやらせえてほしいと。
しぶった冒険者だったが、時間がもったいないと、じゃあやってみろと場所を譲った。
サクラはやりすぎたゴブリン戦を振り返り、もう少し威力を抑えるイメージで詠唱を始めた。
「空を漂う世界の歯車よ、我が求めに応じ、目の前の敵を切り裂け・・・、エアカッター改!」
詠唱を終えると巨大なエアカッターが1つと、周りに無数の小さなエアカッターが付き添い、クラーケンに飛んで行った。
クラーケンは魔力を纏おうとしたが、間に合わず、全身を引き裂かれた。
そして次の瞬間ラウールが「フリージング!」と唱え海を凍らせた。
凍った海を素早く進み、クラーケンの体が海に落ちる前にクラーケンの後ろから風を吹かせた。
そして海の上に出ていた部分は、氷の上に乗せることが出来た。
振り返ったラウールは、必要な部位はあるか船の方に声をかけたが、サクラ以外が口を開けたまま固まっていた。
その後もしばらく返事がなかったので、魔石と体の一部を持ち、ラウールは甲板にジャンプしもどった。
戻ったラウールを見てもう一度ポカーンと口を開けてしまった冒険者だが、何とか持ち直し話し出した。
クラーケンはその身がおいしく食べられるが、大きいため、ラウールが持っている程度の身があれば十分なこと。魔石は討伐したラウールとサクラがもらっていいこと。クラーケンの体はもったいないが、貨物船ではないので、あきらめる事が伝えられた。
そこでラウールはもう一度クラーケンの元に戻り、身を海に落とすふりをして土の魔法で質量のある物が海に落ちるように見せかけた。そしてばれないように、アイテムボックスXにクラーケンの肉をしまう事に成功した。
その後ラウールが船に戻るとサクラが、「フレア!」と唱え、目の前の氷を溶かした。
~~~~~~~
一連の出来事を見ていた護衛冒険者は何が起きているのか分からなかった。
そこへラウールは説明した。2人はSランクの冒険者だと。
目の前の冒険者は驚いたが、高ランク者であれば、今の出来事も納得するしかないと思った。
船長も出てきており、被害が全くなかったという事で、食事をごちそうしてくれた。
クラーケンの身を焼いてくれ、初めて食べたが、おいしかった。
その後の船旅は順調で、無事に港に着くことが出来た。
ラウールとサクラが船から降りる姿を見ていた冒険者は、いくらSランクでもあれは無理なのでは?と考えていた。あえて高ランク者にそのことは話をしないが・・・。
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